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ヒョンデもソニーもVWもセダンばかり! 電動化によって3ボックスは復活するのか?

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ヒョンデもソニーもVWもセダンばかり! 電動化によって3ボックスは復活するのか?

 最近の電気自動車を見ていて気になったことがある。世界中で引っ張りだこのSUVが影を潜め、セダンタイプのEVばかりがデビューしているのだ。なんでいまさらセダンなのか? その理由を考えてみた。

文/ベストカーWeb編集部、写真/ヒョンデ、ソニー、VW

ヒョンデもソニーもVWもセダンばかり! 電動化によって3ボックスは復活するのか?

■電気自動車の航続距離を伸ばすには?

ヒョンデのセダンEVアイオニック6。11月に欧州でファーストエディションが発売され、予定した2500台が24時間で完売したという

「異変」が気になり始めたのは、2022年夏にヒョンデがアイオニック6をワールドプレミアさせたあたりからだ。昨年同社はスタイリッシュな電動SUV、アイオニック5で大成功を収めただけに(ワールド・カー・オブ・ザ・イヤーで三冠、日本でもインポート・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞!)、今後もSUVファミリーを強化するのかと思っていたら、アイオニック6はまったく異なるクーペ風のセダンで登場してきた。

 お次は今年初めに北米ラスベガスで開かれたCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)だ。ソニーとホンダが立ち上げたEVブランド「アフィーラ」が公開したプロトタイプが、シンプルさの際立つセダンだった。それだけじゃない。EV専用ブランド「ID.」を立ち上げ、新型車を次々とリリースしているフォルクスワーゲンまでもが、「ID.7」というセダンのプロトタイプを発表したのだ。

 もちろんヒョンデもフォルクスワーゲンも電動SUVは発表済みだから、遅れてセダンを出しただけという見方はできる。とはいえ電気自動車が抱える「悩み」にもう一度立ち返ってみると、やはりEVとセダンは親和性が高いような気がしてならない。キーワードは航続距離だ。

 現在の電気自動車にとって航続距離は重要な要因だ。航続距離を伸ばし、内燃機関なみの「足の長さ」を持つことが、電気自動車を普及させるための大きなカギとなるからだ。そのためにはバッテリーの改良や大容量化などが有効だが、他にも取り組むべき課題はある。それが「空気抵抗」と「軽さ」だ。

■セダンは空気抵抗を抑え軽く作りやすい

フォルクスワーゲンのID.7。パサート級のEVセダンになるという

 まずは空気抵抗。時速100kmで走行する乗用車は、パワーのおよそ8割を空気抵抗に打ち勝つことに費やしているという。つまり空気抵抗を減らせば、同じバッテリーでも航続距離を大きく延ばすことができるのだ。

 この点、セダンがミニバンやSUVよりも有利である点は間違いない。ミニバンやSUVは前面投影面積が大きいため空気抵抗が大きくなりやすく、高い車高が床下に大量の空気を取り込み、揚力(車体を浮かせる力)を生んでしまうためだ。

 空力的に洗練されたセダンならばそれが改善できる。実際、アイオニック6のCd値(空気抵抗係数)は0.21と劇的に小さく、2段ウイングを設けたファストバック風のリアスタイルも揚力低減に効果を生む。肝心の航続距離も77.4kWバッテリーを積む2輪駆動モデルで614km(WLTP複合値)と、現時点では突出した性能を誇るのだ。

 もうひとつの「軽さ」はどうか。電気自動車はバッテリーという極めて重い部品を積んでいるが、画期的なイノベーションによって素材が置換されない限り、「電池が重い」という悩みは解決しそうもない。

 となれば当面は他の部品を軽くするしかないわけで、自動車メーカーは車体の軽量化を躍起になっている。鉄をアルミやカーボンで置き換えたりハーネス類を削減したり、その努力には頭が下がるが、なによりも効くのはボディ容積の小さなクルマを作ることだ。ボディ容積が小さければ骨格などに使う部材そのものが少なくて済む。つまりここでもセダンが優位というわけだ。

 たとえば全長と全幅が似ているテスラのモデルY(SUV)とモデル3(セダン)の比較。モデルY(パフォーマンス)の車重が2000kgなのに対し、モデル3(ロングレンジ)の車重は1850kgで済んでいる。バッテリー搭載量ではモデルYが75.3kW、モデル3が79.5kWなので、モデル3は「大きなバッテリーなのに軽い」ということになる。セダンボディの効率の良さが分かるはずだ。

 いかがだったろうか。クルマ選びでは使い勝手や好みも重要だから、SUVやミニバンがダメというつもりは毛頭ない。しかし電動化によってクルマの航続距離にもっと注目が集まれば、セダンの効率性は見直されてもよい。今後はもっと魅力的なセダンEVも登場するはず。市場の動きに注目だ!

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