現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 獲物を追うヒョウのような走り アウディeトロンGT 長期テスト(1) 電動グランドツアラーの実力は?

ここから本文です

獲物を追うヒョウのような走り アウディeトロンGT 長期テスト(1) 電動グランドツアラーの実力は?

掲載 1
獲物を追うヒョウのような走り アウディeトロンGT 長期テスト(1) 電動グランドツアラーの実力は?

初回 早々に2000km以上を走破

初回にも関わらず、アウディeトロンGTのタンゴ・レッドに塗られたボディが汚れていて恐縮だ。通常なら、ピカピカの状態で写真撮影を1度済ませるのだが。

【画像】獲物を追うヒョウのような鋭い走り アウディeトロンGT 技術を共有するタイカンも 全104枚

eトロンGTは、これまでの多くのモデルとは異なる。急速にラインナップが拡大される、バッテリーEV(BEV)のフラッグシップの一翼を担っている。ポルシェの技術が投入された、特別なアウディとして多くの出番があった。

クルマを受け取ってすぐに目指したのは、ロンドンのAUTOCAR本社ではなく、ベルギーのアントワープ。往復740kmを一気に走ることになった。

翌日もヒースロー空港へ2回往復。数日後にはグレートブリテン島の北部、スコットランド・エディンバラにも向かい、さらに約1300kmの距離を重ねている。

ちなみに、筆者のスマートフォンには予めマイアウディというアプリをインストール済み。駆動用バッテリーの充電状況のほか、1日の走行距離も教えてくれるから、このようなレポートには便利だ。

慌ただしい1週間をこなした金曜日、長期テストの原稿の締め切りが今日だと発覚。洗車する余裕もなく、オフィスの近くで撮影を済ませた結果が、汚れた写真というわけ。グランドツアーの途中にも見えなくないが、そんなことはない。

ベルギーへもスコットランドへも、内燃エンジン車を利用することはできた。だが、真新しいアウディのBEVで長距離を走るという、絶好の機会は逃せない。電動グランドツアラーというカテゴリー全体の、評価にもつながると考えた。

BEVに理想的ではないライフスタイル

さて、筆者のライフスタイルは、BEVユーザーとして理想的なものではない。暮らしているアパートは、人通りの多い道に面しており、部屋は最上階にある。もちろん、充電器が玄関口にあるわけではない。

戸建てに住む同僚には、駐車場にAC充電器を設置している人もいるが、筆者にとっては現実的ではない。歩道をまたいで、充電ケーブルを伸ばすわけにもいかない。そもそも、アパートの前には充分な駐車スペースがない。

BEVを購入する人の条件としては、かなり悪い方だろう。夜間に自宅で充電することができず、従来の内燃エンジン車のように、出先でエネルギー補給することになる。eトロンGTの場合は、充電スタンドで。

しかも、この仕事をしているとクルマで遠くを目指すことが多い。ルーティンも決まっていない。1日500km近く走ることも珍しいとはいえない。

とはいえ、アウディが主張するeトロンGTの長い航続距離と、テスラが提供する急速充電器、スーパーチャージャーを利用できるという事実が、状況を変えると考えている。公称値は484kmだ。

実際のところ、これまで走れた最長は368km。現実はそう甘くなさそうだが、気温が上昇するにつれて数字も伸びるのではないかと期待している。充電スタンドの利用アプリも、5社ぶんをインストールした。当面は足りるだろう。

獲物を追うヒョウのように鋭く走る

少なくとも、筆者はこのeトロンGTへ強い関心を抱いている。時間に追われるAUTOCARでの業務を、BEVで無事にこなせるかという不安もあるが。

既に、真っ赤なアウディは良い相棒になってくれそうだ、と感じている。獲物を追うヒョウのように、鋭く現実世界を走ってくれる。静かで滑らかで、たくましい。65.1kg-mの最大トルクが即座に生み出され、ゾクゾクするような加速も披露する。

インテリアやボディのデザイン的な美しさも、現在の多くのアウディより訴求力があると思う。RS7ほどのアグレッシブさは感じられない。鮮やかなタンゴ・レッドでも、親しみやすさがある。

筆者なら、アスカリ・ブルーやフローレット・シルバー、ケルモラ・グレーといったカラーを指定するだろう。その方がエレガントに映ると思う。しかし、流麗なシルエットのおかげで、レッドでもまったく違和感がない。

前置きが長くなったが、ここで長期テスト車の内容をご紹介しよう。eトロンGTは最高速度244km/hが主張される4ドア・ファストバックで、グレードはフォアシュプルング・クワトロが選ばれている。エアサスペンションが標準装備となる。

駆動用モーターは前後に1基づつ搭載され、リア側には2速オートマティックが組み合わされる。駆動用バッテリーの容量は93.4kWhで、車重は2347kgもある。かなりの重さだが、シャシーはしっかり受け止めているようだ。

5気筒ターボエンジンならもっと好きになれた?

