現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 実際どうなの? クラッチ操作不要のヤマハ「MT-07 Y-AMT」 価格差9万円弱を埋める楽しさはそれ以上だった!?

ここから本文です

実際どうなの? クラッチ操作不要のヤマハ「MT-07 Y-AMT」 価格差9万円弱を埋める楽しさはそれ以上だった!?

掲載 30
実際どうなの? クラッチ操作不要のヤマハ「MT-07 Y-AMT」 価格差9万円弱を埋める楽しさはそれ以上だった!?

マニュアル操作の自動化によって、新たなページが開かれる?

 このところ、ホンダの「E-Clutch」、ヤマハの「Y-AMT(ヤマハ・オートメイテッド・マニュアル・トランスミッション)」、そしてBMWの「ASA(オートメイテッド・シフト・アシスタント)」などなど、マニュアルギアボックスをそのまま自動化することで新たなライディング体験を提供するメーカーとバイクが増えています。

【画像】ナルホド!! クラッチ&シフト操作から解放されたら新たな楽しさに気づいたヤマハ新型「MT-07 Y-AMT」を見る

 ナニを隠そう、私自身(筆者:松井勉)もBMW Motorrad「R 1300 GS」に装備されたASAに乗る1人として、クラッチ&シフトチェンジを自動化している「Y-AMT」には興味津々。初号機とも言える「MT-09 Y-AMT」は未体験なものの、新たに加わった「MT-07 Y-AMT」に乗れるとあって試乗を楽しみにしていたのです。

 そもそも「MT-07」は、スリムで700ccクラスだからといってことさら大きさを主張するタイプではありません。「MT-25」や「MT-03」などから乗り換えてもほどよいボディサイズと余裕のあるエンジントルクで、乗りやすさが魅力です。なによりデザインもカッコイイですし。

 タイヤサイズなどこのクラスならでは。そのワイドさで排気量とパワー、トルクを意識させますが、「Y-AMT」モデルで通常の「MT-07」より4kg増量しても187kgとなる車重は、扱いやすいバイクとして取り回しの段階からフレンドリーです。

 フェイスデザインは先代以上のコンパクトさの中に「MT」らしさを秘めたもの。左右に配置したLEDスモールランプと中央にあるヘッドライトで主張します。

 跨がるとメーターやハンドルスイッチまわりが刷新された新型を意識させます。スマホアプリとの連動で様々な拡張機能を活用できるこのモニターは、ハンドルスイッチから操作が可能なのも2025年の今にとっては必須の装備でしょう。

 ステップ位置が下方に移ったこともあってか、身長183cmの私には少しゆとりあるライディングポジションに思えます。燃料タンクまわりのスリムさやシート前端部分を細く合わせ込んだボディラインは相変わらず。足つき感はさらに向上した印象です。

 位相クランクを持つ直列2気筒エンジンを始動すると、パルス感あるアイドリング音が耳に届きます。エンジンの回転はスムーズです。

 吸気系経路にあるパーツを最適化してエンジン特性はもちろん、ライダーの耳に届くサウンドまで磨き込むのがヤマハ流。市街地中心の試乗でその心地よさはどこまで感じられるのでしょうか。

 そして「Y-AMT」です。まずはATモードを選択。左スイッチボックスにある「+」「-」が印字され、人差し指と親指で操作するシーソースイッチから1速にシフト。アクセルを開くと滑らかにクラッチを操作し、前に押し出されます。

 混雑した市街地の道路、エリア30km/hの狭い道を行く場面でも違和感は皆無。動き出してほどなく2速にシフトしても、変速音がエンジンケースの中でカツンとするだけでシフト後のギクシャク感なく進みます。大通りに出てからも変速時のカチョンという音と振動は伝わるものの、走行の滑らかさはそのまま。

 そもそも3000回転もあれば加速が事足りるのが「MT-07」です。低いエンジン回転、少ないアクセル開度でシフトアップすると、ワイドに開けたときよりも少々シフトショックがあるような印象でした。

 自動で変速するATモードでもシフトスイッチは作動するので、自分が欲しいタイミングでシフトアップをしてみることも可能。これは2000回転程度でシフトアップして、エンジンのパルス感を楽しめたのでお試しの価値アリです。

