旬なクルマの情報を網羅した「モーターファン別冊 統括シリーズ」。今回は「Vol.108 2018-2019年 最新ミニバンのすべて」から「トヨタ・ヴェルファイア」の一部を抜粋してご紹介。2008年に初代モデルが登場し、兄弟車の「アルファード」とともに高級ミニバンの礎を築いた「ヴェルファイア」。2015年にデビューした現行モデルのキャッチはズバリ「圧倒するか、圧倒されるか」。そんな同車の魅力をモータージャーナリストの岡本幸一郎が語る。レポート=岡本幸一郎[本文]/山本晋也[写真解説] フォト=平野 陽
静粛性と操縦性が大幅に向上 V6のパワフルな走りが魅了
メルセデスAMG E53 4MATIC+:常用域でも435psの直6ハイテクエンジン搭載の実力の高さを過剰なまでに訴えかけてくる!
高価ながら驚異的な販売を見せるLLクラスの2台。3年目の大改良はデザイン、走り、装備、グレード体系に至るまで、かなり大掛かりなものだ。ヴェルファイアのテーマである「大胆不敵」がより一層強調されているのは見てのとおり。とりわけエアロ仕様の押し出しの強さは強烈そのもの。持ち前のインテリアの高級感もさらに高められている。
ドライブフィール全般も大きく洗練された。新型ではサスペンションチューニングを見直すとともに、これまでリヤサスペンション周辺のみに施されていた構造用接着剤の使用部位を大幅に増やしたほか、ガラスまわりへの高剛性接着剤の採用によるボディ剛性の向上が図られている。この効果は小さくなく、土台がしっかりしたことで足まわりがよく動くようになったことを直感する。
現行初期型でせっかくリヤマルチリンクサスペンションを導入したものの、これまではやや動きにフリクションを感じたのは否めず。それがかなり解消されて、ストローク感のある足まわりになった。ひいてはステアリングフィールも微小舵域から遅れなくリニアに応答し、走りの一体感も増すとともに、直進安定性も向上している。
静粛性も、上級グレードはこれまでフロントのみ採用していた合わせガラスを2列目にも採用したほか各部に手を加えたことが効いて、1列目と3列目間でもそのまま問題なく会話できるほど大幅に向上している。
走行性能面では、3.5ℓ車のパワートレーンが一新されたことにも注目だ。直噴+ポート噴射の2GR-FKS型ユニットは従来よりもずっとパワフルで振動も小さい。あえてV6を選ぶユーザーの期待にも大いに応えている。加えて文字どおりダイレクト感のある走りを提供する「ダイレクトシフト-8速AT」が、その良さを余さず引き出してくれる。なお、2.5ℓ車のパワートレーンに関する変更は伝えられていない。
また、最新の予防安全パッケージ「トヨタ セーフティセンス」が全車に標準装備されたのも大きな進化のひとつ。さらには、それぞれのグレードに合わせて、より実際のニーズに即した設定へと見直されたこともお伝えしておこう。例えば最上級の「エグゼクティブラウンジシート」は、これまで左右とも電動のみだったところ、3列目のアクセス性向上のため右側が手動で即座に動かせるようになった。また、ひとつ下の「エグゼクティブパワーシート」にもシートヒーターや読書灯が設定された。さらに、これまでファブリックと合成皮革のコンビだった中堅上級グレードのシート生地が質感の高い合成皮革になり、空調シートやステアリングヒーターも選べるようになった。こうしたユーザー本位の細やかな心配りも、さすがのものを感じさせる。知れば知るほど、現行初期型ユーザーも乗り替えたくなるのではと思わずにいられないほどだ。
より高級かつ上質に、より快適に。こうして非常に内容の濃いマイナーチェンジを行なったヴェルファイアだが、中身の進化を金額に換算するとそれなりになるであろうところ、価格はそれほど上昇していないのもありがたい。今後も高い人気を維持していくことに違いない。
ZG
全長×全幅×全高(mm):4935×1850×1935
室内長×室内幅×室内高(mm):3210×1590×1400
ホイールベース(mm):3000
トレッド(mm)前/後:1575/1580
車両重量(kg):2110
エンジン種類:V型6気筒DOHC
総排気量(cc):3456
最高出力(kW[㎰]/rpm):221[301]/6600
最大トルク(Nm[kgm]/rpm):361[36.8]/4600-4700
燃料タンク容量(ℓ):75(プレミアム)
トランスミッション形式:8速AT
駆動方式:FF
タイヤ・サイズ:235/50R18
最小回転半径(m):5.8
JC08モード燃費(km/ℓ):10.6
車両本体価格:494万7480円
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