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【F1チームを支える人々:リー・スティーブンソン/ザウバー】挑戦を求め、レッドブルを飛び出したチーフメカニック

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【F1チームを支える人々:リー・スティーブンソン/ザウバー】挑戦を求め、レッドブルを飛び出したチーフメカニック

 F1チームには多数の人々が関わり、さまざまな職種が存在する。この連載では、普段は注目を浴びる機会が少ないチームメンバーに焦点を当て、その人物の果たす役割と人となりを紹介していく。今回取り上げるのは、ザウバーのチーフメカニックを務めるリー・スティーブンソンだ。

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 トップチームを離れるという決断は必ずしも簡単なものではないが、キャリアを前進させるためにそれが最善の方法である場合もある。若いころにキャリアを積み上げようとしているときや、経験を積んで新たな挑戦を求めているときには、そういう場合が多々ある。リー・スティーブンソンが2024年の初めにレッドブルを離れ、ザウバーに移籍した理由は、後者だった。

 スティーブンソンが最初にモータースポーツに魅了されたきっかけは、環境による偶然だった。彼はシルバーストン近くで育ち、1990年代後半にそこでテスト走行を行うF1マシンの音を頻繁に耳にしていた。その音に興味を引かれたスティーブンソンは、母親にサーキットに連れて行ってくれるよう、頼み込んだ。こうして、母親は仕事に向かう途中で彼をサーキットで降ろし、夕方、仕事帰りに彼を迎えに来るようになった。

 走行が終了した後、スティーブンソンは、母親が迎えに来るまでの数時間を持てあますようになった。彼はパドックを歩き回り、自分にできることがあればやりますと、手助けを申し出た。タイヤの掃除をしたり、物をゴミ箱まで運んだりしたが、それでも時間が余ったので、彼はジョーダンのファクトリーに行くことに決めた。

 最初はエディ・ジョーダンやドライバーたちからサインをもらおうとしていたスティーブンソンだが、そのうちに受付係と親しくなり、学生の間にジョーダンチームで職場体験をするよう勧められた。その経験を通じて、彼は、F1チームがどのように機能するのかを学ぶことができた。卒業アルバムに彼は、「ナンバー1メカニックになることが夢だ」と書いている。

 卒業後、スティーブンソンは正式にジョーダンの従業員になり、見習いとして訓練を受けた。チーム内のさまざまな部署で3年間働き、見習い期間終盤にはテストチームで経験を積み、その後、2004年にテストチームのナンバー2メカニックに昇進した。2005年にはレースチームでティアゴ・モンテイロのマシンのリヤエンド・メカニックを務めるようになった。

 そのシーズンの終わりに、スティーブンソンはレッドブルからオファーを受け、2006年にデビューした新チームのテストチームにおいてナンバー2メカニックとして働き始めた。彼はフローティングメカニックとして、テストプログラムの一環で使用される2台のマシンのあらゆる部分を担当する機会を得た後、負傷した同僚の代理を半シーズンにわたって務め、2008年にはマーク・ウエーバーのマシンの担当メカニックになった。

 スティーブンソンは、2009年以降、ウエーバーのマシンのフロントエンドを担当するナンバー2メカニックになった。このころ、レッドブルは勝利を狙えるマシンを作り上げ、F1勢力図を揺るがし始めた。

 2013年、スティーブンソンは遠征生活から1年間離れることを決めた。メルセデスからオファーを受けたが、レッドブルにとどまり、サポートチームのフローティングメカニックとして働き続けた。その後はナンバー1メカニックに昇進、ダニール・クビアト車のリードメカニックという素晴らしいポジションに就いた。

 クビアトと良好な関係を築いていたスティーブンソンは、2016年の序盤4戦を終えた段階で、マックス・フェルスタッペンという新しいドライバーの担当になると告げられて、最初は腹を立てた。しかし、スペインGPの最初のプラクティスでフェルスタッペンが印象的なパフォーマンスを見せるのを目の当たりにした瞬間に、彼の苛立ちは完全に消え去ったという。フェルスタッペンはチームでの初のグランプリで優勝し、特別な才能を持っていることを早々に示した。

 その後、フェルスタッペンとともに4年間にわたり大きな成功を収めたスティーブンソンは、2021年の初めにレッドブルのチーフメカニックとなった。しかしこの役職はより管理的な役割であり、適応に少し時間がかかった。そして新しい仕事に慣れてくると、すでに定期的に優勝する力を持っているマシンに関与することにはさほど満足感を得られないと思うようになった。

 そんな時、新チームを一から作り上げる時期に立ち会う機会が訪れ、スティーブンソンはそのチャンスをつかむことにした。2026年のアウディF1参戦に先立ち、スティーブンソンは2024年の初めにザウバーにチーフメカニックとして加わったのだ。シーズン序盤は出来が悪かったピットストップ作業を改善するなど、チームの多方面での進歩に貢献。カタールで4ポイントを獲得したことは、ザウバーが遂げた進歩の証明として、ある意味、勝利に匹敵する満足感をもたらす成果だった。

 彼の役割は今後18カ月でさらに重要になる。アウディがF1でその存在感を示す時に、チームのポジションを押し上げるための手助けをしたいと、スティーブンソンは考えている。また、将来的にはチーム代表の役割を目指しており、リーダーシップのステージを上がっていくために、自身の経験を積んでいこうと心に決めているということだ。

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