長期テスト車の英国価格は、いくつかのオプションを加えて11万6315ポンド(約1872万円)。かなりの金額だ。

もっとも、今の英国ではBMW M3 コンペティションが約8万5000ポンド(約1368万円)で、ポルシェ911 カレラSは約11万ポンド(約1771万円)もする。オプションは抜きで。

フォアシュプルング・クワトロには、バング&オルフセンのオーディオにヘッドアップ・ディスプレイ、後輪操舵、マトリックスLEDヘッドライト、プロ・スポーツシート、遮音ガラスなどが装備されている。内容を考えれば、納得できる金額といえるだろう。

ちなみに、ベースグレードのeトロンGTは約8万5000ポンド(約1368万円)から。巧妙な価格設定だが、コストパフォーマンスとしては悪くない。

eトロンGTの第一印象はかなりいい。450馬力の直列5気筒ターボエンジンをボンネットに積んでいたら、もっと好きになれただろう、と心が訴えるとしても。

ボディが重く、充電に時間がかかっても、アウディのスポーツモデルとして本物ではないとはいえない。走りも容姿も、後輪駆動のR8 RWD以来となるエキサイティングなモデルなように思える。

1つ、気になる部分を発見した。パーキングセンサーは少し過敏過ぎるかもしれない。

これからしばらく、アウディの電動スーパーサルーンと一緒に暮らすことになる。その能力を確かめる過程で、いくつかの課題も見えてくるはずだ。

セカンドオピニオン

アウディeトロンGTの最大の強みは、日常的な自動車利用を安楽に、さり気なくこなせることだろう。大きなボディサイズと、簡単には手の届かない価格帯にあるモデルとしては、予想外の親しみやすさだといっていい。

操縦性は正確で、乗り心地も好ましい。車内のパッケージングも煮詰められている。ファミリーカーとしての実力は高い。RS6に通じるスピリットを感じる。 Felix Page(フェリックス・ペイジ)

テストデータ

テスト車について

モデル名:アウディeトロンGT フォアシュプルング・クワトロ(英国仕様)
新車価格:11万2850ポンド(1816万円)
テスト車の価格:11万6315ポンド(約1872万円)

オプション装備

フルレザー・パッケージ:1665ポンド(26万8000円)
タンゴ・レッド・メタリック塗装:950ポンド(15万3000円)
eトロン・スポーツサウンド:500ポンド(8万円)
シングルフレームグリル・ボディカラー:350ポンド(5万6000円)

