現在位置: carview! > ニュース > スポーツ > 【角田裕毅を海外F1ライターが斬る:第1/2戦】首脳陣の思惑が交錯する重要なシーズン。まずは上々のスタートを切った

ここから本文です

【角田裕毅を海外F1ライターが斬る:第1/2戦】首脳陣の思惑が交錯する重要なシーズン。まずは上々のスタートを切った

掲載 3
【角田裕毅を海外F1ライターが斬る:第1/2戦】首脳陣の思惑が交錯する重要なシーズン。まずは上々のスタートを切った

 F1での4年目を迎えた角田裕毅がどう成長し、あるいはどこに課題があるのかを、F1ライター、エディ・エディントン氏が忌憚なく指摘していく。今回は、第1戦バーレーンGPと第2戦サウジアラビアGPに焦点を当てた。

──────────────────

【全ドライバー独自採点&ベスト5/F1第2戦】新人ベアマンの驚異的な才能と成熟度。期待以上の結果を出したアロンソ

 最初の2戦で0ポイント。確かに素晴らしい結果には見えないが、特に驚くようなことではない。優勝経験のあるバルテリ・ボッタスや角田のチームメイトのダニエル・リカルドを含む9人がまだノーポイントだ。サウジアラビアの入賞の仕方で注目を浴びたニコ・ヒュルケンベルグを除けば、上位5チームのメンバーしかまだポイント獲得を果たしていない。

 そんななかで裕毅はバーレーンでもサウジアラビアでも一時ポイントを争う位置を走った。そして、厳しいドクター・マルコですら裕毅の予選での速さを認めている。

 確かに無線での問題はあった。今のF1では走行中の無線でのやりとりが自由に放送されるため、バーレーン終盤に不必要なチームオーダーを受けた際の怒りに満ちた反応も広く報道され、角田は生真面目なファンの一部から嫌われてしまった。だが無線について言えば、今から20年か30年前に今のテクノロジーが存在したなら、最も愛されているF1レジェンドの何人かは人気を得ていなかったはずだ。

 モーターレーシングにおいて重要なのはパフォーマンスだけだ。角田はそれをシーズン序盤から示し、リカルドとのチームメイト対決を2勝0敗でリードしている。クリスチャン・ホーナーは、リカルドを使ってセルジオ・ペレスにプレッシャーをかけて、来年はマックス・フェルスタッペンのチームメイトにリカルドを起用するというプランを立てているが、今のところうまくいっていないように見える。マルコはそもそもリカルドの復帰に賛成していなかったので、今頃、喜んでいるかもしれない。

 ペレスは2戦連続で2位に入ったため、今のところレッドブルとしては今季末に彼を外さなければならない理由はないはずだ。確かにマックスとペレスは親しい間柄にはないし、マックスは今でも2022年のモナコGPと2023年のオーストリアの件について恨みを持っている。それでもふたりのパフォーマンス差が非常に大きいため、内部抗争はない。そうであれば、安定しているボートをわざわざ揺らす必要があるだろうか。

 一方で、今のレッドブル内には別の部分で大騒動が巻き起こっている。マックスがそれに飽き飽きしてメルセデスに移籍しても私は驚かない。そうなると、レッドブルはタイトルを獲得できるドライバーを探さなければならない。ペレスにはそれは無理だろう。フェラーリにルイス・ハミルトンとシャルル・ルクレール、メルセデスにマックスとジョージ・ラッセルがいるとすれば、レッドブルにも本物の才能を持つドライバーが必要だ。マルコとホーナーは、ジュニアプログラムの誰かをシーズン途中でRBに乗せて、力を試すという手段を取るかもしれない。

 さまざまな状況を考えると、裕毅がチームメイトより速さを発揮していることは、彼の将来にとって非常に重要なことだ。リアム・ローソンはグランプリウイークエンドには必ずレッドブルのガレージに来ている。マルコが常に代わりのドライバーを用意しているということであり、角田とリカルドのどちらかがローソンに取って代わられる可能性がある。マルコはそうして、誰が一番速いのか、レッドブルに昇格させるべきかどうかを評価するかもしれない。