 今回、エンジン回転を上げることも少なく自慢の吸気音を楽しむまでには至りませんでしが、全体に2気筒エンジンが持つ加速とトルク、排気音など全体は心地よく感じました。

 スポーツ、ストリート、カスタムと3つあるライディングモードは、ストリートが多様な路面状況を想定したモード、スポーツはワインディングやサーキットを視野に入れたダイレクト感あるモード、カスタムはスロットルレスポンスやトラクションコントロールをライダーの好みに合わせて保存できるモードです。

 さらに「Y-AMT」のシフトスケジュールにも、ATモードの場合は通常のDモードと、回転を高めまで引っ張るD+というモードがあります。

 この日、マニュアルシフトで走るよりも市街地ではATモードが個人的に好感触だったので、DとD+を切り替えながら走りました。気持ち的にはスポーツモードだとD+、ストリートモードだとD、というパワーデリバリーによってそのように集約されるようにも感じました。

 バイクのブレーキ、旋回性などは意のままながら走る、曲がる、停まる、操作を優しくライダーに伝えてくれるのです。

 フロントフォークのアッパーブラケットやホイールなど、旋回を生み出す瞬間に効く軽量化がなされたはずなのに、キュンと曲がり出すような動きをしません。前後に履くダンロップのSPORTMAX Q5Aというタイヤもグリップとハンドリングを重視しているにもかかわらず、急かされないのは嬉しい誤算。

 タッチの良いフロントブレーキも市街地走行では使用頻度が高いので、バイクの良さを味わえました。これも実は「Y-AMT」のおかげだ、と気が付くのです。

 普段、クラッチ操作とアクセルワーク、シフト操作をシンクロさせるのにライダーとしての意識の大半が総動員されていて、こうしたバイクそのものの味わいにまで気持ちが振り分けられていないのかも、と感じたワケです。

 結論として、バイクを味わうフィーリングの深さはクラッチ操作が無い方が楽しめるのかな、と新たな魅力を発見した試乗でした。

 市街地中心でこれですから、風景の綺麗な場所や魅力的なワインディングを走ったら、きっとまた新たなページが開かれるのでは……。ナルホド、9万円弱の価格差がある「Y-AMT」搭載の「MT-07」ですが、テストが終わる頃にはすっかりお気に入りだったのです。

※ ※ ※

 2025年でモデルチェンジとなったヤマハ「MT-07」は、バリエーションとして今回試乗した「Y-AMT」搭載車も設定されました。価格(消費税10%込み)は「MT-07」が96万8000円、「MT-07 Y-AMT」が105万6000円です。(松井勉)

文:バイクのニュース 松井勉
【キャンペーン】第2・4金土日は7円/L引き!ガソリン・軽油をお得に給油!(要マイカー登録&特定情報の入力)

