映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(以下、BTTF)にタイムマシンのベース車両として登場したデロリアン。映画公開当時、ほとんど無名のクルマであったが、映画の世界的人気拡大とともに、その存在が知られるようになった。やがてBTTFファンにとってデロリアンは「いつか乗ってみたい!」夢のクルマとなった。
デロリアンはベース車両の姿カタチからして、あまりにもBTTFの世界観にマッチした仕様であったため、「デロリアンは映画のために作られたクルマ」と勘違いする人も少なくないだろう。しかし、「DMC-12デロリアン」は1981年に発売された市販車である(BTTF一作目の公開は1985年なので映画公開時にはすでに生産を終了(1982年)していたことになる)。
新型デロリアン「Alpha5」登場!! 40年ぶり&EVに生まれ変わった新型を、日本一デロリアンを走らせるオーナーはどう見ているか!???
そして、あれから40年の時を経て、2代目デロリアン「Alpha5」が2022年8月18日、米国ペブルビーチで開催中の「コンクールデレガンス」の会場にて21日の本発表に先駆けて、実車両が公開された。
文/加藤久美子、写真/Ben Hsu (japanesenostalgiccar.com)、加藤博人
■デロリアンが40年ぶりにモデルチェンジ! ガルウィングドアは継続
「Alpha5」という車名やコンセプト、広報画像などは今年の5月末に公開はされていたが実車の公開はこの日が初めて。本来の発表時刻はアメリカ時間の8月18日午前10時半だったが、新型デロリアンAlpha5が走りながら登場したのは11時過ぎ。ぺブルビーチの青い空、青い海、そして美しい芝生の緑を背景に「クロモスフィアレッド」と名付けられた赤いボディカラーのAlpha5が颯爽と登場した。
新型デロリアン(ガルウイングは健在だ)
さすがイタルデザインで、初代モデルの雰囲気を残しながらしっかり現代の(それも先進的な)クルマになっている
デザインを担当したイタルデザイン社アンドレ・ポルタ氏によると、「ぺブルビーチの美しい風景の中でも映えるようにこの色を選んだ」と会場での取材に対して答えている。
ところで、なぜ新型デロリアンは「Alpha5」という車名がついているのか。これはイタルデザイン社が公表したコンセプトモデルの歴史(Alpha1/2/3/4)に関連している。ちょっと事情が複雑だが、Alpha2・3・4については完全に「架空のコンセプトカー」である。
唯一実在したのが、初代デロリアン(DMC-12)が発売された1981年頃に開発が進められていた4-5人乗りのDMC-24というモデルである。当時は、2名乗車のDMC-12に続いて4-5名乗りのDMC-24 、そしてDMC-80というバスの開発も進められていたという。
これがモックアップまで開発が進められていたDMC-24
DMC-24は実際にモックアップ製作から風洞実験まで行われたが、1982年にDMCが倒産したことで開発も終了した。
イタルデザイン社におる架空のストーリーによると、その後、1996年登場のAlpha2(ガソリン)、2003年のAlpha3(EV),2010年(水素)のAlpha4に続き、今回、実車として発表されたのが2代目デロリアン「Alpha5」につながるというわけだ。
イタルデザイン社は奇妙なことを考えるが、わざわざ架空のストーリーまで公開して2代目デロリアン「Alpha5」につなげたかったのだろうか?初代デロリアンからの40年間、イタルデザインとDMCの関係がずっと続いていたわけではない。
そして実車として公開されたAlpha5は「限定88台」で2024年の発売が予定されている。
Alpha5は1981年にコンセプトが発表された乗車定員4-5名のDMC-24をベースに開発された。
現時点で明らかにされている新型デロリアンAlpha5のスペックを紹介しておこう。
・満充電あたりの航続距離……300マイル(約480キロ)
・0-60MPH(約96km)……2.99秒
・(BTTF中で時空を飛ぶための)88MPHに達するまで……4.35秒
・最高速度……155MPH(約240km/h)
・バッテリー容量……100Kw以上
・Cd値……0.23
※航続距離はEPA(米国環境省)テストサイクルに基づくメーカーによる暫定値であり、EPAの公式値ではない。
なお、Alpha5は完全なBEVで他の自動車メーカーがすでに市販しているEVのプラットフォームを利用するものだと予想されている。
