現地時間5月30日に第105回インディ500の決勝レースが行なわれ、チップ・ガナッシ・レーシングのアレックス・パロウは2位でフィニッシュした。
予選では上位9台に4台全てのマシンを送り込んだチップ・ガナッシ。決勝レースでもスコット・ディクソンがトップを走ったが、コーションが絡んだガス欠で上位戦線から離脱。チップ・ガナッシにとっての二の矢がパロウだった。
■カストロネベス、46歳で4回目のインディ500制覇「これで終わりじゃない。まだまだ始まりだ!」
パロウはレース後半、35周に渡ってラップリードを記録するなど速さを見せた。必要な時に、イン側からもアウト側からもオーバーテイクをしかけられる非常に強力なマシンに仕上がっていた。
そんなパロウの前に立ちふさがったのが、4度目のインディ500制覇を狙うエリオ・カストロネベス(メイヤー・シャンク・レーシング)だった。両者は最後のピットストップを終えたレース最終盤、順位を入れ替えながら、決定的な勝負の瞬間を探り合っていた。
ピットストップを遅らせていた佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)がラスト6周でピットインし、優勝争いはほぼパロウとカストロネベスのふたりに絞られた。その瞬間が訪れたのは199周目、カストロネベスはアウトサイドからパロウをターン1でオーバーテイクしたのだ。
トップに躍り出たカストロネベスの前には、周回遅れのマシンが2台走っていた。カストロネベスはこの2台からトウ(スリップストリーム)を得ることができたため、パロウに逆転を許さず0.4928秒差でトップチェッカー。4度目のインディ500制覇という悲願を達成した。
インディ500挑戦2回目にして初完走、2位となったパロウだが、勝利を逃したことが「かなりつらい」と語った。
「ゴールするまでは、2位があんなにつらいものだとは思っていなかった」
「でもすごく誇りに思っているし、すごくハッピーだ。僕の10号車はとても速かったと思う。間違いなく、僕はベストなクルマを持っていた。本当に自信があったんだ。最後まで接戦だった。良かったのは2台ともがホンダエンジンだったこと。エリオとホンダにおめでとうと言いたい」
「僕はあらゆることを試したよ。でも正直に言うと、おそらくベストなドライバーのひとりに負けたことは良かったんだと思う。それがエリオだった」
「僕たちのクルマが最速だったと言ったのは、エリオが僕をパスした時、僕はすぐに抜き返すことができたからだ。でも最後に彼に抜かれた時は『ああ、これは僕にとっては悪いことになるかもしれない』と思ったよ。トラフィックに近づいていたからね。トラフィックに入った途端、2番手ではなく8番手みたいな感じになってしまうんだ。集団の中で8番手だった時、今日はパスするのが簡単ではなかったんだ」
「だからこそ、ターン3とターン4で必死になって追いかけた。でも十分ではなかった。確かに今日は、トラフィックのせいで状況が少し難しくなってしまった。でもそれはレースの一部だ。レースの他の部分では、トラフィックが僕を助けてくれたこともあった。今回、エリオは最後に少しだけラッキーだった。彼はそれにふさわしい」
インディ500挑戦2回目のパロウと、今回が21度目のインディ500だったカストロネベス。経験の差で不利になったのではないかと訊かれたパロウは、次のように答えた。
「分からないよ。最後の15周、全力で走っていたのか、それとも最後の4周まで僕を追い越すのを待っていたのか、彼に訊いてみないと分からない」
「もし彼が待っていたのなら、それはそれで経験になる。彼が全力だったのなら、彼の方がタイミングが良かったということだ」
「確かに、僕よりも18~19回も多く走っていれば、経験は多いということになるだろう。でも僕はとても楽しかった。彼から多くのことを学び、経験を積むことができた」
「彼に追いつくためにあらゆることをした。僕のマシンはターン2の立ち上がりがとても良かったので、ターン2やターン3で本当に良いバトルができると思っていた。少しずつ準備をしていたんだ」
「しかし、彼はバックマーカーからトウを得ていたんだ。それで直線でスピードが落ちなかった。それが僕にできる全てだった。僕は全てを出し切ったと思う。頑張りすぎて、ターン4でぶつかりそうになった瞬間もあった」
「こういうこともあるよね。今日は彼の方が良かったんだ」
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