 チームメイトを打ち負かすことは、すべてのドライバーにとって最優先事項である。角田が目指すべきはまさにそれだ。今のところ彼はやるべきことをやっている、ジェッダの予選Q2では、メルセデスのハミルトンやアストンマーティンのランス・ストロールよりも上位に入り、リカルドより0.5秒近く速かった。つまりプレッシャーにさらされているのはリカルドの方だろう。角田は、この調子で素晴らしい仕事を続けていくだけでいい。

────────────────────────
筆者エディ・エディントンについて

 エディ・エディントン(仮名)は、ドライバーからチームオーナーに転向、その後、ドライバーマネージメント業務(他チームに押し込んでライバルからも手数料を取ることもしばしばあり)、テレビコメンテーター、スポンサーシップ業務、講演活動など、ありとあらゆる仕事に携わった。そのため彼はパドックにいる全員を知っており、パドックで働く人々もエディのことを知っている。

 ただ、互いの認識は大きく異なっている。エディは、過去に会ったことがある誰かが成功を収めれば、それがすれ違った程度の人間であっても、その成功は自分のおかげであると思っている。皆が自分に大きな恩義があるというわけだ。だが人々はそんな風には考えてはいない。彼らのなかでエディは、昔貸した金をいまだに返さない男として記憶されているのだ。

 しかしどういうわけか、エディを心から憎んでいる者はいない。態度が大きく、何か言った次の瞬間には反対のことを言う。とんでもない噂を広めたと思えば、自分が発信源であることを忘れて、すぐさまそれを全否定するような人間なのだが。

 ある意味、彼は現代F1に向けて過去から放たれた爆風であり、1980年代、1990年代に引き戻すような存在だ。借金で借金を返し、契約はそれが書かれた紙ほどの価値もなく、値打ちがあるのはバーニーの握手だけ、そういう時代を生きた男なのである。

