列島横断往復1000km! 千里浜目指すSSTR2021をパンアメリカで走破!
ハーレーとしては、何もかもが初めて尽くしのチャレンジである。新開発エンジン/独自の車体構造/世界初の電子式車高調整機能、そして何より”大型アドベンチャー”という未知のカテゴリーへの参入…。なのに、なんだこの、初めてと思えないほどの完成度の高さは!! その全容について、まずはディテール解説からお届けしよう。
●文/写真:ヤングマシン編集部(青木タカオ) ●外部リンク:ハーレーダビッドソンジャパン
―― 【テスター:青木タカオ】メジャー大衆誌を含め、様々なメディアに寄稿するバイクジャーナリストながら、ハーレー好きが高じて専門誌『ウィズハーレー』を創刊。新旧あらゆるモデルの試乗経験を持つ。
ハーレーダビッドソン パンアメリカ1250/スペシャル
上級仕様のスペシャルは、電子制御サスペンション(シート高自動調整機能ARH付き)/コーナリングランプ/タイヤ空気圧モニター/センタースタンドなどを標準装備するほか、スキッドガードも樹脂製→アルミ製にグレードアップ。ライドモードも任意設定できるカスタムモードが2つ追加される。また、スタンダードはキャストホイールが標準。7月初頭で約130台の受注が入ったが、9割以上がスペシャルという。
―― 【’21 HARLEY-DAVIDSON PAN AMERICA 1250 SPECIAL】■全長2265 軸距1580 シート高830* 最低地上高175(各mm) ■キャスター25° トレール108mm 車重258kg(装備) ■水冷4ストV型2気筒DOHC4バルブ 1252cc ボア×ストローク105mm×72mm 圧縮比13.0 152ps/8750rpm 13.1kg-m(128Nm)/6750rpm 変速機形式6段リターン 燃料タンク容量21.2L ■ブレーキF=Wディスク R=ディスク ■タイヤF=120/70R19 R=170/60R17 ●色:黒 灰 緑 オレンジ×白 ●価格:273万1300円(黒) 276万1000円(灰/緑) 278万6300円(オレンジ×白) ※キャストホイール車は5万600円安 *ARHが低車高時の数値
―― 【’21 HARLEY-DAVIDSON PAN AMERICA 1250】■シート高890 最低地上高210(各mm) ■車重245kg(装備) ●色:黒 灰 ●価格:231万円(黒) 233万9700円(灰)
―― 【”非クチバシ系”のアメリカンADV】多くのアドベンチャーモデルがクチバシ顔を採用するなか、何にも似ていない無骨でふてぶてしい唯一無二なフロントマスクを採用。ウインドシールドの高さは手動で4段階調整可。47mm倒立フォークとボトム側にリンク機構を持つモノショックユニットはショーワ製で、スペシャルの電子制御サスペンションはEERAをベースにハーレーが味付けした。※写真はSTD
◆水冷60°Vツイン“レボリューションマックス”新開発
旧V-ROD系などと同様に60度のバンク角を持つが、完全な新設計。油圧ラッシュアジャスターや吸/排気の連続可変バルブタイミング機構といった特徴を持ち、ツインプラグやノッキングセンサーにより13:1という高圧縮比も実現。3つのオイルポンプによるドライサンプ機構や、鍛造ピストンに備えられたオイルジェットなどで冷却/潤滑能力も万全だ。
◆初挑戦・エンジンが車体を兼ねるフレームレス構造を採用
フレームはフロント/ミッド/テールの3セクションに分割され、エンジンも車体剛性を担う。リヤシリンダーの後ろ・車体中心に配置され、リヤショックをマウントするミッドフレームはアルミ製とし、高剛性を確保。フロントセクションやシートレールはスチール製だ。 ※写真は’19年発表のプロトタイプ
◆電子制御機能は最新レベル
ボッシュ製6軸IMUによるトラクションコントロールやコーナリングABSなど、電子制御はハーレー独自のセッティングが施され、「RDRSセーフティエンハンスメント」とネーミング。6.8インチTFTタッチスクリーンできめ細かく操作できる。
上位機種”スペシャル”の仕様/装備
◆停車時に車高が下がるアダプティブライドハイト(ARH)
リヤショックに油圧ジャッキを内蔵、走行中は加圧して高い車高を保ちつつ、停止直前に油圧を抜いて車高を下げ、足着き性を向上させる量産2輪初の機構。最大43mmもシート高が下がる。走り出せばサスのストロークでジャッキを加圧し、元の車高に戻る。
―― [写真左]走行時(※停車時に再現) [写真右]停車時の状態
―― スペシャルのライディングポジション。片足立ちならカカトまでベッタリ地面に届き、両足でもカカトが少し浮く程度。ARH(アクティブライドハイト)で足着き性の不安を軽減している。ブレーキペダルは回転して高さを上下に調整可能。ハンドルは幅広で、ゆったりとしたライディングポジションだ。[身長175cm/体重67kg]
◆足まわり
―― 前後キャリパーはブレンボ製で、フロントにラジアルマウントモノブロック4ピストンを備えるなど充実している。スコーチャーアドベンチャーは、ミシュランと共同開発のチューブレスタイヤ。スポークホイールが標準だ(※キャストホイールも選択可能)。 [写真タップで拡大]
◆装備
―― コーナリングランプ
―― ステアリングダンパー
―― グリップヒーター
―― 燃料タンクは20Lを確保。スペシャルはバー&シールドをあしらい、STDと差別化。両車ともキーレスイグニッションを採用。
―― 前席はセット位置を上下2段階調節可能。また、高さが1インチ低いローシートもオプションに設定した。
―― 専用ガード類
―― センタースタンド
〈参考〉大型ADVは超激戦区
大排気量アドベンチャーは海外メーカーだけでも強敵揃い。ハーレーは最後発だが、初年度の国内販売目標は約800台を公言。これは王者GSにも匹敵する数字なのだ!
―― 〈ライバル1〉BMW R1250GSプレミアムライン (265万6000円~)
―― 〈ライバル2〉ドゥカティ ムルティストラーダV4S (288万円~)
―― 〈ライバル3〉KTM 1290スーパーアドベンチャーS (239万円~)
―― 〈ライバル4〉トライアンフ タイガー1200XRT (275万6600円)
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