21世紀に向けた新しいクルマの創出
ルノー・アヴァンタイムがコンセプトとして掲げていたのは、「クーペスペース」。21世紀に向けた新しいクルマの創出として、グランドツアーの興奮と高級ワンボックスカーの実用性や快適性を融合することが狙われた。
【画像】斬新すぎて日本には207台だけ! アヴァンタイム スタイリッシュな最新ルノーたち 全108枚
先進的なデザインのインテリアは、高級感に溢れる。今回の例では、シートはブリッジ・オブ・ウィアー社製のレザーで仕立てられ、一段高いリアシートへ座れば、素晴らしい開放感を楽しめる。
長距離クルージングを前提に設計されているが、大きなボディを感じさせない操縦性も目指されており、乗り心地は硬め。見た目の印象ほど、快適ではない。
高級車として多様なオプションを選べ、生産数は少なく、現在残っているアヴァンタイムでまったく同一の内容はないと考えて良い。欧州仕様では、2.0Lターボエンジンに5速ATを組め、サンルーフではなく固定された通常のルーフも指定できた。
ボディの塗装色は13種類。ドアとダッシュボードの化粧トリムは7種類。シートのレザーは9種類が用意され、クロスも1種類だけだが設定があった。
フロントとリア、サイドにスカートが追加される、スポーツキットもオプションの1つ。組み合わせ次第では、一層個性的なアヴァンタイムに仕上げることもできた。
エンジンはベーシック 電装系の故障に注意
斬新な見た目と異なり、アヴァンタイムのエンジンはベーシック。いずれも当時のルノー・ラインナップで幅広く登用されていたユニットで、適切なメンテナンスを施せば、問題なく走行距離を伸ばすことが可能だ。
唯一気をつけたいのが、5年毎か11万5000km毎に指定されたタイミングベルト交換。補機ベルトとプーリー類も、良好な状態を保ちたい。
電装系は複雑で故障しやすい。すべての機能を入念に確かめたいところ。キーは、2本残っていることが重要といえる。
スライドするサンルーフは巨大だが、潤滑油を定期的に吹くことで好調を保てる。ギアが破損してしまうと、修理費用は高額になると考えたい。ドア側のサイドウインドウは、ドアの開閉時に僅かに下がる。滑らかに上下へ動作するかもチェックポイント。
エアバッグの警告灯は、エンジン始動後も点灯し続けないか確かめる。多くは、シート部分のコネクターが原因。純正のCDチェンジャーは、正常に動くならラッキーだ。
ヒーター・ブロワーは、抵抗が不調になりがち。フロントガラスヒーターが動作するかもチェックポイント。シートヒーターも、動かなくなる場合がある。ヘッドライトにはオートレベライザーが備わるものの、故障しやすいという。
購入時に気をつけたいポイント
スペアパーツ
生産数の少ないアヴァンタイムは、スペアパーツも希少。特にモデル固有のボディやインテリア関係の部品は、入手が難しい。
ボディとシャシー
アルミニウム製のボディフレームは、腐食に注意。部分的な再塗装で修正はできる。ルーフレールとドアミラーの付け根、ラジエターサポート、フロント・サブフレーム、サイドシルなどを観察する。前後のライト類の状態も、良く確認したい。
エンジン
2.0Lガソリンターボも3.0L自然吸気ガソリンも、当時のルノーでは広く登用されていたユニットで、整備は難しくない。補機ベルトとタイミングベルトの交換は、5年毎か11万5000km毎が英国では指定されている。
3.0LエンジンのMT用デュアルマスフライホイールは、交換部品が出てこない。エグゾースト系も純正部品は欠品しており、専門ショップへ特注する必要がある。
トランスミッションとサスペンション
ATの場合、ブレーキをリリースするとトランスミッションから振動が出る場合がある。MTでは、クラッチの状態を確かめる。
リアのハブベアリングは腐食しやすい。ハンドブレーキが強く効くかもチェックポイント。油圧ラインの部品は入手が困難。ホイールのセンターキャップも希少とのこと。
インテリア
ヒーター・マトリックスからクーラントが漏れ、フロアカーペットが汚れている場合がある。プラスティック製トリムは、表面が粘つきやすい。シートは摩耗しやすく、クッションも痛みやすい。グローブボックスやアームレストのヒンジは壊れがち。
サンルーフから雨水を流す排水溝は、詰まりがないか確かめる。パワーシートやシートヒーターのほか、車載機能が一式動作するかも要確認。
ルノー・アヴァンタイムのまとめ
価値を保つであろうクラシックカーとして、すべての基準を満たしている、ルノー・アヴァンタイム。残存する例はレストアを受けた例も多く、入手困難な部品を自作するオーナーも英国にはいる。
取引価格は高騰しておらず、走行距離が短い例でも3万ポンド(約567万円)を超えることはないようだ。お手頃な中古車も流通しているが、厄介な故障へ悩まないためにも、事前に状態を確かめたい。ただし、ある程度の不具合は避けられないだろう。
良いトコロ
まだ20年ほどしか経過していないが、クラシックカーとしての地位を確立しつつある。英国には、熱心なオーナーズクラブも存在する。実用的で運転は楽しい。
良くないトコロ
中古部品は枯渇傾向にある。電気系統は複雑。徐々に維持が難しくなっていくことは想像できる。
ルノー・アヴァンタイム(2001~2003年/英国仕様)のスペック
英国価格:2万4050~2万7050ポンド(新車時)
生産数:8557台
全長:4642mm
全幅:1834mm
全高:1627mm
最高速度:194-206km/h
0-97km/h加速:8.8~11.4秒
燃費:7.8-14.2km/L
CO2排出量:−
車両重量:1641-1761kg
パワートレイン:直列4気筒1998cc・2188ccターボチャージャー DOHC/V型6気筒2946cc自然吸気 DOHC
使用燃料:ガソリン/軽油
最高出力:150ps/4000rpm-213ps/6000rpm
最大トルク:25.3kg-m/2000rpm-32.5kg-m/1750rpm
ギアボックス:6速マニュアル/5速オートマティック(前輪駆動)
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