こんな記事も読まれています

マクラーレンのランド・ノリスが参戦110戦目にしてF1初優勝。角田裕毅7位【決勝レポート/第6戦マイアミGP】
マクラーレンのランド・ノリスが参戦110戦目にしてF1初優勝。角田裕毅7位【決勝レポート/第6戦マイアミGP】
AUTOSPORT web
F1第6戦木曜会見:注目集まるニューウェイの去就。フェラーリ加入を望むハミルトンと、チームに不安はないと主張するペレス
F1第6戦木曜会見:注目集まるニューウェイの去就。フェラーリ加入を望むハミルトンと、チームに不安はないと主張するペレス
AUTOSPORT web
角田裕毅、メルセデスと戦って7位「素晴らしいマシンを開発したチームに感謝」代表は「知的で速い」と称賛:F1第6戦
角田裕毅、メルセデスと戦って7位「素晴らしいマシンを開発したチームに感謝」代表は「知的で速い」と称賛:F1第6戦
AUTOSPORT web
【角田裕毅F1第6戦展望】高速区間でのアップデート効果に期待も、“少し自信を持ちすぎた”SQ2は15番手に終わる
【角田裕毅F1第6戦展望】高速区間でのアップデート効果に期待も、“少し自信を持ちすぎた”SQ2は15番手に終わる
AUTOSPORT web
【角田裕毅F1第6戦分析】“ベストなレースタイム戦略”で7位。メルセデスも寄せ付けない走りをHRC折原GMも高く評価
【角田裕毅F1第6戦分析】“ベストなレースタイム戦略”で7位。メルセデスも寄せ付けない走りをHRC折原GMも高く評価
AUTOSPORT web
フェルスタッペン、ニューウェイ離脱でも自分は残留と示唆「レッドブルF1の技術グループは優秀。何も変わらない」
フェルスタッペン、ニューウェイ離脱でも自分は残留と示唆「レッドブルF1の技術グループは優秀。何も変わらない」
AUTOSPORT web
【角田裕毅F1第6戦展望】ライバルが争うなか「ソフトタイヤをマネージメントできた」混乱もくぐり抜けスプリント8位入賞
【角田裕毅F1第6戦展望】ライバルが争うなか「ソフトタイヤをマネージメントできた」混乱もくぐり抜けスプリント8位入賞
AUTOSPORT web
ニューウェイ離脱でフェルスタッペン陣営は動くのか。父ヨスは移籍の可能性を否定せず「何が最善かを見極めることが必要」
ニューウェイ離脱でフェルスタッペン陣営は動くのか。父ヨスは移籍の可能性を否定せず「何が最善かを見極めることが必要」
AUTOSPORT web
レッドブルF1、ニューウェイ離脱に備え、上級職員の移籍を阻止か。テクニカルディレクター&空力責任者と新契約との噂
レッドブルF1、ニューウェイ離脱に備え、上級職員の移籍を阻止か。テクニカルディレクター&空力責任者と新契約との噂
AUTOSPORT web
フェルスタッペンがスプリント制す。リカルド&角田のRBが大健闘のダブル入賞【レポート/F1第6戦マイアミGP】
フェルスタッペンがスプリント制す。リカルド&角田のRBが大健闘のダブル入賞【レポート/F1第6戦マイアミGP】
AUTOSPORT web
限られた選択肢のなか、2025年に向けF1チームとの交渉を行うボッタス。他カテゴリーへの転向は考えず
限られた選択肢のなか、2025年に向けF1チームとの交渉を行うボッタス。他カテゴリーへの転向は考えず
AUTOSPORT web
“空力の鬼才”ニューウェイはなぜレッドブルを去るのか。早期離脱を可能にする手立ての謎
“空力の鬼才”ニューウェイはなぜレッドブルを去るのか。早期離脱を可能にする手立ての謎
AUTOSPORT web
アイルトン・セナ没後30年記念コラム:強烈な個性を持つ天才ドライバーがF1にもたらした新基準
アイルトン・セナ没後30年記念コラム:強烈な個性を持つ天才ドライバーがF1にもたらした新基準
AUTOSPORT web
角田裕毅、スプリント8位&予選10番手も反省点あり「ルイスにバトルで負けたのは悔しい。学習したい」F1第6戦
角田裕毅、スプリント8位&予選10番手も反省点あり「ルイスにバトルで負けたのは悔しい。学習したい」F1第6戦
AUTOSPORT web
フェルスタッペンが通算38回目のPP獲得。角田裕毅は今季4度目のQ3進出決める【予選レポート/F1第6戦】
フェルスタッペンが通算38回目のPP獲得。角田裕毅は今季4度目のQ3進出決める【予選レポート/F1第6戦】
AUTOSPORT web
レッドブル相談役マルコ博士、RB角田裕毅のスプリント8位入賞に驚き「ソフトタイヤは10周かそこらでダメになると思っていた」
レッドブル相談役マルコ博士、RB角田裕毅のスプリント8位入賞に驚き「ソフトタイヤは10周かそこらでダメになると思っていた」
motorsport.com 日本版
RB角田裕毅、F1中国GPで謎の失速。チームが原因究明も「完全には理解できていない」気持ち新たにマイアミへ
RB角田裕毅、F1中国GPで謎の失速。チームが原因究明も「完全には理解できていない」気持ち新たにマイアミへ
motorsport.com 日本版
【F1分析】マイアミ7位入賞角田裕毅、”ステイアウト”戦略を検証する。セーフティカーがなくても上位を狙えたはず?
【F1分析】マイアミ7位入賞角田裕毅、”ステイアウト”戦略を検証する。セーフティカーがなくても上位を狙えたはず?
motorsport.com 日本版

みんなのコメント

3件
  • sei********
    この記事は、その通りです。第一の目標は、チームメイトに勝つことです。それをしないとチームに残れません。
  • ******
    とりあえずゼロポイントでいいんだ?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村