モータースポーツの「歴史」に焦点を当てる老舗レース雑誌『Racing on』と、モータースポーツの「今」を切り取るオートスポーツwebがコラボしてお届けするweb版『Racing on』では、記憶に残る数々の名レーシングカー、ドライバーなどを紹介していきます。今回のテーマは、2002年の全日本GT選手権(JGTC)を戦った『ヴィーマックRD320R』です。
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国産スポーティカーを改造、もしくは海外からポルシェなど外国車のレーシングカーを買ってきてレースに参戦する。そんなかたちが主流だった2000年代初頭の全日本GT選手権(JGTC)GT300クラス。しかし2002年、そんな概念を打ち破る1台が現れた。それがヴィーマックRD320Rである。
そもそもヴィーマックとは、東京R&Dとイギリスのヴィーマックが共同開発で生み出したライトウエイトスポーツカーで、RD180と呼ばれるモデルが世に送り出されていた。
RD320Rとはそんなヴィーマックの名を受け継いで、当時、東京R&Dのレース部門だったR&Dスポーツが、MOLAと共同で開発したレーシングカーだった。
ヴィーマックという名前を使ってはいたものの、RD180から流用されたのはルーフとフロントウインドウのみで、それ以外はすべて新たに独自開発されたものだった。
モノコックはカーボンで作ることもできたが、モディファイのしやすさとのちにプライベーターへの販売も考えていたことから、パイプフレームで製作。ボディは自社の風洞施設を使用しながら、開発し、RD180とは似つかぬ、ロングテールボディが生み出された。
エンジンはホンダNSXに搭載されていたC32Bを戸田レーシングがチューニングし、それを縦置きでリヤミッドに搭載していた。
RD320Rはレースデビューに向け、まず『1台のナンバー付きロードカーがあること』という規定を満たすべくロードカーを製作してホモロゲーションを取得。
さらに、その後レーシングカーのホモロゲも取るという段階を踏んだが、その作業に遅れが生じ、本来は2002年のJGTC開幕戦より出場予定だったが、富士スピードウェイで開催された第2戦から参戦を開始した。
するとデビューレースからいきなりポール・トゥ・ウインを達成。以降も性能調整のためのハンデウエイトを課せられながらも速さを見せつけ、第6戦のツインリンクもてぎでは2勝目、第7戦のMINEサーキットでは3勝目を記録した。
そして鈴鹿サーキットが舞台の最終戦ではハンデウエイトが150kgにも達しながら7位でフィニッシュ。チャンピオンこそ逃したものの、ランキング首位からわずか2点差の2位でシーズンを終えた。
このヴィーマックの登場以後、同じコンセプトを活用したARTAガライヤや紫電といったマシンがGT300へと参入。
さらに規定の変更も追い風となってGT500のパーツをふんだんに使ったトヨタ・セリカやほぼGT500マシンのままといえたホンダNSXがエントリーするなど、2010年代に向けてGT300の競争はより、激しさを増していくことになる。
ヴィーマックとはそんな潮流を生み出したきっかけの1台だったのだ。
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