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平成の「走るラブホ」ホンダS-MXは本気の恋愛仕様だった! オプションのカーテンにあったポケットの使いみちとは?

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平成の「走るラブホ」ホンダS-MXは本気の恋愛仕様だった! オプションのカーテンにあったポケットの使いみちとは?

わずか6年で消えてしまったS-MX

1990年代、クルマdeデート……そんな機運が盛り上がっていた。なかでも1996年に発売されたホンダの「ステップバーン」=S-MXは、当時、筆者がクルマ記事担当だった講談社の伝説の男性誌、デートマニュアルの必読本だったHOTDOG PRESSでも大きく取り上げた恋愛仕様カーそのものだった。

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SM−Xの最大の特徴は後席とのフルフラットアレンジ

そんなS-MXは、開発コードのネーミングをそのまま車名にした、かつてのステップバンにリスペクトしたクルマでもあった。だが、じつは初代ステップワゴンを2列仕様とし、短くしたトールワゴン・プチバンだった(今ならホンダ・フリード+、トヨタ・シエンタ2列シート、スズキ・ソリオやトヨタ・ルーミーに相当するキャラクター)。運転席側リアドア(スライドドア)がない点も、初代ステップワゴンと合致する。つまり、初代ステップワゴンの弟分がS-MXというわけだ(開発陣も同じはず)。エンジンなど基本部分も初代ステップワゴンそのものだったのである。

最大の特徴は、前席ベンチシート&コラムシフトによる、後席とのフルフラットアレンジだ。つまり車内をセミダブルベッド化でき「どこでもラブホ」になる。ちょうどいいところにティッシュボックス置き場があったり、オプションのカーテン=プライバシーシェードには、“アレ”を忍ばせておく小さなポケットまで付いていて、気が利いていた。

前後席をフルフラット化し、後席のシートバックをやや立てればリラックスカウチソファ!? 的にもなったし、また、後席300mmのロングスライドによって、後席は足元広々のフカフカなラブソファにもなったのである。

メーカー純正でローダウン仕様があった

そして、「恋愛仕様」とともにあるもうひとつのキーワードが「ワル」。これはメーカー純正にして「ローダウン仕様」があったことを証明する。つまり、完全に若者、カップル向けのプチバンと言っていいのがS-MXだったわけだが、改めて主要諸元を振り返れば、ボディサイズは全長3950mm×全幅1695mm×全高1750(ローダウンは1735)mm、ホイールベースは2500mmの定員は4名だった。

パワーユニットは2L直4、最高出力は130ps、最大トルクは18.7kgmを発生し、トランスミッションは4速ATを組み合わせていた。タイヤサイズは195/65R15で10-15モード燃費は11.2km/L(FF)というものだった。価格は167万円からと、若者にも買いやすい設定となっていた。

初代ステップワゴンと同じような走りのテイストだった

ところで、走行性能はどうだったかと言えば、初代ステップワゴンのように誰もが乗りやすいフツーさが特徴だった。だが、ローダウン仕様になると、期待通りの乗り心地の硬さがあり、それはそれで楽しさがあった。ただし、パワーステアリングはごく軽く、運転のしやすさはあったものの、ローダウンでガンガン走るようなキャラクターでは間違いなくなかったと記憶している。基本的には初代ステップワゴンと同じような走りのテイストなのである。

1996年11月に華々しく登場したS-MXだが、2000年12月にフロントマスクの一新などのマイナーチェンジを行ったものの、2年後の2002年に生産終了。述べ、6年の寿命だった。その理由はもちろん、兄貴のステップワゴンの存在。

同じようなパッケージで、より室内が広く、3列シートがあり、価格も大きく変わらないのなら大人気のステップワゴンでいいじゃん……というユーザーが、ファミリー層だけでなく、若者にも浸透してしまったからだと考えられる。実際、ステップワゴンは初代も大人気となり、日本の多人数乗用車、ファミリーミニバンのパイオニアとして君臨し、その2代目が2001年に登場。S-MXの陰が一層、薄くなってしまっても無理はなかった。

だが、今のアウトドア&車中泊ブームの最中であれば、5ナンバーサイズで乗れるカップル用のアウトドア、車中泊に対応する、大きくなったステップワゴンとフリード+の中間に位置する、ドレスアップも楽しい令和の「恋愛仕様」&遊びグルマとして、より大きな人気を得たかもしれない。

なお、現在の中古車価格はベースグレード、ローダウンモデルを問わず、40万円~50万円あたりが相場となっている。

文:Auto Messe Web 青山尚暉
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