ルノーのモータースポーツ部門であるルノー・スポールがチューニングを手掛けたモデルには、その略である“R.S.”の名が冠されている。メガーヌR.S.はそれだけでも十分な高性能ハッチバックだ。しかし、ルノーはそれに飽き足らず“トロフィー”の名を加えたハイパフォーマンスモデルを追加した。
ルノーというのは、走ることに関してじつにマニアック、かつ貪欲なメーカーだ。F1をみても、シャシーとパワーユニットの両方を自社で賄っているのはフェラーリとメルセデスとルノーの3社のみ。フォーミュラEでもスタート当初からマシンの共同開発に参画してきた。またレースのみならず、市販車においてもメガーヌ R.S.のセッティングのためにルノースポーツの開発ドライバーがわざわざ日本へとやってきて、サーキットから一般道までを走りこんで味付けをしている念の入れようだ。
トヨタ2000GTで1000kmのドライブに出かける VOL.2──連載「西川 淳のやってみたいクルマ趣味、究極のチャレンジ 第1回」
ギャラリー:微に入り細に入り手を入れ、よりR.S.らしくボディサイズは全長4410×全幅1875×全高1435mm。車両重量はEDCがベースより10kg軽い1470kg、MTが30kg軽い1450kgとされた。Derek Ichiro Makishima後輪を低速時には前輪と逆位相に、高速時には同位相に操舵する4コントロールを装着。4輪HCCはダンパー底部に組み込んだセカンダリーダンパーにより最適な減衰力が得られる、ラリー由来の技術だ。Derek Ichiro Makishimaルノー メガーヌR.S. トロフィー|Renault MEGANE R.S. TROPHYDerek Ichiro Makishimaエンジンサウンドを変更できるアクティブバルブ付きスポーツエキゾーストを装着。排気ルートの1つに機械式バルブが取り付けられており、バルブを閉じると低周波を除去した日常に適したサウンドに、バルブを開くとスポーティなサウンドに変更可能だ。Copyright image F1 Renault Group has the following worldwide rights of use until the 31/01/2019 and after that date only for aEDCと呼ばれる6速DCTに加え、6速MTも用意された。車両価格はEDCが499万円、MTが489万円となる。R.S.モデルではメガーヌGTよりフロント60mm、リア45mmフェンダーが拡げられた。フロント下部にはF1タイプエアインテークブレード、リアにはディフューザーを備える。F1タイプエアインテークブレードには“TROPHY”のロゴデカールがさりげなく配されている。レッドをアクセントとした専用19インチアロイホイールを装着する。フロントブレーキは前モデルより大型化された。ステアリングにはグリップ感に優れたナパレザーと、滑りにくいアルカンターラを組み合わせた。フロントシートにはアルカンタラを用いたバケットシートを採用、1脚の重量が23.5kgと軽量化にも貢献する。© Additive Studiosだから、ベースのメガーヌR.S.はとても乗りやすい、日本の道を走っても気持ちのよいモデルに仕上っている。一方でもっとR.S.らしいスポーティなものがほしいという要望があったのだろう。“トロフィー”では微に入り細にわたり手が入っている。
Derek Ichiro MakishimaFFとは思えないほどコーナーをぐいぐい曲がる代表的な変更点を列挙すると、まずエンジンはターボチャージャーに手を加え、ベースに対して最高出力を21㎰アップの300㎰に、最大トルクは30Nm強化し420Nmへ。さらにシャシーをシャシーカップという強化バージョンに変更、カタログ値としてはスプリングレートをフロント23%、リア35%、アンチロールバーは7%、それぞれ高め、またダンパーは25%ハードな仕様にした。
さらにメガーヌ R.S.がトルクベクタリングタイプの電子制御ディファレンシャル(R.S. デフ)を備えているのに対し、コーナーでより積極的にトラクションをかけることができるトルセンLSDへと変更。ブレーキもエキゾーストシステムに至るまですべてに手が入っている。