テストの記録

航続距離:490km(WLTP値)
電費:4.9km/kWh(WLTP値)
故障:なし
出費:なし

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

RSCフルタイム引退のウインターボトム、2025年は古巣に復帰しウォーターズの耐久ペアに就任
RSCフルタイム引退のウインターボトム、2025年は古巣に復帰しウォーターズの耐久ペアに就任
AUTOSPORT web
ハコスカ!? マッスルカー!?「ちがいます」 “55歳”ミツオカ渾身の1台「M55」ついに発売 「SUVではないものを」
ハコスカ!? マッスルカー!?「ちがいます」 “55歳”ミツオカ渾身の1台「M55」ついに発売 「SUVではないものを」
乗りものニュース
スズキ、軽量アドベンチャー『Vストローム250SX』のカラーラインアップを変更。赤黄黒の3色展開に
スズキ、軽量アドベンチャー『Vストローム250SX』のカラーラインアップを変更。赤黄黒の3色展開に
AUTOSPORT web
元ハースのグロージャン、旧知の小松代表の仕事ぶりを支持「チームから最高の力を引き出した。誇りに思う」
元ハースのグロージャン、旧知の小松代表の仕事ぶりを支持「チームから最高の力を引き出した。誇りに思う」
AUTOSPORT web
本体35万円! ホンダの「“超”コンパクトスポーツカー」がスゴい! 全長3.4m×「600キロ切り」軽量ボディ! 画期的素材でめちゃ楽しそうな「現存1台」車とは
本体35万円! ホンダの「“超”コンパクトスポーツカー」がスゴい! 全長3.4m×「600キロ切り」軽量ボディ! 画期的素材でめちゃ楽しそうな「現存1台」車とは
くるまのニュース
リアウィンドウがない! ジャガー、新型EVの予告画像を初公開 12月2日正式発表予定
リアウィンドウがない! ジャガー、新型EVの予告画像を初公開 12月2日正式発表予定
AUTOCAR JAPAN
最近よく聞く「LFP」と「NMC」は全部同じ? EV用バッテリーの作り方、性能の違い
最近よく聞く「LFP」と「NMC」は全部同じ? EV用バッテリーの作り方、性能の違い
AUTOCAR JAPAN
アロンソのペナルティポイントはグリッド上で最多の8点。2025年序盤戦まで出場停止の回避が求められる
アロンソのペナルティポイントはグリッド上で最多の8点。2025年序盤戦まで出場停止の回避が求められる
AUTOSPORT web
「俺のオプカン~仙台場所~」初開催!「オープンカントリー」を愛する男性ユーザーが集まって工場見学…川畑真人選手のトークショーで大盛りあがり
「俺のオプカン~仙台場所~」初開催!「オープンカントリー」を愛する男性ユーザーが集まって工場見学…川畑真人選手のトークショーで大盛りあがり
Auto Messe Web
「ラリーのコースなのでトンネル工事を休止します」 名古屋‐飯田の大動脈 旧道がレース仕様に!
「ラリーのコースなのでトンネル工事を休止します」 名古屋‐飯田の大動脈 旧道がレース仕様に!
乗りものニュース
紫ボディはオーロラがモチーフ、中国ユーザーが求めた特別なインフィニティ…広州モーターショー2024
紫ボディはオーロラがモチーフ、中国ユーザーが求めた特別なインフィニティ…広州モーターショー2024
レスポンス
『頭文字D』愛が爆発。パンダカラーで登場のグリアジン、ラリージャパンで公道最速伝説を狙う
『頭文字D』愛が爆発。パンダカラーで登場のグリアジン、ラリージャパンで公道最速伝説を狙う
AUTOSPORT web
トヨタ勝田貴元、WRCラリージャパンDAY2は不運な後退も総合3番手に0.1秒差まで肉薄「起こったことを考えれば悪くない順位」
トヨタ勝田貴元、WRCラリージャパンDAY2は不運な後退も総合3番手に0.1秒差まで肉薄「起こったことを考えれば悪くない順位」
motorsport.com 日本版
日産「新型ラグジュアリーSUV」世界初公開! 斬新「紫」内装&オラオラ「ゴールド」アクセントで超カッコイイ! ド迫力エアロもスゴイ「QX60C」中国に登場
日産「新型ラグジュアリーSUV」世界初公開! 斬新「紫」内装&オラオラ「ゴールド」アクセントで超カッコイイ! ド迫力エアロもスゴイ「QX60C」中国に登場
くるまのニュース
エコの時代に逆行!? 「やっぱ気持ちいいのは大排気量のトルクだよね」……800馬力超のエンジンが吠える「アメ車」マッスルカーの“クセになる世界”とは
エコの時代に逆行!? 「やっぱ気持ちいいのは大排気量のトルクだよね」……800馬力超のエンジンが吠える「アメ車」マッスルカーの“クセになる世界”とは
VAGUE
変化と進化──新型ロールス・ロイス ゴースト シリーズII試乗記
変化と進化──新型ロールス・ロイス ゴースト シリーズII試乗記
GQ JAPAN
加熱する中国高級SUV市場、キャデラック『XT6』2025年型は「エグゼクティブシート」アピール
加熱する中国高級SUV市場、キャデラック『XT6』2025年型は「エグゼクティブシート」アピール
レスポンス
メルセデス、ラスベガス初日の好調は「なんでか分からない」予選に向けて”ダスト乞い”?
メルセデス、ラスベガス初日の好調は「なんでか分からない」予選に向けて”ダスト乞い”?
motorsport.com 日本版

みんなのコメント

1件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2695.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

1880.03258.0万円

中古車を検索
GTの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2695.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

1880.03258.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村