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8代目ゴルフGTI上陸、でも「GTIの魂」「GTIの証」とはなにか、初代から続く伝統を追う

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8代目ゴルフGTI上陸、でも「GTIの魂」「GTIの証」とはなにか、初代から続く伝統を追う

2021年12月22日、8代目となる新型ゴルフGTIが日本に上陸した。1976年に初代モデルが誕生して以来、ゴルフGTIはホットハッチの代名詞として世界的に人気を集めてきたが、その伝説はどのように生まれ、受け継がれてきたのか。その系譜を振り返ってみよう。

初代ゴルフGTI「既存のヒエラルキーを打ち破る痛快な高性能」
1974年にデビューを飾った初代ゴルフは、伝説的な大衆車「ビートル」の後継車として、FF横置きエンジンパッケージングの新時代のベーシックカーとして登場、たちまち大ヒット作となる。

●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか

そんな中、フォルクスワーゲンの一部のエンジニアが秘密裏に「ゴルフの特別なスポーツ仕様」を計画。まだ本社から正式な承認を得ていない中、まずは100psを発生する高性能キャブレター仕様のプロトタイプを開発する。

開発エンジニアの有志がこれを取締役会に提案すると、スポーツイメージを求めていた本社はこの企画に正式なGOサインを出している。1975年3月、この時、それまで内密に進められてきた計画は、EA195の型式を得て公式な開発プロジェクトとなった。

こうして、1975年9月、フランクフルトモーターショーでコンセプトカーとしてワールドデビューを果たした「ゴルフのスポーツ仕様EA195」は大きな反響を呼び、その開発は一気に加速することになる。そして、1976年6月に「ゴルフGTI」として発売される。

ラジエーターグリルの赤いアクセント、タータンチェック柄のスポーツシート、ゴルフボール型のシフトノブ、スポーツステアリングホイールなどベース車と差別化された印象的な装備と、最高速度182km/hの性能は、まさに衝撃的だった。

しかも車両価格はわずか1万3850ドイツマルク。全長わずか3.7mの小さなボディからは想像できない速さは、高価なスポーツカーや大型サルーンを頂点とするヒエラルキーを打ち破る痛快な存在として、瞬く間に多くのファンを獲得した。

生産台数は当初5000台を計画していたが予想を大きく上回る人気を獲得し、結局、累計46万1690台もの生産台数を記録することになる。

初代ゴルフGTIは日本にも並行輸入されてファンから熱狂的な支持を受けたが、残念ながら正規輸入されることはなかった。

ちなみに1983年には、特別仕様車のゴルフGTI ピレリも誕生している。

●初代ゴルフ GTI
エンジン:直列4気筒
エンジン排気量:1588-1781cc
最高出力:110-112ps
最高速:182-187km/h

2代目ゴルフ GTI「初代GTIの正常進化型」
1984年に登場した2代目ゴルフ GTIは、大ヒット作となった初代のデザインDNAとコンセプトを継承していた。ラジエーターグリルの赤いアクセントやブラックのオーバーフェンダー、タータンチェック柄のスポーツシートは、GTIのアイコンとして受け継がれていた。

初代の途中で1.6Lから1.8Lに拡大されたエンジンは、触媒コンバーターの装着により最高出力は107psへとわずかにダウンしたが、デビューから2年後の1986年に導入した新しい16バルブDOHCエンジン搭載の「GTI 16V」では129psにまでパワーアップ。

さらに、1990年に登場した「ゴルフ GTI G60」はGラーダーと呼ばれるスーパーチャージャーを搭載し、その最高出力は160psまで高められていた。

マイナーチェンジでバンパーが大型化されるなど、2代目ゴルフ GTIは変更のたびに洗練度を増していったモデルでもあった。

ゴルフGTIはこの2代目からいよいよ正規で日本に上陸を開始した。

●2代目ゴルフ GTI
エンジン:直列4気筒
エンジン排気量:1781cc
最高出力:107-160ps
最高速:186-219km/h

3代目ゴルフ GTI「ディーゼル仕様のGTIモデルも登場」
ゴルフ GTIは、1991年に3代目へモデルチェンジ。当初の最高出力は115psだったが、デビュー翌年には新しい16バルブエンジンを採用して、150psにパワーアップを果たした。

ただ、初代からのキープコンセプトであった2代目から比べると、モダンなスタイルへと路線変更したモデルとも言える。

1996年にはさらにGTIのコンセプトを拡大し、110psのハイスペックなディーゼルエンジンを搭載したモデルも誕生。「GTI」の名前が使われることはなかったが、これがのちの「ゴルフ GTD」のルーツとなる。

また、ABSやEDS(エレクトロニック・ディファレンシャルロック)など先進的な電子制御システムが導入されて、走行性能を向上させたモデルとしても記憶される。

●3代目ゴルフGTI
エンジン:直列4気筒
エンジン排気量:1984cc
最高出力:115-150ps

4代目ゴルフ GTI「歴代でもっとも落ち着いたスタイルを採用」
1998年には、4代目ゴルフ GTIが登場する。4代目GTIは「より上質かつスポーティ」であることを目指したモデルだったが、ファンからは「歴代GTIの中でもっとも控えめなスタイリング」と言われている。たしかにラジエーターグリルに赤のアクセントもなく、ブラックのオーバーフェンダーも見当たらず、シートのタータンチェック柄も控えめなものだった。

1.8Lエンジンは当初の最高出力は110psだったが、GTIとしては初めてターボチャージャーを装着して150psにパワーアップ。2001年に登場した25周年を祝う特別仕様車の2.5L 直列5気筒ターボエンジン仕様は180psを誇った。

