現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 最近復活の気配があるクルマのデザイン「コーダ・トロンカ」! 「切り株のようなお尻」ってどんなカタチ?

ここから本文です

最近復活の気配があるクルマのデザイン「コーダ・トロンカ」! 「切り株のようなお尻」ってどんなカタチ?

掲載 14
最近復活の気配があるクルマのデザイン「コーダ・トロンカ」! 「切り株のようなお尻」ってどんなカタチ?

 この記事をまとめると

■「切り落とされたテールエンド」と解説される「コーダ・トロンカ」というデザイン処理

「コークボトル」「クリスプカット」「コーダトロンガ」! 並のクルマ好きじゃわからないデザイン用語10つ

■本来は「Tronca=切り株」というニュアンスで名付けられていた

■最近の新車に復活の気配があるが、加飾の過ぎた「コーダ・トロンカ」は美しくない

 数々の名車に採用された「コーダ・トロンカ」のデザイン処理

 クルマのデザイン用語で、時に「コーダ・トロンカ」というカタカナに出くわすことがある。「Coda Tronca」とか「Codatronca」と綴られるイタリア語で、コーザ・ノストラとかと何だか響きが似ていてワクワクしちゃうかもしれないが、もちろん秘密結社とかマフィアとは語源的に何の関係もない。

 しばしばコーダ・トロンカとは「スパっと切り落とされたテールエンド」のことと説明される。でも動詞troncare(=断ち落とす)の過去分詞はtrancato(=断ち落とされた)なのだが、コーダ・トロンカート/coda troncatoなどとまわりくどい言い方はしない。むしろtroncaは「切り株」のニュアンスのほうで、用いられていることに注意しよう。

 ちなみにcodaとは尻尾のことで、クルマがスピンした時は「testacoda」とか「testa-coda(テスタ・コーダ)」、つまりアタマが尾っぽ側に突っ込んだ状態のこと。単に「スピン」というより、やらかしてしまった雰囲気が伝わってくるだろう。だからハーフスピンに「テスタ・コーダ」などとは言わない。

 話をコーダ・トロンカに戻すと、ようは「切り株(のようにザックリ切った)テール」のこと、という話だ。なぜそんな区別が必要かといえば、それ以前からクルマのテールを長くすれば高速走行時の安定性に寄与するが、切り取ってもその効果はほぼ保たれることは知られていた。

 この効果を戦前に発見して唱えたシュトゥットガルト工科大の研究者、ヴニバルト・カム博士にちなんで「カムバック」「カムテール」「Kテール」というのは、けっこう沢山存在した。草分けは、1938年にBMWが制作した実験車両の328カム・クーペ、あるいはストリームライナー華やかなりし頃のアメ車、あるいは1950年代のカニンガムC-4RKなど、多々見られる。

 ルーフラインが徐々に垂れてきて、ボディ下端のラインに合流する、今日のファストバックに近いリヤエンド処理の原型という訳だ。

 復活の気配のある「コーダ・トロンカ」に過度な装飾は必要ない

 クルマとして横から眺めた時、本来ルーフラインから続いてきて、ボディ下端のラインと交差するところまで存在しているはずの尾、この部分が切り落とされているのを目が追ってしまうこと自体がゲシュタルト効果の一種で、不在ゆえに気になる美しさでもある。

 だが、その造形のキモは、一連のアルファロメオSZ系やジュリエッタ、フェラーリ250GT SWやブレッドバン以降のテールエンドに見られるように、切り落とした後にリヤテールを一周する、切り株めいたエッジ処理にあった。それ以前より、ルーフからなだらかなリヤシェイプを描くことで空力とスペース効率を両どりするアイディア自体は、カムテールで実現されていたのだから。

 逆にテールエンドを切り落とさず整流デバイス実装して空力を高めようとしたのが、CDやパナール、アルピーヌのル・マン車両や、ポルシェ917LHに935ロングテールこと通称モビー・ディックという訳だ。

 加えて「in tronco(イン・トロンコ)」という副詞的用法には、「即座に」とか「一気に」とか「殺伐と」といった意味合いがある。山男が仕事現場で、太い声で短い言葉を交わすような、そんな様子を想像されたし。

 かくして切り落とされたテールだというのに、近頃の新車で復活の気があるファストバックボディのテールエンドには、ゴタゴタと凹凸を増やす加飾パーツが、けっこう貼りついている。空力はボディの外にだけエアを流すものではなく、アンダーボディやボディ内部にも採り込むものになったとはいえ、あまりに本末転倒に過ぎるカムテールやコーダ・トロンカは、やはり美しくない。

