Ferrari SF90 Spider
フェラーリ SF90 スパイダー
11月20日・21日、六本木ヒルズ・大屋根プラザにアストンマーティンのオールラインナップが集結
オンラインイベントでワールドプレミア
フェラーリが開催したデジタルイベントにおいて、フェラーリ SF90 ストラダーレのオープン仕様「SF90 スパイダー」が初公開された。このスペシャル・オンラインイベントでは、ニューモデルの革新的な特徴や開発に関する詳細な情報が、世界中のフェラーリファンに伝えられている。
フェラーリ初のプロダクション・プラグインハイブリッド・スパイダーであるSF90 スパイダーは、フェラーリのラインナップだけでなく、スポーツカーセグメント全体にパフォーマンスとイノベーションの新たなベンチマークを打ち立てられる存在を目指したという。
新型コンバーチブルは、SF90 ストラダーレと変わらないフォルムとパフォーマンスを備えるだけでなく、フェラーリ独自のリトラクタブル・ハードトップ構造の最新仕様を搭載。走りの楽しさと使い勝手が両立された。フェラーリが誇るテクノロジーの頂点と同時に、オープンカーのスリルと汎用性を望むオーナーにとって、SF90 スパイダーは理想的なモデルと言えるだろう。
今回も採用された「リトラクタブル・ハードトップ(RHT)」は、 展開するとノイズを遮断して風雨からパッセンジャー守り、高速走行中も変形せず、快適な車内空間を提供する。きわめて軽量・コンパクトでシンプルな構造のため、わずか14秒で開閉し、走行中でも稼働が可能だ。
フェラーリが製造するRHTは、2011年にデビューした「458 スパイダー」で初登場して以来、絶えず進化を続けてきた。その成功の鍵は一般的なシステムでは150~200リットルを必要とする格納スペースが、わずか100リットルで済むことにある。さらにアルミニウム構造のため、一般的なリトラクタブル・ハードトップより約40kgも軽量となっている。
オプションの「Assetto Fiorano」パック
SF90 ストラダーレと同様に SF90 スパイダーでも、オプション仕様としてサーキット走行車両としての性能を極限にまで高めた「Assetto Fiorano」パックが用意された。
この「Assetto Fiorano」パックは、標準仕様とは大きく異なる専用アップグレードが含まれている。その最も大きな違いが、フェラーリのGTレースにおける経験から生まれ、サーキット走行に最適化されたマルチマチック・ショックアブゾーバーの採用だ。
さらに高性能素材(カーボンファイバーやチタンなど)を使用することで車重を21kgも削減。リヤスポイラーもカーボンファイバー製を装着する。また、タイヤは公道走行も可能なミシュラン製「パイロット・スポーツ・カップ2」で、コンパウンドを柔らかくし溝を減らすことで、サーキットのドライ路面におけるパフォーマンスを向上させた。
「Assetto Fiorano」パックには2トーンの特別塗装もオプションで用意されており、サーキット仕様であることをさらに強調することも可能となっている。
内燃エンジンと電気モーターで最高出力1000cvを実現
SF90 スパイダーは、フェラーリの量産スパイダーとして初めてプラグイン・ハイブリッド・アーキテクチャーを採用した。
内燃エンジンと組み合わせたことで、フロントには「RAC-e(コーナリング・アングル・レギュレーター・エレクトリック)」システムの一部である2基のモーターを搭載。リヤモーターにはフェラーリのF1マシンで開発され、そこから名付けられた「MGUK(モーター・ジェネレーター・ユニット・キネティック)が取り付けられた。この結果、内燃エンジンと電気モーターは最大で合計1000cvの出力を実現している。
SF90 スパイダーのパワートレイン・アーキテクチャーを構成するのは、4.0リッターV型8気筒ターボ「ICE」、E-diffを備えるオイルバス式8速デュアルクラッチ・ギヤボックス(DCT)、電気のみでの走行も可能な2基の独立モーターを備える「RAC-e」電動フロントアクスル、リヤのエンジンとギヤボックス間に搭載された「MGUKモーター」、高電圧バッテリー、そして電気モーター制御システム(インバーター)となる。
V8ガソリンエンジンは、単体でも最高出力780cv(比出力は195cv/L)を誇り、従来のV8ターボを60cv上回るパワーを発揮。さらなるパフォーマンスアップを実現するため、フェラーリのエンジニアは吸排気システムを完全な新設計とした。
内部の流体ダイナミクスを改善するため、ダクトはすべてエンジンのシリンダーヘッドと同じ高さに揃えられ、ターボチャージャー・アッセンブリーの搭載位置は下がり、排気ラインは高く配置。こうした合理化によって重心を下げただけでなく、エキゾーストマニフォールドをスチールではなくインコネル製としたことで全体の重量も削減された。
ストラダーレと変わらない空力性能を確保
SF90 スパイダーのエアロダイナミクスの開発には、最初期のプラットフォーム設計の段階から3つの目標が設定された。それは「RHTの展開時にSF90 ストラダーレのパフォーマンスレベルを維持すること」、「RHTの格納時に空力的乱流とノイズを最小限に抑えること」、そして「エンジンベイのフローを最適化すること」の3項目である。
エアロダイナミクス部門とデザイン部門の密接な関係によって、SF90 スパイダーは同カテゴリーでライバルを圧倒する空力効率を達成。抜群の空力性能を実現したのは、リヤアクスルにかかるダウンフォースを変動させる可動コントロール・システム「シャットオフ・ガーニー」や、フロント・アンダーボディに備える「ボルテックス・ジェネレーター」、鍛造ホイールのウイング形状(ブロウン・ジオメトリー)などが挙げられる。
この空力パフォーマンスは圧倒的で、「Assetto Fiorano」仕様車が250km/hのコーナリングで発生するダウンフォースは390kgにも及ぶ。