歴代GTIの中でもっとも控えめなスタイリングと言われるが、機敏で質の高い走りやATの積極的な採用など、GTIをより身近に楽しめるモデルでもあった。

4代目ゴルフGTIの内外装はやや大人しくなったが、その一方で、この世代の終了間際にゴルフ史上最強にして最速、そしてもっとも高価なゴルフ「R32」が誕生して大成功を収めたことは、GTIにとってもエポックメイキングな出来事だった。

フォルクスワーゲンは当初R32の登場に慎重で、まずは5000台の限定生産としてスタートしたが、GTIとはまた異なるその価値観は大きな反響を呼び、結局、1万4000台もの台数が出荷された。V6エンジンと4WDシステムを搭載したゴルフR32は、GTIとは異なるスポーツの方向性を示していた。そして、このモデルの成功により、GTIは次の世代で「よりGTIらしく」進化できることになるのだった。

●4代目ゴルフ GTI
エンジン:直列4気筒-直列5気筒ターボ
エンジン排気量:1896-2324cc
最高出力:110-180ps
最高速:193-222km/h

5代目ゴルフ GTI「キャッチコピーは GTI is back」
5代目ゴルフ GTIのコンセプトカーは、2003年9月のフランクフルトモーターショーに「GTI is back」というキャッチコピーとともに登場。翌2004年9月のパリサロンで量産仕様を公開し、11月に販売が開始された。

フォルクスワーゲン初のガソリン直噴ターボと、新世代ギアボックス6速DSG(デュアルクラッチトランスミッション)を採用。ラジエーターグリルの赤いアクセントやタータンチェック柄のスポーツシートなど、かつての「GTIのアイコン」も復活した。

新しい2L直噴ガソリンターボエンジンは最高出力200psを発生。最高速度は235km/hに達し、方向転換が見られていたGTIのコンセプトは再び軌道修正、「あの頃(=初代~2代目)の走りが復活した」と人気を集めた。

2006年に登場した30周年記念車は最高出力230psを発生。2007年には、初代で登場していた「GTI ピレリ」が復活したことも話題となった。

●5代目ゴルフ GTI
エンジン:直列4気筒ターボ
エンジン排気量:1984cc
最高出力:200-230ps
最高速:233-245km/h

6代目ゴルフ GTI「歴代ゴルフGTI初のカブリオレも登場」
2009年には6代目ゴルフGTIが登場。5代目で復活した「GTIらしさ」がさらに煮詰められてのデビューとなった。

新世代エンジンとなった2L 直列4気筒直噴ガソリンターボ「2.0TSI」は210psを発生。最高速度は240km/hになったが、低い回転域から最大トルクを発揮するため、街乗りでも力強く扱いやすい特性を持っていた。また、10・15モード燃費は13.0km/Lと、実用性の高いパワーユニットでもあった。

ただ、最大トルクが280Nmに達したことから、トラクション獲得のためにシャシ開発にこれまで以上に積極的で、歴代初となる電子制御式ディファレンシャルロック機構XDSも大きな注目を集めた。

日本市場には投入されなかったが、2011年にはゴルフGTIとして初めてカブリオレ仕様も設定された。

大きくなるばかりのパワー、年々要求が高くなる環境性能に対応しながら、GTIらしい走りを失うことなく、まだまだその魅力を引き上げることができることを証明したモデルだった。

●6代目ゴルフ GTI
エンジン:直列4気筒ターボ
エンジン排気量:1984cc
最高出力:211-235ps
最高速:238-247km/h

7代目ゴルフ GTI「ニュルブルクリンクでFF市販モデルの記録を更新」
7代目ゴルフ GTIは初めて、2タイプの出力を設定して2013年に登場。ベーシック仕様は220ps、高性能仕様のGTI パフォーマンスは230psを発生した。

ベースのゴルフはこの7代目からフォルクスワーゲンの新しいモジュラーシステム「MQB」を採用しており、ゴルフGTIもこれにより車両重量を最大約42kg削減。マニュアルトランスミッションを積んだ230ps仕様は、GTIとして初めて最高速250km/hを達成した。

また、2015年11月にはオーバーブースト機能により最高出力290psを実現するゴルフ GTI クラブスポーツが登場。翌2016年には310psを誇るゴルフ GTI クラブスポーツSをラインナップに加え、そのモデルでニュルブルクリンク北コースを7分49秒21で走り、市販FF車の記録を更新した。

7代目ゴルフ GTIは、最新の安全装備や先進技術を搭載することによって、高いパフォーマンスをより安全に楽しめるクルマに仕上がっていた。

日本市場には2013年にベーシックな200ps仕様が上陸、230ps仕様のゴルフGTIパフォーマンスは翌2014年にゴルフ誕生40周年記念モデルとして登場している。

●7代目ゴルフ GTI
エンジン:直列4気筒ターボ
エンジン排気量:1984cc
最高出力:220-310ps
最高速:265km/h

▶︎▶︎▶︎次ページ:8代目ゴルフ GTI「ゴルフ GTIの歴史と伝統は、新章へ」

8代目ゴルフ GTI「ゴルフ GTIの歴史と伝統は、新章へ」
そして2020年、ゴルフGTIは8代目に生まれ変わった。最新世代の2.0TSIエンジンは最高出力245psに達し、そのハイパワーをコントロールして高次元なドライビングプレジャーを提供するビークルダイナミクスマネージャーが装備されて、ゴルフGTIはまた新たな境地に突入した。

その8代目ゴルフ GTIは、2021年12月、ついに日本に上陸。ゴルフ GTIの歴史はまだまだ続いていく。

●8代目ゴルフ GTI
エンジン:直列4気筒ターボ
エンジン排気量:1984cc
最高出力:245ps
最高速:250km/h

[ アルバム : ゴルフ GTIの系譜 初代から8代目へ はオリジナルサイトでご覧ください ]

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