前戦に続き、開催地未定となっていた2021年のスーパーTC2000(STC2000)第7戦が、8月14~15日の週末にアルゼンチン中部に位置するアウトドローモ・プロヴィンシア・デ・ラ・パンパで開催され、土曜クオリファイレースでは2019年王者のリオネル・ペーニャ(ルノー・フルーエンスGT/ルノースポール・カストロール・チーム)がポール・トゥ・ウインを達成した。
続く日曜フィーチャーレースもポールから発進したルノーのエースに対し、今度はTOYOTA GAZOO Racing YPFインフィニア不動の王者が逆襲。ディフェンディングチャンピオンでシリーズ“5冠”を誇るマティアス・ロッシ(トヨタ・カローラSTC2000)が逆転に成功し、今季3勝目を挙げてシリーズランキングトップの座に返り咲いた。
ホンダ・シビックがトヨタ2台を振り切り勝利。元王者アルドゥソが今季3勝目/STC2000第6戦
約5年ぶりの開催となったアルゼンチン屈指の高速トラック、ラ・パンパでの1戦は、予選から1ラップの平均時速200キロ超えのハイスピードバトルとなり、当時の最年長王者獲得記録を更新したルノーのペーニャが、Ave.200.820km/hをマークして今季3度目のポールポジションを獲得した。
フロントロウに僚友のダミアン・フィネンチ(ルノー・フルーエンスGT)を従え25分+1ラップのクオリファイレースに挑んだペーニャは、序盤にチームメイトを先行させてその護衛役を務める展開となるも、首位を行くフィネンチのフルーエンスGTは終盤に右フロントタイヤに問題を抱えて脱落。
予選5番手だったシボレーYPFチームの2016年王者、アグスティン・カナピノ(シボレーYPFクルーズ)を挟み、もう1台のルノーをドライブするマティアス・ミラ(ルノー・フルーエンスGT)とともに、ペーニャが今季2度目のトップポディウム登壇を果たした。
そのカナピノが最速を記録した日曜早朝の“フルタンク・テスト”を挟み、日曜現地時間午前11時50分から40分+1ラップ勝負となったフィーチャーレースは、最前列のペーニャとカナピノに対し、5番グリッド発進だったTGRのエースがスタートで割って入る見事なダッシュを決める。
■王者ロッシがシリーズ通算600戦目の記念すべき節目で優勝
2016年王者のシボレーを抑え、首位のルノーを猛追したチャンピオンのカローラは、素晴らしいリズムを刻みながら徐々にギャップを縮めると、メインストレートで今季から導入の“プッシュ・トゥ・パス”を使用した攻防を繰り広げ、幾度かのトライを経て高速バトルを制し首位浮上に成功。
しかし、ここで諦めないペーニャもスリップストリームを活用して追い縋り、リードを取り戻すため再三の攻撃を仕掛けるも、エクストラパワーを防御に活用したロッシへの反撃は実らず。王者ロッシはシリーズ通算(TC2000時代も含む)600戦目の記念すべき節目で優勝を手にし、キャリア通算42勝目をマーク。2位ペーニャ、3位にカナピノが並ぶ実力者たちの表彰台となった。
「週末のパフォーマンスは期待していたほどではなかったが、予想外の勝利を収められてうれしいよ」と、喜びを語ったロッシ。
「金曜は貧弱なタイムしか記録できずトップからは遠く離れていたし、土曜はこの高速トラックでポールから0.5秒も遅れていた。セットアップを調整して後戻りすることもあるけれど、今回のすべての大きな変更は僕らに利益をもたらした。エンジニアのディエゴ・ブルーナとチーム全体に感謝したい」
この週末の結果により、選手権首位で臨んでいたプーマ・エナジー・ホンダ・レーシングの2冠王者ファクンド・アルドゥソ(ホンダ・シビックSTC2000)は土曜6位、日曜7位に終わりポイントリーダーの座から陥落。107点としたロッシが首位を奪還し、4点差でペーニャ、7点差アルドゥソの続くトップ3となっている。
続くSTC2000第8戦は9月3~5日の週末にブエノスアイレスのF1トラック、オスカー・ファン・ガルベスに戻っての200kmレースが予定されており、各陣営ともドライバー交代を伴う長距離戦に向けゲストドライバーの起用を必要とする。TGRのエースであるロッシは、この1戦に向け「渡航制限の緩和次第」としながらも、かつてのWTCC世界ツーリングカー選手権でシリーズ3連覇を達成している地元の英雄、ホセ-マリア・ロペスの招聘を予定している。
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