MotoGPのレジェンドであり、現在は4輪モータースポーツに挑戦しているバレンティーノ・ロッシ。だが来シーズンはレース活動を縮小し、世界選手権(WEC)とGTワールドチャレンジ・ヨーロッパ(GTWCE)にフル参戦することはないかもしれない。
BMWのファクトリードライバーであるロッシはmotorsport.comの取材に対し、第2子の誕生を間近に控えた家庭の事情もあり、出場するレース数を今年の計16戦から減らす予定だと説明している。
■MotoGPレジェンドのバレンティーノ・ロッシ、ついにWEC最高峰マシン挑戦。BMW LMDhでのテスト参加認める
今季はWECとGTWCEのエンデュランスカップに参戦しているロッシ。以前は来季も同様のプログラムを続けたいという意向を示していたが、彼の考えは変わったようだ。
「16レースは多すぎるし、MotoGPのときと同じ状況だ」
そうロッシは語った。
「2025年の目標は10~11レースを走ること。GTWCEとWECのどちらをやるか決めなければならない」
「片方(WEC)は世界選手権だし、タイトルを獲得することには特別な名誉がある。でもステファン・ラテル(SROの代表)がオーガナイズするレース(GTWCE)は本当に良いモノだ」
ロッシがレース活動の縮小を望んでいることは今に始まったことではないが、彼は以前、WECとGTWCEエンデュランスカップを組み合わせた計13レースのプログラムを「本当にいい数字だ」と評していた。
また、2025年2月に開催されるインターコンチネンタルGTチャレンジのバサースト12時間は自身の46歳の誕生日と重なるため、過去2シーズンと同様に出場する可能性は低いと当時は語っていた。彼のMotoGPキャリアを通じてのゼッケンが46番であり、特別な節目となるからだ。
しかし今、ロッシは彼の2025年シーズンが「バサーストから始まる」と話し、バサーストへの出場についても判断を変えた可能性がある。
チームWRTのヴァンサン・ボッセ代表は、motorsport.comにロッシの立場について明かした。
「ヴァレはレース数を減らしたがっている。そのためには、戦うチャンピオンシップをひとつに絞るしかない」
「決断を下さなければならない。WECをやるか、GTWCEをやるか。それは今のところ、まだはっきりしていない」
「多くの判断要素がある。WECでのBMWのパフォーマンスもそうだ。それは我々には予想できない。もうひとつが、バレンティーノのFIAドライバーカテゴリだ」
ロッシのドライバーカテゴリは今年、ゴールドからシルバーに格下げされ、これが今季WECのLMGT3クラスに参戦する道を開いた。LMGT3クラスは少なくともひとりはブロンズのドライバーを起用した上で、もうひとりシルバー以下のドライバーを起用する必要がある。ロッシがシルバーとなったことでラインアップの自由度が大きく上がったのだ。
もしロッシがGTWCEに専念した場合、ロッシが2度の優勝経験を持つスプリントカップの5レースまでプログラムが拡大される可能性はあるかと尋ねられ、ボッセ代表は「それはすべて議論の一部であり、明確な感触はまだない」と答えた。
今年はWECがプログラムに加わったため、ロッシがGTWCEスプリントカップに参戦したのはブランズハッチとミサノの2戦のみだ。
またロッシは、11月3日にバーレーンで行なわれるWECのルーキーテストで、ハイパーカークラスを戦うLMDh車両、BMW MハイブリッドV8をドライブすることを発表した。
BMWとWRTは、ルーキーテストに参加するかどうかも含め、ロッシがいつMハイブリッドV8をドライブするかは明言しなかったものの、年内にはそのステアリングを握ると認めた。
「我々が言ったように、彼は年内にプロトタイプをドライブするようだ。そのための最高の機会がルーキーテストだろう」
ロッシは、将来的にLMDhでレースをすることは「僕が設定したゴールではない」と強調しながらも、WECのトップクラスでレースをしたいという願望をほのめかした。
「ハイパーカーでレースをしたい。プロトタイプのMotoGPだと言えるからね」
「もしかしたら将来、ハイパーカーで走る場所があるかもしれない」
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