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4180万円もの値がついた隠れた名車フィアット「131アバルトラリー」って、なんなん?

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4180万円もの値がついた隠れた名車フィアット「131アバルトラリー」って、なんなん?

■アバルトをラリーで復活させる秘策

 フィアットは第二次世界大戦後、イタリアでいわゆる大衆車を大量生産することに活路を見出した。そして1960年代も終盤を迎える頃になると、フィアットはモータースポーツに積極的に参戦することで、その戦績を効果的な広告として用いるようになっていた。

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 この広告戦略をさらに魅力的なものとするとともに、スポーツモデルの開発をおこなうため、1971年にフィアット・グループに再編されたのが、現在でも熱狂的なファンの多いアバルトである。

●1980 フィアット「131アバルトラリー」

 当時フィアットがもっとも積極的に活動していたモータースポーツの舞台は、WRC=世界ラリー選手権だった。

 アバルトはファイアット・グループに属するとすぐに、フィアット「124」をベースとした、フィアット「124アバルトラリー」を開発しラリー・ステージへと投入する。

 しかしそこには「フルビア・クーペHF」以来、WRCでワークス活動を続ける、同じフィアット・グループのランチアが投入するラリー・スペシャルのHFが待ち構えていた。ランチアもまた、1969年にアバルト同様にフィアット・グループに吸収されていたのである。

 量産車をラリーのためにチューニングするのではなく、最初からWRCへの参戦を意識して開発されたランチア「ストラトス」。

 その強さは圧倒的で、1974年から1976年までの3年間、連続してWRCのメイクス・チャンピオンを獲得するという快挙を成し遂げた。それはもちろんフィアットにとって最高のリザルトではあったが、その一方でアバルトの存在をどうするのかという、新たな議論が社内では巻き起こることになる。

 ストラトスの活躍で、WRCにおけるランチアの広告活動はすでに十分に目的を果たしたという見方があるとともに、フィアットで同様のリザルトを手に入れれば、販売台数や利益はランチアの比ではないと考えたのだ。そこで、フィアットの首脳はランチアでのワークス活動を1978年で休止することを決定した。

 その後はフィアット、そしてもちろんアバルトの手に委ねることとしたのである。

■4180万円もの値がついた「131アバルトラリー」とは

 新たなWRCカーのベースとして選択されたのは、当時フィアットの主力モデルにもなりつつあった「131」だった。それをベースに、グループ4の車両規定を満たすモデルを設計、製作することがアバルトの手に委ねられたのである。

●1980 フィアット「131アバルトラリー」

 フィアットはまず、グループ4の公認に必要な生産台数400台を満たすためにオンロードモデルを製作。そこからアバルトの手に渡ったモデルが、WRCカーとして変貌を遂げることとなった。

 基本的なボディシルエットこそ、市場で人気を博すフィアット131だが、独特な迫力を感じるのは大きく張り出した前後のオーバーフェンダーによるものであろう。ルーフスポイラーやダックテール型のリアスポイラーもまた、フィアット「131アバルトラリー」とネーミングされたベースモデルの特徴的なパートだ。リアピラー上には、アバルトのエンブレムも備わっている。

 搭載されるエンジンは、フィアット132用の2リッター直列4気筒DOHCをベースに4バルブ化したもので、最高出力は、当時の発表値ではラリー仕様で215psであった。最終的にはインジェクション化などのアップデートにより、230psにまでアップされた

 サスペンションにも、アバルト独自の手が多く入っている。とくにリアサスペンションは、セミトレーリングアームとコントロールロッド、スタビライザーによる組み合わせとなった。

 ボディは、軽量化のためにFRPがボンネットやフェンダーなどに使用され、車重は1000kgを切る数字だった。

 今回RMサザビーズのロンドン・オークションに出品されたフィアット131アバルトラリーは、1980年式のワークスマシンそのものだ。

 同年のサンレモ・ラリーでは、ヴァルター・ロールのドライブにより優勝を果たしたほか、この年のチャンピオンシップを獲得するために貢献したモデルである。

 同車はアバルトのクラッシック部門、アバルト・セルティフィカツィオーネでレストア、ならびに認定を受けているほか、以前からのFIAのドキュメントもすべて揃った状態の1台である。

 オークションでの最終的な落札価格は、29万7000ポンド(邦貨価格約4180万円)。やはりきちんとした履歴と、魅力的なリザルトがあるコンペティションマシンは、それなりに高い評価が得られるようだ。それはまさに歴史を物語る象徴的な1台なのである。

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