F1サウジアラビアGPで時の人となったオリバー・ベアマン。虫垂炎を患ったカルロス・サインツJr.の代役としてフェラーリから急遽F1デビューを果たし、決勝では7位入賞を果たした。この活躍に多くの称賛が送られる中、ハースF1の小松礼雄代表は昨年の時点でベアマンが「特別な存在」だと分かっていたという。
というのも昨年、ベアマンはハースからメキシコシティGP、アブダビGPのフリー走行1回目に出走。小松代表は当時も「これ以上のことを望めない」「文句のつけようがない」と絶賛していた。
■ベアマン、代役出場で7位。ミスのないレースでアピール成功「F1へのドアが開くかもしれない」
今回はF2でのレースを投げうって、2日目以降はF1に専念したベアマン。本番前の準備期間はFP3の1時間のみ。予選では惜しくもQ3進出には届かなかったが、11番手とまずまずのグリッド位置を手にした。
決勝ではコース上でRBの角田裕毅、キック・ザウバーの周冠宇、ハースのニコ・ヒュルケンベルグを交わして7位フィニッシュ。レース終盤はソフトタイヤで飛ばすランド・ノリス(マクラーレン)やルイス・ハミルトン(メルセデス)のプレッシャーを受けるも、自己ベストを更新するペースで走り、2台を寄せ付けなかった。
フェラーリは開幕2戦でレッドブル勢の後ろ3位表彰台を獲得しており、ベアマンが乗ったSF-24のパフォーマンスが高いことは確かだ。しかし18歳という若さで、しかも急遽決まったF1デビュー戦で大きなミスなくポイントを獲得した彼の走りには、他ドライバーのみならず他チームからも称賛の声が挙がった。
ベアマンの走りについて尋ねられた小松代表は次のように答えた。
「驚きました。もちろん、メキシコやアブダビのFP1で我々は彼を走らせましたが、その時点で彼が特別な存在であることは、私にも、そして我々の多くにとって明らかでした」
「ただ速いだけではありません。トータルのパッケージです。彼は目標を理解して、自分自身を上手くコントロールしています。プッシュラップ、クールダウンラップと続く1周の走行でも、次のステップをより良くするために微調整をするんです」
「そうやって、まるで何年もやっているかのように、彼はすぐに成熟度合いを見せました」
「もちろん、スピードはあります。このサーキットにFP3から飛び込むのは簡単ではありません。だから彼の活躍は私も嬉しいです。印象的でした」
そして小松代表は次のように続ける。
「彼は来年チャンスを得るに値すると思います」
また小松代表に対しては、来季ハースがベアマンをドライバーラインナップに加えることになれば、どれだけ楽しみか? という質問も飛んだ。しかし小松代表は「正直、それはとても不公平な質問です」と答え、サウジアラビアGPでチームに1ポイントを届けたヒュルケンベルグとそれに貢献したケビン・マグヌッセンの努力を軽視することはできないとの考えを明かした。
「今回のケビン(マグヌッセン)のドライビングは素晴らしかったです。ペナルティは置いておいて、素晴らしい仕事ぶりでしたし、ニコは結果を届けてくれました」と小松代表は言う。
「だから、今回のニコとケビンのパフォーマンスを鑑みて、現時点で(ベアマンが)『来季、ウチのドライバーになる』なんて、どうしたら言えるでしょうか?」
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