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旧車のレストアについて考える[part5:電装系]

掲載 更新 2
旧車のレストアについて考える[part5:電装系]

旧車のレストアの中では地味な分類(?)でありながらもトラブルが多く、また苦手意識の強い人も多い電装系。配線だけではなく、旧くなればさまざまな問題点が出てくる部分でもある。

旧車のレストアについて考える[part5]となる今回は、「配線だけではない!電装系のトラブルを克服するには?」に要点を絞り、電装系に関する内容をお届けしたい。

「旧車」とカテゴライズされるのは19○○年~?その定義づけを考えてみた

配線類はすべて交換したほうが良いのか?

旧車の場合、車体の保管状態が良くても、配線類は経年劣化していく部分である。また1本の劣化でクルマが動かなくなることもないとはいえない。配線の被膜の硬化や、カプラー、ギボシ、配線自体の錆など原因はさまざまではある。特に被膜の破れは、アースされると燃えることもあるので本当にやっかいだ。クルマによってはハーネスのキットが売ってあるので、できれば全部交換したいところである。

だが、すべてを交換することになった場合、簡単にはいかないこと少なくない。

たとえば、フルオリジナルの状態で維持されているクルマであれば、配線図通りに組んでいけば問題はないと思う。しかし、たいていの旧いクルマは、長い期間にダイナモをオルタネータに交換してあったり、ライト類にリレーを入れてあったり、ダッシュ類のスイッチが増設されていたり…。

さらには使えなくなった配線のバイパスや、別の場所から電源を引いたり、前オーナーが配線図と異なる仕様に交換している…といった可能性もある。現オーナーが所有するまでに所有車が何人ものいれば、さらにやっかいな配線になっていることもありえるのだ。

著者の場合、現在レストア中のフィアット500はフルオリジナル仕様を目指して作成中のため、ハーネス類はすべて交換することにした。しかし現在メインで使っているMGBに関しては、あまりにも配線に手が入っていたため、重要な部分を中心に、交換可能な箇所だけに手を入れている。また、ギボシ類はできるだけ交換していくようにしてあり、配線の接合部分でのトラブルを回避するようにした。それでも見落とした部分がトラブルの原因になったこともある。それならば最初からハーネスのキットを購入してすべて交換しておいたほうが良かった…なんて思うこともあった。挙げたらキリがないとはいえ、ハーネスキットに交換すること考えただけで気が進まなくなるほど面倒な部分である。

実際に旧車を購入する際、フルレストアされていたとしても、配線類までレストアされているクルマは少ないように思える。これから旧いクルマを購入する場合は、こういった部分もどこまでやっているかショップに聞いてみると良いかもしれない。

アーシングは本当に必要なのか?

先に答えをいえば、旧車の場合に限っては「YES」である。現代車と異なり、経年劣化で錆やアンダーコートなどの塗料など、さまざまな原因でのアース不足がないといい切れない。特にバッテリーを使うセルモーターは、エンジンが暖まった際に回転が鈍いと感じたらアース不足の可能性がある。

考えられる理由としては、エンジンルームの温度が上がれば当然のことながら配線も熱くなり、熱伝導が悪くなるからである。この場合、直接バッテリーのアースから太めのケーブルを引くだけでもかなり症状が改善される。もしそういう症状があるのであればぜひとも試していただきたい。

海外の安いリビルト品で大失敗!?

以前セルモーターが壊れたことがあった。分解してブラシ類を交換するもまったく反応しない。ワイパーモーターのコイルは巻き直したことがあったが、これはさすがに難しいように思えた。

そこで海外のオークションサイトで安いリビルト(?)品を購入。始動性にはまったく問題がなく、良い買い物をしたと思っていたら…、たった3回でセルの取り付け部分が折れてしまった。こんなところ折れるのか???

結局、海外の専門店で日産のセルを流用して作った専用設計のセルモーターを購入。

値段は多少高価ではあるが、さすが日本製のセルモーター。それ以来、6年ほど乗っているがまったく問題はない。

安物買いの銭失いとはまさにこのことだろう。最初から信用あるものを買うべきだった…。

ただし、セルが回るときの音が「今風」なので雰囲気は損なわれるが、安心を買うと思えばしかたがない、といったところか。

他にも変えておきたい電装系

これは意外と見落としがちだが、実は旧車の泣き所がヒューズボックスだ。

MGBのヒューズが2個しか存在しないため、接触が悪くなって通電しなくなると、ほとんどの電装系がストップしてしまう恐ろしい部分でもある。ここもトラブルになる前に交換しておきたいところである。

また、英国車では消耗品とも言われる「ソレノイドスイッチ」。これも単純なリレーであるが、故障するとセルモーターへの電力の供給がストップする。すべてのクルマに装着されているわけではないが、古いと感じたら交換するか、予備品を常備しておきたい。事実、著者も痛い目にあったことがあった箇所だ。

その他、常備して置きたいスペアパーツ

これだけ持っていたら安心?というわけではないが、長く乗っているオーナーであればトランクに常備していることも多い電装系を紹介しておきたい。

まずはディストリビュータ関連。

もしアナログなポイント式であれば常備しておきたいのは
・ポイント
・ローター
・レギュレータ

この3点を常備しておけば、いざ必要になったときに困らなくて済む可能性が高い。

他にも
・イグニッションコイル
・プラグコード
・スパークプラグ
なども積んでおけば安心だ。

配線やギボシ、タイラップも積んでおくこともオススメしたい(ちなみに著者はすべてトランクに積んである)。

自分では修理ができないから積んでいても無駄!なんて思ってはいけない。

もしこういったトラブルで動かなくなったとき、今の時代であれば、SNS等で救援要請をすれば誰かが助けに来てくれるかもしれない。

その際、これだけ常備してあれば、自分で修理できなくても誰かが救ってくれることもあり得るのだ。部品がなきゃ何もできないことだってある。

いざというとき「備えあれば憂いなし」なのである。

今回は電装系についてまとめてみた。電装系のトラブルは奥が深く、修理自体は簡単でも、原因を追求するのに時間がかかることもある。何かとやっかいではあるが、長く乗るためには克服しておきたい部分でもある。旧いクルマを所有する以上、苦手意識のある人でも少しずつ挑戦して、自分なりに電装系の知見を蓄積していくことをオススメしたい。

旧車のレストアについて考える:過去記事一覧

旧車のレストアについて考える[part4:ラジエター編]



旧車のレストアについて考える[part3:ブレーキ編]



旧車のレストアについて考える[part2:オーナー自ら作業する“意義”とは?]



旧車のレストアについて考える[part1:どこからがレストアにあたるのか?]



[ライター・撮影/ユダ会長]

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みんなのコメント

2件
  • 僕はアメ車乗りで良かった~。
  • ハーネスキットなども長期間保管されていたら、劣化している。また、新しく生産されているもの(あるのか分からないが、特に国産車には。)でも、記事のセルモーターと同様、信頼性に難がある。

    アーシングするより、アース線を交換する方が簡単。接点を磨いて。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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