こんな記事も読まれています

「軽なのに高すぎる?」 N-BOX首位返り咲きも販売10%減――“安価で手軽”が通用しない軽市場の現実
「軽なのに高すぎる?」 N-BOX首位返り咲きも販売10%減――“安価で手軽”が通用しない軽市場の現実
Merkmal
「トンネルモード」ってナニ? さらなるサウンドの感動をお届けするためにポルシェは「トンネルモード」の特許を取得した
「トンネルモード」ってナニ? さらなるサウンドの感動をお届けするためにポルシェは「トンネルモード」の特許を取得した
AutoBild Japan
ボルボの安全研究、開発専門家が語る『高齢ドライバー安全運転』の10ポイント!【死傷者ゼロに向けた挑戦】
ボルボの安全研究、開発専門家が語る『高齢ドライバー安全運転』の10ポイント!【死傷者ゼロに向けた挑戦】
AUTOCAR JAPAN
シトロエン『C4マックス・ハイブリッド』をアップデート。黒ルーフを採用した新デザインに
シトロエン『C4マックス・ハイブリッド』をアップデート。黒ルーフを採用した新デザインに
AUTOSPORT web
「小田急線沿いの幹線道路」今年度に4車線化完成! 交わる新トンネルは「遅れます」 川崎市「整備プログラム」の進捗公表
「小田急線沿いの幹線道路」今年度に4車線化完成! 交わる新トンネルは「遅れます」 川崎市「整備プログラム」の進捗公表
乗りものニュース
マルク・マルケスがBMW『M2 CS』獲得、2025年MotoGP最速予選ライダーに…BMW Mアワード
マルク・マルケスがBMW『M2 CS』獲得、2025年MotoGP最速予選ライダーに…BMW Mアワード
レスポンス
新参ガレージ59がドライバーラインアップを発表。アコーディスASPはレクサス継続へ
新参ガレージ59がドライバーラインアップを発表。アコーディスASPはレクサス継続へ
AUTOSPORT web
新車98万円! 「3人乗りトライク」公開に反響殺到! 「需要ある」「十分でしょう」 「普通免許」で公道OKな「丸目2灯顔マシン」! 高齢者にも良いEVジェネシス「スリールオータ」に注目
新車98万円! 「3人乗りトライク」公開に反響殺到! 「需要ある」「十分でしょう」 「普通免許」で公道OKな「丸目2灯顔マシン」! 高齢者にも良いEVジェネシス「スリールオータ」に注目
くるまのニュース
今こそおじさんが乗るべきお薦めのMT車3選! 脳トレにもボケ防止にもなる!
今こそおじさんが乗るべきお薦めのMT車3選! 脳トレにもボケ防止にもなる!
ベストカーWeb
シェフラーとシンガポール南洋理工大、ロボット・AI研究所を開設…自動車技術をロボット分野に応用
シェフラーとシンガポール南洋理工大、ロボット・AI研究所を開設…自動車技術をロボット分野に応用
レスポンス
イギリスの新しいF1王者に祝福を! キア・スターマー首相がランド・ノリス戴冠に祝意「本当に素晴らしい結果」
イギリスの新しいF1王者に祝福を! キア・スターマー首相がランド・ノリス戴冠に祝意「本当に素晴らしい結果」
motorsport.com 日本版
ボルボが『S60』と『V60』の合計2万2567台をリコール…最悪の場合、走行中にドアが開く
ボルボが『S60』と『V60』の合計2万2567台をリコール…最悪の場合、走行中にドアが開く
レスポンス
「4リングス」なきアウディの衝撃。全長5m超の巨躯EV「E7X」が体現する、“双方の世界”の到達点
「4リングス」なきアウディの衝撃。全長5m超の巨躯EV「E7X」が体現する、“双方の世界”の到達点
LEVOLANT
【バス運転士日誌】営業運転をして運転士として自分で気が付いたこと……とは?
【バス運転士日誌】営業運転をして運転士として自分で気が付いたこと……とは?
ベストカーWeb
6年ぶりに全面刷新! 日産「新型“4ドアクーペ”セダン」に注目! 精悍「黒マスク」×全長4.7m級で「ちょうどイイサイズ」! 豪華「白革内装」の高級仕様も設定される米国発表の新型「セントラ」日本導入の可能性は
6年ぶりに全面刷新! 日産「新型“4ドアクーペ”セダン」に注目! 精悍「黒マスク」×全長4.7m級で「ちょうどイイサイズ」! 豪華「白革内装」の高級仕様も設定される米国発表の新型「セントラ」日本導入の可能性は
くるまのニュース
揺れが収まるまで車内待機が鉄則!! 運転中に地震が起きたらどうすれば!? 専門家に聞いてみた
揺れが収まるまで車内待機が鉄則!! 運転中に地震が起きたらどうすれば!? 専門家に聞いてみた
ベストカーWeb
熱可塑性複合材料のEVバッテリー保護板、欧州自動車メーカー向けに2027年から生産へ…独Rochling
熱可塑性複合材料のEVバッテリー保護板、欧州自動車メーカー向けに2027年から生産へ…独Rochling
レスポンス
ナニコレ!? 「タイヤが多すぎるバス」なんでわざわざ“10輪駆動”に? その真の狙いとは
ナニコレ!? 「タイヤが多すぎるバス」なんでわざわざ“10輪駆動”に? その真の狙いとは
乗りものニュース

みんなのコメント

30件
  • 柴犬げんた
    もう、35年ほどオートバイには乗ってませんが、クラッチ操作ってそんなに面倒だったっけ??
  • saw********
    メーカーはユーザーに選択肢を提案
    しているのであり、自分に合わないなら
    他の選択肢も残してある訳だ。
    重箱の隅を突く文句が出る様な状況しか
    残されて居ない状況でも在るまい。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村