狙うはフロントロウと初表彰台。中上貴晶、“満身創痍”のホンダに好リザルト持ち帰れる？｜MotoGPエミリア・ロマーニャGP

　ミサノ・サーキットで行なわれているMotoGP第8戦エミリア・ロマーニャGP。その走行初日、LCRホンダの中上貴晶は総合2番手タイムを記録するなど、非常に好調な走りを見せた。

　前戦9位という結果から連戦での前進を狙う中上は、サンマリノGP直後のミサノテストで改善を進めて、良い形でエミリア・ロマーニャGPに乗り込んだと言えそうだ。

　なお今回ホンダ陣営は、マルク・マルケス（レプソル・ホンダ）代役として出場を続けてきたステファン・ブラドルが負傷により欠場、さらに中上のチームメイトであるカル・クラッチローも負傷で前戦に続いて欠場することになったため、ルーキーのアレックス・マルケス（レプソル・ホンダ）と中上の2名のみがホンダ勢としてレースに挑む状況になってしまった。

　ここ最近はホンダ陣営を代表するライダーとしての活躍を見せてきた中上だが、今の状況にプレッシャーは感じているのだろうか？　その点について訊くと、彼は次のように答えた。

「今の状況は、僕としてはネガティブなものですね。週末を通じてデータは少なくなりますから、僕やホンダにとってベストな状況ではありません」

　中上はそう語る。

「ですが、プレッシャーは感じていません。僕らのピットの中では顔ぶれは変わりませんからね。もちろん、火曜日のテストのときは沢山のエンジニアがいましたが、（エミリア・ロマーニャGPの）FP1からはピット内は同じですし、戦略は何も変わっていません」

　予選については、ヤマハ勢とポールポジションを争うのは厳しいだろうと予想する中上。しかし、レースに向けてフロントロウを獲得すること、そして“ホンダ陣営”のために表彰台を持ち帰りたいとも意気込んだ。

「今は自分たちの仕事に集中しています。今週末は自信を感じていますし、初表彰台が欲しいんです。僕らはシンプルにベストを尽くしていくので、迷いはないです」

「今週はラップタイムを既に先週より向上させていますし、良い始まり方をしました。集中し続けて、改善を試みて行きます。ヤマハ勢は本当に強く、ポールポジションを獲るのは難しいでしょう。ですがフロントロウを争えればと思っていますし、それが明日の目標です。レースに向けてはフロントロウが本当に重要になってきますからね」

「HRCは本当に良くサポートしてくれています。今、僕らは間違いなくライディングやパフォーマンスを改善し、表彰台に近づいています」


「それで、HRCも“今がプッシュするタイミングだ”と理解してくれていて、セッション中、セッション後と多くの手助けをしてくれています。HRCとチームのコンビネーションにとても満足してますし、これ以上のことがあるとは思えないです」

「良い形を見つけましたし、これをキープして……僕らが自分たちのためだけではなく、チーム、そして“ホンダに”表彰台をもたらせれば良いなと思っています。これは今週末、本当に必要なことです。ですから、ベスト以上を尽くしたいと思っています」

　前戦サンマリノGPでの苦戦から1週間で大きく改善を果たした中上。苦戦の原因となっていたバンプへの対処は、テストでの新パーツ、ジオメトリやリヤショックの変更といった作業によって大きく改善されたという。

　中上は改善度合いについては「完全に修正できているわけではないが、80～85％」だと説明。さらにコース上での“ライン取り”によって、マシンへの影響を小さくできていると語った。

「というのも、ラインによるんです。例えばバックストレートの右コーナーだと、数センチ外側に外すと、そこには大きなバンプがあります。そうするとフルスロットルにするとマシンが非常に神経質になってしまいます」

「先週はどのラインやアングルを選んでも違いが感じられませんでした。ですが今は適切なラインにいれば、マシンはかなり安定しています」

「先週の大惨事を考えれば、フィーリングには満足していますね」

　なお中上はミサノ連戦で来季以降の契約交渉をホンダと開始できればと語っていた。しかしエミリア・ロマーニャGP初日時点ではまだ正式な形では始まっておらず、桑田哲宏レース運営室室長とちょっとした話を行ない、“ポジティブ”な感触を得た程度だと明かした。