WRC世界ラリー選手権第9戦ドイチェランドは8月19日、SS16~18が行われ、競技初日から首位に立っていたトヨタのオット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)が逃げ切り優勝。2連勝を飾るとともに、トヨタにWRC復帰後、初のターマック(舗装路)戦勝利をもたらした。またエサペッカ・ラッピ(トヨタ・ヤリスWRC)が3位表彰台を獲得している。
ドイツ・ボスタルジーを舞台に争われるラリー・ドイチェランドは4月に行われた第4戦ツール・ド・コルス以来のフルターマックイベント。曲がりくねった峠道や道幅の広い田舎道、軍事演習場に設けられた特設ステージなどを舞台に争われた。
前戦ラリー・フィンランドで優勝を飾ったタナクは16日(木)のSS1で総合首位に立つと、そのままトップを譲ることなく走行。競技3日目終了時点で43.7秒の大量リードを築いてみせた。
迎えた競技最終日、タナクは充分なマージンをもとにリスクを負わない走りに徹して、この日行われた3ステージを走破して優勝。2018年シーズン3勝目を挙げるとともに自身初となるWRC2連勝を成し遂げた。タナクはトヨタ加入前の2017年もラリー・ドイチェランドを制しており、大会2連覇となる。
また、2017年にWRCへ復帰したトヨタは復帰後通算5勝目を獲得。これまでフルスノーイベントのラリー・スウェーデンやグラベル(未舗装路)で争われるラリー・フィンランド、ラリー・アルゼンチンなどを制しているが、ターマックを舞台に争われる大会でヤリスWRCが優勝したのは今回が初めてだ。
走行を終えたタナクは「この大会はタフで本当に全力でプッシュしてきた。ベストを尽くしてきたから優勝できてうれしいよ」とコメントしている。
前日、ダニ・ソルド(ヒュンダイi20クーペWRC)とラトバラが0.8秒差となっていた総合2位争いは両者とも不運に襲われた。
ラトバラはサービスパークのあるボスタルジーから、この日最初のステージであるSS16へのリエゾン(移動区間)でメカニカルトラブルが発生。なんとかSSをスタートしたものの、ペースを上げられず、フィニッシュまで残り1kmの地点でトランスミッション系の不具合によりマシンを止めた。
またソルドは「右コーナーにハイスピードで飛び込みすぎ、(コース脇に広がる)ぶどう畑に突っ込んでしまった」というミスにより、フロントガラスが割れた上、マシンフロントにダメージを負いペースダウン。大きく順位を落とした上、続くSS17でリタイアを余儀なくされた。
これで総合2位はポイントリーダーのティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)が獲得。総合3位は粘りの走りを続けていたラッピが手中に収めた。ラッピの3位表彰台は今季2度目、ターマックでは初のこと。
ヌービルとチャンピオンを争うセバスチャン・オジエ(フォード・フィエスタWRC)は総合4位だった。
ポイントランキングでは総合2位につけたヌービルが172ポイント、追いかけるオジエはボーナスポイントが与えられる最終SSで最速タイムを刻んだものの、総合4位に終わったこともあり、149ポイント。両者のポイント差は23ポイントだ。
連勝を飾ったタナクは136ポイントでランキング3番手。首位ヌービルとは36ポイント、2番手オジエとは13ポイント差だ。
2018年のWRC第10戦は9月13~16日に開催されるラリー・トルコ。トルコ戦がWRCカレンダーに組み込まれるのは2010年以来のことで、当時とは異なるエリアで開催されるため、WRCに参戦する全チーム、全ドライバーにとって新たな挑戦となる。
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