こんな記事も読まれています

全長4mに「FR」採用! トヨタの「“6速MT”スポーツカー」が凄い! “4人乗り”で実用的な「小型クーペ」にクルマ好きから反響殺到! 市販化待望の「S-FR」とは
全長4mに「FR」採用! トヨタの「“6速MT”スポーツカー」が凄い! “4人乗り”で実用的な「小型クーペ」にクルマ好きから反響殺到! 市販化待望の「S-FR」とは
くるまのニュース
いよいよ始動 首都高の「老朽海底トンネル」造り替え 使われていない“裏ルート”が本線に生まれかわる!? 都市計画素案が公表
いよいよ始動 首都高の「老朽海底トンネル」造り替え 使われていない“裏ルート”が本線に生まれかわる!? 都市計画素案が公表
乗りものニュース
新規参戦キャデラックF1、ドライバーに米国人コルトン・ハータを起用? 有力候補と取締役のマリオ・アンドレッティ認める
新規参戦キャデラックF1、ドライバーに米国人コルトン・ハータを起用? 有力候補と取締役のマリオ・アンドレッティ認める
motorsport.com 日本版
成長する私の軌跡! 2度目の参加で見えてきたライディングスクールの必要性と重要性
成長する私の軌跡! 2度目の参加で見えてきたライディングスクールの必要性と重要性
バイクのニュース
“SUV”なんて言葉は似合わない! どんな悪路も走破可能 なのに室内には高級感が漂う「ラグジュアリーなクロカン車」3選
“SUV”なんて言葉は似合わない! どんな悪路も走破可能 なのに室内には高級感が漂う「ラグジュアリーなクロカン車」3選
VAGUE
V12エンジン復活!! 最高速345km/hの大排気量5.2L! 年間生産台数たったの1000台のみ[ヴァンキッシュ]登場
V12エンジン復活!! 最高速345km/hの大排気量5.2L! 年間生産台数たったの1000台のみ[ヴァンキッシュ]登場
ベストカーWeb
刺激的な純内燃エンジンの4L V8ツインターボはいまや希少!「メルセデスAMG GT」【野口 優のスーパースポーツ一刀両断!】
刺激的な純内燃エンジンの4L V8ツインターボはいまや希少!「メルセデスAMG GT」【野口 優のスーパースポーツ一刀両断!】
LE VOLANT CARSMEET WEB
【ROYAL ENFIELD】の新型「BEAR 650」を案内!“ヤンチャな走り”対応の60年代風スクランブラーなのだ  
【ROYAL ENFIELD】の新型「BEAR 650」を案内!“ヤンチャな走り”対応の60年代風スクランブラーなのだ  
モーサイ
「車線減少の手前で抜かされそうになり、負けじと加速したら鳴らされました。私が悪いんですか?」投稿に回答殺到!?「どっちもどっち」「いちいち喧嘩売るなよ」の声も…実際法律では誰が悪いのか
「車線減少の手前で抜かされそうになり、負けじと加速したら鳴らされました。私が悪いんですか?」投稿に回答殺到!?「どっちもどっち」「いちいち喧嘩売るなよ」の声も…実際法律では誰が悪いのか
くるまのニュース
スズキ、移動販売の支援アプリ「シュッパ」の提供開始 出店計画やレジ操作などを容易に
スズキ、移動販売の支援アプリ「シュッパ」の提供開始 出店計画やレジ操作などを容易に
日刊自動車新聞
角田裕毅、コンストラクターズランキング6位奪取に向け超重要なカタールへ「今回もまた、力強いレースができるはず」
角田裕毅、コンストラクターズランキング6位奪取に向け超重要なカタールへ「今回もまた、力強いレースができるはず」
motorsport.com 日本版
BYDが創立30周年記念式典を開催、1000万台目の新エネルギー車のラインオフを発表
BYDが創立30周年記念式典を開催、1000万台目の新エネルギー車のラインオフを発表
Webモーターマガジン
マジカルレーシングから BMW R1300GS(24)用ストリートボディワークが発売!
マジカルレーシングから BMW R1300GS(24)用ストリートボディワークが発売!
バイクブロス
【感動の動画】泥だらけのヴィンテージメルセデス、大洪水をほぼ無傷で生き延びた「メルセデスW123」の感動のストーリー
【感動の動画】泥だらけのヴィンテージメルセデス、大洪水をほぼ無傷で生き延びた「メルセデスW123」の感動のストーリー
AutoBild Japan
“夜行寝台バス”は本当に成功するのか? 国交省「座席フルフラット化」が直面する3つの深刻課題とは
“夜行寝台バス”は本当に成功するのか? 国交省「座席フルフラット化」が直面する3つの深刻課題とは
Merkmal
最上のおもてなしに、さらなるラグジュアリーをもたらす! ザ・ペニンシュラ香港に「ベントレー・ベンテイガEWB アズール」が登場
最上のおもてなしに、さらなるラグジュアリーをもたらす! ザ・ペニンシュラ香港に「ベントレー・ベンテイガEWB アズール」が登場
LE VOLANT CARSMEET WEB
トヨタ新型「クラウン“ワゴン”」いつ登場? 初公開から2年経過もなぜ未発売? 「なかなか発売されないクルマ」が増えたワケとは
トヨタ新型「クラウン“ワゴン”」いつ登場? 初公開から2年経過もなぜ未発売? 「なかなか発売されないクルマ」が増えたワケとは
くるまのニュース
KTM『890 アドベンチャー R』2025年モデル発表、新デザイン&新サスペンションで走破性向上
KTM『890 アドベンチャー R』2025年モデル発表、新デザイン&新サスペンションで走破性向上
レスポンス

みんなのコメント

14件
  • 日本車で「コーダ・トロンカ」(カットオフテール等とも言いますが)の
    著名な例を挙げるとすれば、やっぱり「ホンダ・CR-X」が挙げられるでしょうね。
    ただでさえコンパクトな車体の後部をバッサリと切り落としたそのスタイルは
    バツグンの小気味良さを醸し出していました。

    後にそのスタイルは初代「インサイト」や「CR-Z」にも受け継がれましたが、
    やっぱりCR-Xのスタイルが一番良かったように思います。

    現代の特に小型車では、ファストバックスタイルで高速時の車体のリフトを
    抑えるためにリアエンドが高くデザインされたクルマに、コーダ・トロンカの
    手法を用いた例が多いようですね。(一番著名なのはプリウス等)

    私が以前乗っていたユーノス・プレッソ(オートザム・AZ-3)も、テール部の
    小窓あたりにコーダ・トロンカのイメージが見られますが…。
  • 現代に甦ったら新鮮だと思いますけどね。
    コンパクトな2座EVスポーツでどこか出してくれないでしょうか。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村