これらをみるといかにもサーキット志向のガチガチで硬派な乗り味をイメージするが、そうでないところがルノースポールのうまいところだ。速度域が高まってくると、びたっと安定しフラットな乗り心地になる。ワインディングに持ち込むと本領を発揮する。
トラスミッションはいまどき6速マニュアルが選択可能だ。しかもMTを選ぶと、ハンドブレーキをわざわざレバー式に変更している点もなんともルノーらしいマニアックな配慮だ。試乗車は6速DCT(EDC)だったが、変速スピードも速く、低速でギクシャクすることもない。パドルを使えば、ステアリングと足元のペダル操作に集中できるだけに、より速さを求めるならば、6速DCTに軍配があがる。だが楽しさという観点でみればなんとも悩ましい。
R.S.が積み重ねてきた4 コントロール(4輪操舵システム)や4HCC(4輪ハイドロリック・コンプレッション・コントロール)の制御も手慣れたもので、とてもFF車とは思えないほどに、そしてもっと踏めといわんばかりに、コーナーをぐいぐい曲がる。世の多くのFF車は、安全志向で常にアンダーステアをよしとするが、ルノーはそうではない。それなりに走っても自分の腕以上にうまく走ってくれるけれど、しかしドライバーにやる気とテクニックがあれば、より積極的な姿勢変化をよしとする寛容さがある。
ギャラリー:微に入り細に入り手を入れ、よりR.S.らしくボディサイズは全長4410×全幅1875×全高1435mm。車両重量はEDCがベースより10kg軽い1470kg、MTが30kg軽い1450kgとされた。Derek Ichiro Makishima後輪を低速時には前輪と逆位相に、高速時には同位相に操舵する4コントロールを装着。4輪HCCはダンパー底部に組み込んだセカンダリーダンパーにより最適な減衰力が得られる、ラリー由来の技術だ。Derek Ichiro Makishimaルノー メガーヌR.S. トロフィー|Renault MEGANE R.S. TROPHYDerek Ichiro Makishimaエンジンサウンドを変更できるアクティブバルブ付きスポーツエキゾーストを装着。排気ルートの1つに機械式バルブが取り付けられており、バルブを閉じると低周波を除去した日常に適したサウンドに、バルブを開くとスポーティなサウンドに変更可能だ。Copyright image F1 Renault Group has the following worldwide rights of use until the 31/01/2019 and after that date only for aEDCと呼ばれる6速DCTに加え、6速MTも用意された。車両価格はEDCが499万円、MTが489万円となる。R.S.モデルではメガーヌGTよりフロント60mm、リア45mmフェンダーが拡げられた。フロント下部にはF1タイプエアインテークブレード、リアにはディフューザーを備える。F1タイプエアインテークブレードには“TROPHY”のロゴデカールがさりげなく配されている。レッドをアクセントとした専用19インチアロイホイールを装着する。フロントブレーキは前モデルより大型化された。ステアリングにはグリップ感に優れたナパレザーと、滑りにくいアルカンターラを組み合わせた。フロントシートにはアルカンタラを用いたバケットシートを採用、1脚の重量が23.5kgと軽量化にも貢献する。© Additive StudiosメガーヌR.S.をさらにチューニングときいて、サーキット志向のクルマをイメージしていたけれど、街乗りからサーキットまでストレスなく使える懐の深さがあった。
ちなみにトロフィーでもたりない、もっとサーキットを速く走りたいという向きにルノーは、大幅な軽量化などを施した世界で470台限定(日本割当47台)の「メガーヌ R.S. トロフィーR」まで用意する。このあたりはさすがと笑うほかない。
メガーヌR.S.トロフィーは、ハイパワーを4WD化でおさえつけるドイツ的アプローチとはまったく別のやり方で進化を遂げてきた。そのさきに得たものは、日常使いできるFF車として最速級、かつ最もファントゥドライブなモデルになったということだ。
文・藤野 太一 写真・デレック槇島、ルノー・ジャポン 編集・iconic
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