アストンマーティンF1、不振による「大きなプレッシャー」の内在を認める。しかしオーナーのストロールは忍耐強い？

　アストンマーティンのマイク・クラック代表は、チームには勢いを取り戻すための“大きなプレッシャー”が内在していると認めつつも、チームオーナーのローレンス・ストロールは時間がかかることを理解していると語った。

　アストンマーティンは現行レギュレーション1年目の2022年をコンストラクターズランキング7位で終えると、シーズンオフで目覚ましい成長を見せ、2023年は開幕8レースで6回の表彰台を獲得。モナコGPでは優勝にも迫った。

　当時フェルナンド・アロンソは、ランキング首位のレッドブルを度々手こずらせていた。ただ、シーズンが進むにつれてアストンマーティンは失速していった。

　今季は絶対王者レッドブルに対してフェラーリ、マクラーレン、メルセデスが接近。サマーブレイク前の時点ではレッドブルが両ランキングでリードしつつも、直近の数戦では劣勢に立たされることが多くなった。

　しかしアストンマーティンは、今季はここに加わることができていない。エミリア・ロマーニャGPでフロントウイングやフロア、リヤの空力アップデートを持ち込んだが、この大型アップデート投入が裏目に。勢いを取り戻そうとしているものの、コンストラクターズランキングでは上位4チームに大きく離された5番手に甘んじている。

　先日のイギリスGPで行なわれたmotorsport.comの独占インタビューに応じたクラック代表は、2023年初頭のポジションは「他チームが不調で、我々は実力以上のモノを出していた」と語り、「チームとしての本当の状況を反映したモノではなかっただろう」と語った。

　他チームが調子を上げたことでアストンマーティンが後退したという見方がある中で、ローレンス・ストロールが2024年のアストンマーティンの状況をどのように見ているかと訊かれたクラック代表は次のように答えた。

「ふたつの側面があると思う」

「ひとつは、長年にわたって競争相手と比較してどのような進歩を遂げているかということだ。野心的な目標を持ち、それをマネジメントしようとするのだ」

「それは話し合って計画を立てるモノだ。突然7位から1位になんてなれない。それは不可能だ」

「『これとあれとそれが必要だ』となる。我々が今後必要になるモノが分かるはずだ。それはひとつのポイントであり、ある程度の現実性やリアリズム、そして忍耐が必要だ」

「しかしいざ戦い、アップデートを投入しても、それが期待通りのパフォーマンスを発揮しなければ、プレッシャーはますます大きくなる」

「外部からの認識は間違っていないと思う。（アップデートが）期待されたレベルのモノを提供できておらず、これをできるだけ早く解決しようとしているから、内部では大きなプレッシャーを認識しているし、その点、忍耐が無くなっていることも理解している」

「ローレンスはこのビジネスに長く携わってきた。彼はF1がどのように機能するかを熟知しているし、より良いモノを手に入れるまで上手く機能していない場合、新しいパーツをあれこれ作るために時間がかかるというのは理解している」

「このふたつがミックスされていると思う。こういう状況にはなりたくないね」

「シーズンを5位でスタートし、もっと上位に近づきたいと考えていた。上位陣に近づく計画を立てていたが、望んだ結果を残すことができていない」

　アストンマーティンは2024年シーズン中に復調することを目指す一方、チームの基盤固めを続けている。

　ここ最近では、かつてメルセデスのパワーユニット（PU）部門を率いたアンディ・コーウェルが加入し、マーティン・ウィットマーシュの後任として10月にグループCEOに就任することが決まるなど、経営陣のトップ交代も行なった。