ご存じの方も多いと思うが、初代デロリアンのデザインは世界的な工業デザイナー、ジョルジェット・ジウジアーロ氏である。ジウジアーロの名前はクルマ好きなら一度は耳にしたことがあるだろう。欧州車はもちろん、日本車も初代日産マーチ、初代トヨタアリスト、アルシオーネSVXなど、大衆車からスポーツカーまで独創的なデザインのクルマを数多く世に送り出してきたあの人だ。
しかし、このたび公開された新型デロリアンAlpha5は同じイタルデザイン社がデザインに関わってはいるが、ジウジアーロ氏がデザインに関わった事実はない。また、「デロリアン」らしさもガルウィングのドアと後部のルーバーなど一部だけである。
■日本一デロリアンを走らせる「デロリアン界のアンパンマン」橋本さんが語る
今はまだはっきりとスペックの詳細も明らかにされていないが、日本でもっともデロリアンを走らせている人、デロリアンオーナーズクラブジャパン西日本担当副会長橋本達也さんは、新型デロリアンをどのように見ているだろうか。
と、その前に、橋本さんとはどのような方なのか簡単にご紹介しておこう。
橋本さんは約30年前に初の自家用車としてデロリアンを購入し、いまだにデロリアンが唯一の自家用車という。
橋本さんのデロリアン(写真左)。実際に愛車として所有しているだけでなく、「デロリアン界のアンパンマン(後述)」として活躍しているという。すごい…
自らトラブルを多数経験しているが購入以来、不動車にすることなくデロリアンを走らせ続けている。
そして橋本さんの素晴らしいところは、トラブルで困っている悩めるデロリアンオーナーを助けているのはもちろん、デロリアンを買おうかどうか迷っている人たちからの相談にも有益なアドバイスを授けていること
路上で立ち往生しているデロリアンに遭遇したら、トランクから秘密兵器や予備部品を取り出して現場で対応してくれる。まさに「デロリアン界のアンパンマン」と崇められる方なのである。
「錆びないボディでドアがカッコよく上に開く車が欲しい」と思っていた橋本さんにとって、デロリアンは『信頼性の低さは別にして』理想のクルマとのことだ。
そんな橋本さんに新型デロリアンAlpha5の印象を聞いてみた。
(1)新型デロリアンのデザインについていかが思われますか?
「初めて見た時の感想は、『今風に丸いな~』でした。私が初代エスプリや81年のデロリアンの様に直線が強調されたデザインが好きなので、『欲しいか?』と問われるとノーですが、これはこれでデロリアンの名前で四十年ぶりに出るニューモデルですから、ドアも上がるし発表されたことは歓迎しています。」
(2)新型デロリアンAlpha5の中に、ガルウィングドアとデロリアンという車名以外に、DMC-12デロリアンのスピリッツを感じられる箇所はありますか?
「正直、後部(エンジンルーム相当)のルーバーとホイールのデザイン以外に、初代デロリアンを思わせるデザインは見当たりませんが、それで構わないと思います。もちろん、個人の好みは有りますが、4人乗りから将来はバスまで作ろうとしていたデロリアン社の製品が、全て似通ったデザインになる必要は無いと思います。今回のアルファ5が好きになれない方は、初代を探したり、次に期待したりで良いと思います。」
(3)橋本さんが感じていらっしゃるAlpha5の魅力をぜひ! 教えてください
「真価を問われるのはもう少し先になるでしょうが機構に信頼性が有るなら、デロリアン社が送り出す『家族で乗れる、初の壊れにくい車』になるでしょう。初代デロリアンが電気系やらに問題を抱えたまま見切り発売されてメーカーの息の根を止めてしまいましたから、今度は頑張って欲しいです。40年ぶりに、代替わりしたとはいえデロリアン社が新たに開発して発売する自動車です。中古車と部品の販売会社から自動車メーカーに返り咲かせる記念すべき1号車なので、ぜひ成功させて、儲かったお金で初代デロリアンのために良い部品を作って欲しいです。」
新しく生まれ変わったデロリアンAlpha5。まだまだはっきりと見えてこない部分もあるのは確かだが、現オーナーにとっては40年の時を経て車名とガルウィングだけでも復活してくれたことは歓迎のようである。
新型デロリアンAlpha5について、また新たな情報が入り次第、お伝えしていきたい。
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みんなのコメント
でもイメージと全然違う。
ロボコップが乗りそう。