ストラダーレとは異なるエンジンの熱対策
ドラッグやダウンフォース係数に悪影響を与えずに、効果的かつ妥協のない方法でSF90 スパイダーの最高出力1000cvを発揮するには、高温で排出される気流の効果的なマネージメントに力を入れることが不可欠だった。エンジンのほか、ギヤボックス、ターボチャージャー、バッテリーパック、電気モーター、インバーター、充電システム、そしてもちろんブレーキも熱関係が徹底的に最適化されている。
例えばエンジンベイには、摂氏900度近い高温を発する通常の内燃エンジンと共に、温度に極めて繊細な電子機器が収められている。RHTを収納するためのコンパートメントの存在により、エンジンベイの熱フロー管理を根本的に変更する必要があった。
SF90 ストラダーレはルーフの直後に排出口があったが、その機能はRHTコンパートメントによって妨げられるため、SF90 スパイダーではリヤスクリーンに水平のルーバーを追加。その配置は高速走行中のエアロダイナミクスを妨げずに、効率的な「煙突」の役割を果たすよう精密に決められている。
内燃エンジンとギヤボックスの冷却は、フロントタイヤの前に配置された2基のラジエーターが担当。このラジエーターから放出される高温の空気は、車体側面ではなくサイド寄りのアンダーボディへと流される。これによって車体側面の気流はより低温でリヤタイヤ前のインテークに入るため、インタークーラーの効率性が大幅に向上した。また、電気モーターとインバーターの冷却は、フロントバンパー中央のインテークと車両前方の専用ラジエーターを含む別の経路が担っている。
ブレーキの冷却経路は、SF90 スパイダーのパフォーマンスに見合うよう完全な新設計となった。新たに開発されたのがフロント・ブレーキキャリパー。空力パーツが組み込まれ、フロントバンパーのヘッドライト直下にある専用エアインテークからの強力なエアフローを、ブレーキパットとディスクに効率的に分配する。リヤブレーキの冷却には、リヤタイヤ付近のアンダーボディに設けられた2基のエアインテークからの気流が使われる。
完全新設計の「ヒューマン・マシン・インターフェース」
キャビンのルックスとフィーリングに大きな影響を与えたのが、完全新設計の「ヒューマン・マシン・インターフェース(HMI)」だ。
計器類は大部分がデジタルとなり、停止中はスクリーンがブラック一色となってミニマリスト的なキャビンが広がる。しかし、ひとたびステアリングのエンジンスタートボタンが押されると“セレモニー”がスタートし、ドライバー側コクピットのすべてのデジタルコンポーネントが徐々に点灯し、最終的にはコクピット全体が輝きだす演出が与えられた。
中央のインストゥルメントクラスターには1枚の16インチHDスクリーンを配置。ドライバーに向かって湾曲しているため読み取りやすく、コクピットのラップアラウンド形状の印象を強調する。デフォルトのスクリーンでは大きな円形のレブカウンターが中央を占め、これをバッテリーの充電インジケーターが縁取っている。
レブカウンター横は、片方がナビゲーション画面、もう片方がオーディオの操作画面。スクリーンが大きいため表示を柔軟にカスタマイズすることが可能で、ステアリングのコントロールから簡単に操作できる。例えばナビゲーションの地図をフルスクリーンバージョンに切り換えることも可能となっている。ヘッドアップディスプレイの導入により、主要な情報はドライバーの視界に入るフロントウインドウに投影が可能だ。
タッチパッドが配置されたステアリングホイール
SF90 スパイダーのステアリングホイールには、タッチパッドコマンドを導入。ドライバーは手をステアリングから離さずに、実質的に車両のあらゆる操作を行うことができる。今やアイコンとなったドライビングモードスイッチの「マネッティーノ」をはじめ、ヘッドライト、ウインドスクリーンワイパー、インジケーターなどの伝統的なコントロールはすべてステアリングホイールに配置されている。
新しいタッチ式コントロールのうち、右スポークのパッドで中央のインストゥルメントクラスターを操作。左側のスポークにはボイスコントロールとクルーズコントロール、中央エリアの左下にはパワーユニットのモードを選択する4個のボタンが並ぶ。
従来モデルの特徴だったF1ブリッジはセンタートンネルから姿を消し、代わってフェラーリを象徴するマニュアルシフトゲートの現代版ともいえるデジタル式ノブが配置された。センタートンネルの最下部には、新しいイグニッションキーを収めるコンパートメントもレイアウトされている。
【SPECIFICATIONS】
フェラーリ SF90 スパイダー
ボディスペック:全長4704 全幅1973 全高1191mm
ホイールベース:2649mm
トレッド:前1679 後1652mm
乾燥重量:1670kg
・内燃エンジン
エンジンタイプ:90度V型8気筒DOHCターボ
総排気量:3990cc
ボア×ストローク:88×82mm
最高出力:780cv/7500rpm
最大トルク:800Nm/6000rpm
最高許容回転数:8000rpm
圧縮比:9.4:1
・電気モーター
eDrive 最高出力:162kW
eDrive 航続距離:25km
バッテリー容量:7.9kWh
最高システム出力:1000cv(735kW)
トランスミッション:8速F1デュアルクラッチ・ギヤボックス
駆動方式:AWD
タイヤ&ホイール:前255/35 ZR20(9.5J) 後315/30 ZR20(11.5J)
乾燥パワーウェイトレシオ:1.67kg/cv
重量配分:前45% 後55%
トランク容量:74リットル
燃料タンク容量:68リットル(リザーブ11リットル)
0-100km/h:2.5秒
0-200km/h:7.0 秒
100-0km/h:29.5m以下
最高速度:340km/h
フィオラノのラップタイム:79.5秒
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