この記事をまとめると
■車両のアイドリング状態は環境にとってよくない
クルマのエアコン「A/C」オフの送風モード! いったいいつ使うもの?
■トラックドライバーが車内で休憩するときのために後付けの電動式冷房装置がある
■いま注目されている後付けの電動式冷房装置がどんなものか解説
トラックドライバーは車内で一夜を明かすことも多い
遅い梅雨入り、線状降水帯による異常豪雨、本格的な夏の真夏日や猛暑日など、今年も日本は異常気象に見舞われた。その原因はひとつではないのだろうが、CO2などによる地球温暖化問題が関係していることは間違いない。こういった背景のもと、人々の関心が環境問題に向けられるのは自然なことだ。
日本の物流輸送に欠かすことのできないトラックも、例外ではない。それどころか、CO2に加えてNOx・SOx・PMを排出するディーゼルエンジンに対しては、世間の風当たりがかなり強いといえよう。トラックドライバーが休息中に、エアコンやヒーターをつけるためにアイドリング状態を保つのは、もってのほかだという意見も少なくないのだ。
とはいえ、日を跨いで長距離を走る彼らは、その多くがパーキングエリアなどに車両を停めて、一夜の休息をとることになる。真夏の熱帯夜や雪が舞う極寒の時期に、エンジンを止めたキャビンのなかで仮眠をとるなどということは、命にかかわる大事に発展しかねない。不本意ながら、エンジンをかけることで動力を得て、冷・暖房装置を稼働させるしかないということになる。
確かに、メッシュシェードやトラック用寝具などという便利グッズがあり、それを利用することも可能だ。前者は、窓に装着すれば網戸のような効果が得られるアイテム。休息するときに窓を開けても虫などが入らず、風を通してキャビン内の室温上昇を抑える効果がある。後者はキャビン内で寝るときに使用する寝具で、軽くて温かいものが多い。ただ、昨今の異常気象にこれらのグッズだけで、十分な対応できるのかといわれると疑問が残る。
後付けの電動式冷房装置はエンジンをかけずに使用できる
そこで注目されているのが、後付けの電動式冷房装置だ。既存の車載バッテリーから給電し、コンプレッサーを作動させることでキャビン内の空気を冷やす。心配なのはバッテリー上がりだが、これには対策機能がついている。一定の電圧降下があると、自動的に運転が停止するというものだ。
また、「エコモード」「ナイトモード」などといった設定があり、電力消費を抑えることが可能な設計になっている。これなら、熱帯夜でもエンジンを動かすことなく、快適な睡眠をとることができるようになるだろう。
暖房装置も同様に、エンジン動力を使わないタイプのものが開発されている。そもそも、トラックを含めた自動車の暖房装置は、エコの面で優れているとされる。なぜならば、エンジン排熱を利用するシステムを採用しているからだ。しかし、これはあくまでエンジンを動かしていることが前提で、環境的な問題まで解決しているわけではない。
あと付けの暖房装置は燃焼ヒーター方式のもので、燃料は化石燃料を使用する。ゆえに、電気式の冷房装置に比べるとやや環境評価は劣るものの、完全に燃焼するシステムを採用しているので、エンジンをかけるよりもはるかに優れた構造であるといえよう。燃焼ガスは車外に排出するから、キャビン内は安全だ。燃焼や温度の調整は、手もとにあるコントロール装置で行なう。オーバーヒートについても、センサーにより強制的に燃焼装置を停止するといったセーフティ機能がある。
今後、トラックのEV化が進めば、こういった装置は不要になっていくかもしれない。しかし、トラックのEV化はまだ緒に就いたばかりだ。まして、長距離大型トラックのEV化にはまだまだ課題が多く、実用化の目途が立っているとは言い難い。喫緊の課題である地球環境問題に対応するためには、こういったアイテムを積極的に導入していく必要があるようだ。
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