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アルファタウリF1コラム:走れずに終わったモンツァで角田に現われた変化と成長。リカルドの加入が刺激に

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アルファタウリF1コラム:走れずに終わったモンツァで角田に現われた変化と成長。リカルドの加入が刺激に

 チームにとっては地元戦。イモラがキャンセルになってしまっただけに、このモンツァに掛けるアルファタウリの思いはより一層強く、角田裕毅(アルファタウリ)としても「とにかく今週末はいい結果を獲得できれば」という思いでイタリアGPに臨んだ。

 夏休み明けのオランダGPでは、予選でトラフィックに巻き込まれてアタックを決めきれず、グリッド降格ペナルティまで受けて17番スタート。1周目の雨に賭けた戦略が成功し8番手に浮上しマクラーレン勢やメルセデスAMG勢を押さえる奮闘を見せたが、ライバルたちが2セット目のソフトに履き替えるなかでステイアウトを選択し、後退を余儀なくされた。

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「チーム全体で決めたことです。ペース自体がそこまでよくはなくてトップ10に余裕で入れるという感じでもなかったので、何かに賭けなければいけないということで賭けに出てステイアウトすることにしたんです」

 角田はこう説明したが、これはずっと押さえ続けていたランド・ノリス(マクラーレン)に先にピットインされてアンダーカットされることが確実になってからの話だ。フレッシュなソフトタイヤのペースが非常に強力であることが分かってからもステイアウトを選んだのは、追随してもマクラーレンやメルセデスAMG勢と真っ向勝負で戦うことが難しいと判断したからだ。

 だが、ノリスより先にピットインしてアンダーカットを阻止し、最後まで押さえ続けるという戦略を採らなかった理由はそれとは違う。

「ソフトタイヤが思ったより悪くないのでソフトで行こうというのは事前に決めていて、そのうえでレースのなかでデグラデーションがどうかを見て戦略を決めることにしていましたが、僕としてそこまで大きくラップごとに落ちていくという感覚がなかったので、マシンバランスも悪くないし最後まで行けるんじゃないかなという状況でした。チームとしてもステイアウトで行けるということだったので、僕もそれに賛成しました」

 ソフトタイヤのペースは落ちていなかった。しかしそれは、土曜から日曜午前まで降り続いた雨でリセットされた路面が急速に改善していったからで、実際にはタイヤ自体は大きく劣化していた。だからライバルたちはフレッシュなタイヤに換えた途端に大きくペースアップしたのだ。

 実はアルファタウリはその路面改善を読み間違え、タイヤのデグラデーションを読み間違えていた。その結果、レース戦略のシミュレーションが提示する戦略オプションが間違っているのは当たり前のことだった。

 アルファタウリはノリスよりも先にピットインすることを検討していたが、戦略シミュレーションがステイアウトが最適であると提示していたとジョナサン・エドルスは語る。

「自分たちのデータを見れば、結果的にはもう一度ピットストップすべきだったのは明らかだ、しかしシミュレーションツールが間違った答えを我々に提示していた。ツールへの入力に問題があったため、間違った答えが弾き出されていたんだ。ノリスが先にピットインした時点でアンダーカットされてトラックポジションを失うのは自明で、そうなるとあとはステイアウトし雨を待つというギャンブルを採るしかなかったというわけだ」

 とはいえ、オランダで8番手を走ることができたのは1周目の雨でギャンブルが成功しただけであって、マシンのポテンシャルとしてはそのポジションをキープする力がなかったことも事実だ。

 だが、イタリアGPは違った。

 予選Q2で角田は10番手ノリスに0.013秒差で11番手となりQ3進出を逃したが、アスカリシケインでのオーバードライブがなければ充分にQ3進出が可能だっただけに角田は悔しがるだけでなくチームに対して謝罪の言葉を述べた。

「クルマにはQ3に進む速さがあったんですが、僕がまとめきれませんでした。昨日から今日にかけてマシンは大きく改善されていましたし、クルマのバランスもよかったです。Q2でもアタックに送り出してくれたトラックポジションもよかったですし、チームは本当に素晴らしい仕事をしてくれたと思います。だからこそ自分自身に対して腹が立っていますし、チームに対して申し訳なく思っています」

 この姿勢は、シーズン後半戦になってはっきりと角田に現われた変化であり成長だ。これまでのような、自分のためにチームが働くという考え方ではなく、自分もチームの一員でありそれを引っ張っていかなければならないというチームリーダーとしての意識と責任感。シーズン後半戦に入ってからの角田の変化は、間違いなくダニエル・リカルド加入によって受けた刺激と学習が元になっている。

 イタリアGPではチームのために絶対に好結果を掴み獲りたいという思いを強く持っていたのもそのためだ。

 結果的に決勝はフォーメーションラップでパワーユニットにトラブルが発生し、走ることができなかったが、角田はそれにフラストレーションを爆発させることもなく、チームへの気遣いができたのも大きかった。

「何もできずに終わってしまったのはもちろんかなり悔しいです。でもこれが今シーズン初のメカニカルトラブルですし、トラブル自体は仕方がないことですし、ポジティブな面に目を向けて次のシンガポールで力強いレースができればと思います」

 トラブルが発生したPUはおそらくもう再使用は無理だろうが、まだプールにはこれまで使ってきたPUが残っており、日本GPまでに5基目を投入してペナルティを受ける必要はないという。そしてシンガポールには大きなアップデートが入る予定だ。

 アルファタウリとしてはバクーやモナコと同様に好走が期待できるシンガポールで好結果を手にし、鈴鹿へと弾みを付けてもらいたい。

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  • 「しかしシミュレーションツールが間違った答えを我々に提示していた。ツールへの入力に問題があったため、間違った答えが弾き出されていたんだ。ノリスが先にピットインした時点でアンダーカットされてトラックポジションを失うのは自明で、そうなるとあとはステイアウトし雨を待つというギャンブルを採るしかなかったというわけだ」
    ステイアウトした結果、ノリスどころか大幅にポジションを失った。ノリスに先にピットインされたからギャンブルを採るとは、あまりにも諦めが早過ぎるのでは?
    ツールがいつ間違っていると気付いたのかは分からないが、ツールは必ずしも当てにはならないと常に思い、生身の人間がレースの状況変化を察知して直ちに戦略に結びつけなければならないのだろうが、それができないと言っているようなもの。
    それらがトップチームと、このチームとの大きな差である。
  • 走れない方が成長するなら
    これから先もずっと走らない方が良いのでは?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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