大波乱のレースとなった2019スーパーGT第6戦オートポリスは、最後までスリックタイヤで走りきる決断をした#60 SYNTIUM LMcorsa RC F GT3(吉本大樹/宮田莉朋)がGT300クラスを制した。参戦100戦目を迎えた吉本が優勝を飾り注目を集めた。だが、そのパートナーである宮田にとっても“特別な1勝”となった。
「今回はクルマもタイヤも自信があったので、それを信頼して走りました。僕のことよりも、RC F GT3の開発から頑張ってきたチーム、TRDの皆さん、吉本選手、飯田章監督におめでとうと言いたいですし、感謝しています」
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オートポリスの優勝記者会見でそう語った宮田。彼らしい謙虚なコメントではあったが、どこか自身の心の中で“ガッツポーズ”をしているような表情をしていたのが印象的だった。
それもそのはず。この勝利が彼にとってGT300初優勝だったからだ。
「ここに来るまで……長かったです。例えば、今年でいうと阪口(晴南)選手がいきなり(GT300に)きて優勝していましたが、それに対して僕はトップ争いをする機会すらなかったです」
「正直スーパーGTではトップ争いをして、もっと表彰台に乗りたい、優勝したいとずっと思っていました」
今季のGT300クラスでは同世代の福住仁嶺、阪口晴南、サッシャ・フェネストラズといったドライバーが活躍し、阪口は早くも2勝をマーク。フェネストラズと福住は2位表彰台を経験し、シリーズランキングでもトップ争いを繰り広げている。
それに対し宮田は今季表彰台獲得がない状況で、前戦の第5戦富士では22位に終わるという散々な結果だった。同世代のライバルが脚光を浴びる中、宮田の中で徐々に焦りが増えていったが、その分“結果を残したい”という想いが消えることは決してなかった。
「今年の60号車はダンロップタイヤにスイッチしましたが、『1年目だから』と言い訳をしたくなかったです。実際にダンロップでも(今年)勝っているチームがいたので、そういう意味では自分も勝たないといけないなという気持ちで臨んでいました」
「あと、もう1台のRC F(96号車)が勝っているのに、僕たちはポイントを獲れるか獲れないかのところで戦っていました。それこそ、GT500で代打として参戦した時も満足いくレースをすることができず終わってしまいました」
そんな中で迎えた第6戦オートポリス。レース中は天気が目まぐるしく変わり、途中のピットストップではどのタイヤを装着するか、ほとんどのチームが頭を悩ませた。
60号車は宮田がスタートスティントを担当したが、ベテランでも判断を迷う難しいコンディションの中で、これまで培われてきた彼の経験が勝利を呼び込むきっかけとなった。
「雨に関しては5月のF3や7月のスーパー耐久で(オートポリスの)雨を経験していました。このくらいの雨だったら、スリックタイヤで攻められるというのを分かっていたので、決勝が始まる前からチームにも『このコースに関しては、少しの雨でもドライタイヤで行ける可能性はある』とずっと言っていました」
「だからセーフティカーが出る前も雨が降っていましたがステイアウトしました。その後も可能であればドライタイヤでいけるところまで追い上げていくという状況でした。それが本当にうまくいきました」
「吉本選手がドライタイヤでいって苦戦していたので、最初は僕が無駄なインフォメーションをしてしまったな……と思った部分がありました。でも、最終的にそれを味方にして優勝できたので、本当にホッとしていました」
「勝つまでに少し時間がかかってしまいましたが、やっぱりこの1勝は特別なものです。やっとFIA-F4で2年連続チャンピオンを獲った人がスーパーGTでも勝てるんだな、というのを少しは証明できたかなと思います」
また宮田は、今回の勝利で“諦めないことの重要さ”を改めて学んだという。
「ある意味、前回の富士ではビリ争いをしていたのに、(今回)優勝できたというのは……今後レースをやっていく上でも『諦めてはいけない』『腐らずにやっていく』ことが、いかに大事なのかということが分かりました」
「チームもそれ(諦めない気持ち)をずっと持ってやってきたと思います。それを信頼して優勝できたことはすごく嬉しいです」
これでスーパーGTでもようやく勝ち星がついた宮田。これからは2勝目、3勝目を狙っていくことになるが、今週末行われる第7戦SUGOでは、さらに力強い走りを披露したいと語った。
「SUGOは、クルマ的に得意というか合っているサーキットのひとつです。昨年は僕のミスで最終コーナーを飛び出してしまい、最終的にポイントは獲れましたが、もっと良い結果を残せたはずのレースでした」
「今年のSUGO大会に関してはダンロップさんが用意してくれたタイヤをうまく使って、純粋に全部のスティントでトップを走れるようにしっかりと準備していきたいです」
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