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ビッグ・シトロエン復活 C5 Xの乗り心地は? ID 19 XM 新旧ハイドロを比較 後編

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ビッグ・シトロエン復活 C5 Xの乗り心地は? ID 19 XM 新旧ハイドロを比較 後編

センター・スフィアを装備する進化版のXM

シトロエンID 19が搭載する、ハイドロニューマチックの技術はDSと同等。張り巡らされたオイルの回路が、サスペンションからガスが封入されたスフィアへ圧力を伝える。パワステとクラッチ、油圧ブレーキのアシストも、すべてまかなわれている。

【画像】ビッグ・シトロエン復活 シトロエンC5 X ID 19とXM 小さいC4 XとサルーンのDS9も 全118枚

ただし、フランス市場向けのIDは価格を抑えるため、装備などが省かれていた。トランスミッションは、ハイドロニューマチックが変速機構を担うセミ・オートマティックではなくマニュアルだし、パワーステアリングもオプションだった。

「快適なシリーズ1のランドローバー・ディフェンダーを運転していると、想像してみてください」。と、オーナーのエドモンド・ヒル氏が事前に話していた。確かに、そんな印象へ近いかもしれない。

彼のID 19のリアドアは、きれいに閉まらない。走行中は風切り音やロードノイズがはっきり聞こえてくるが、その隙間以外からも小さくない。

ロブ・ドレイパー氏のシトロエンXMも、ステアリングとブレーキ、トランスミッション、サスペンションを油圧システムが担っている。だが、進化版となるハイドラクティブ・ハイドロニューマチック・サスペンションの第1世代を搭載する。

前後のアクスルにセンター・スフィアをそれぞれ備え、多くのセンサーが追加され、油圧を左右個別に制御。ボディロールを抑えている。

運転でわかるハイドロニューマチックの強み

DSやXMへ乗ると、シトロエンが乗り心地で定評を築いたハイドロニューマチックの強みが見えてくる。まず車高を調整できる点は、砂利道や高速道路で間違いなく効果的だろう。どちらも、比較的短時間に高さが変化する。

走行中は加減速時の上下動、ピッチングが抑えられている。セルフレベリング機能も備わるため、トレーラーの牽引時も有効だ。路面の凹凸やうねりを越えても、想像通りボディは水平に保たれる。

ワダチを横断するような場面で、XMは若干ボディの動きが目立っていた。ID 19は走行中に聞こえるノイズが大きいため、気にならないだけかもしれない。

コーナーへ侵入すると、IDもXMもボディロールを許す。運転へ慣れるまでに少しの時間が求められるが、グリップ力は高くステアリング・フィールは悪くない。速めのペースでカーブが連続する区間をスムーズに縫え、想像以上の充足感がある。

感心したのが、速度域が上がるほどハイドロニューマチックが機能すること。低速域での隆起部分のいなし方にも唸らされるが、80km/hから110km/hの速度域では、素晴らしい安定性を披露する。

ID 19でもサスペンションが懸命に動き、ボディはフラットに保たれる。風切り音などのノイズが大きくなるとはいえ、素晴らしい。

ゼロキャンバー角、ゼロキャスター角が生む、センタリング性の強いステアリングはIDの特長といえる。大きなボディを導きやすい。XMのステアリングホイールはやや重め。レシオは速いが、手応えは一貫性が乏しいようだった。

柔らかい特性が異なるCX 5と先輩モデル

シトロエンCX 5へ乗り換えると、シャシーの全体的な洗練性や、車内の遮音性の高さへ気が付く。30年や50年前のモデルと比べて、磨き込まれた印象を受けるのは当然といえるだろう。

シトロエン・ファンは、古いハイドロの走りを「魔法のじゅうたん」だと表現する。半世紀も前のシトロエンが、最新モデルより洗練性や快適性で勝ると信じるマニアもいる。確かにソフトだが、前方から強く吹く風も実感できる。

ただし、CX 5のプログレッシブ・ハイドローリック・クッション(PHC)はDSより静かで、XMより優秀といえるが、柔らかい特性も異なる。従来のように路面から浮いた印象はなく、速度域を問わず、走行中はタイヤの動きが伝わってくる。

加減速時のピッチング制御でも、先輩には及ばない。速度域が上昇するほど、一方的にソフトさが増すようだった。

とはいえ車内は静かで、より速く、外界との隔離性に優れ運転しやすい。ドライバーの操作に対する反応も好印象で、労力は遥かに少ない。アダプティブ・クルーズコントロールなど、現代的な装備も一式備わる。すべての面で、CX 5はラグジュアリーだ。

ハイドロニューマチックは、世界で最も独創的だったメーカーが現在のようなシガラミのない時代に発明した、革新の技術といえた。2023年に乗り比べても、アドバンテージを実感できるほど。

現在の同社は、ステランティス・グループの一員として、落ち着いたブランドになったように思う。それでも、ビッグ・シトロエンの復活に感謝したい気持ちは変わらない。

シトロエンID 19とXM、C5 Xのスペック

シトロエンC5 X ピュアテック130 シャインプラス(英国仕様)

英国価格:3万1160ポンド(約501万円/試乗車)
全長:4805mm
全幅:1865mm
全高:1485mm
最高速度:209km/h
0-100km/h加速:10.4秒
燃費:14.7-17.2km/L
CO2排出量:137g/km
車両重量:1418kg
パワートレイン:直列3気筒1199ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:130ps/5500rpm
最大トルク:23.4kg-m/1750rpm
ギアボックス:8速オートマティック

シトロエンID 19(欧州仕様)

英国価格:1745ポンド(新車時)
全長:4826mm
全幅:1791mm
全高:1464mm
最高速度:152km/h
0-100km/h加速:18.4秒
燃費:10.3km/L
CO2排出量:−
車両重量:1168kg
パワートレイン:直列4気筒1911cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:84ps/4500rpm
最大トルク:14.4kg-m/3500rpm
ギアボックス:5速マニュアル

シトロエンXM(英国仕様)

英国価格:1万7655ポンド(新車時)
全長:4708mm
全幅:1793mm
全高:1392mm
最高速度:204km/h
0-100km/h加速:11.5秒
燃費:12.4km/L
CO2排出量:−
車両重量:1310kg
パワートレイン:直列4気筒1998cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:129ps/5600rpm
最大トルク:18.0kg-m/4800rpm
ギアボックス:4速オートマティック

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