WTCR世界ツーリングカーカップとの併催イベントとして5月19~21日にオランダ・ザントフールトで開催されたTCRヨーロッパ・シリーズの第2戦は、レース1をTCRスポーツのミゲル・アズコナ(セアト・クプラTCR)が、続くレース2をKCMGホンダのジョシュ・ファイルズ(FK8ホンダ・シビック・タイプR TCR)が制し、チームにシリーズ初勝利をもたらした。
レース1は20日の日曜、レース2は21日の月曜と変則的なスケジュールで開催されたこの第2戦は、開幕戦に続きFIAとTCRプロモーターのWSC Ltd.,から予選直前にふたたびBoP(バランス・オブ・パフォーマンス)調整のアナウンスが行われ、猛威を振るってきたヒュンダイi30 N TCRの性能調整がメインターゲットとされた。
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その内容は、ヒュンダイのエンジン出力を97.5%にダウン。さらに車高の20mmアップという大規模なもので、開幕戦連勝発進のドゥサン・ボルコビッチ(ターゲット・コンペティション/ヒュンダイi30 N TCR)は「ウエイト感度は(リザルトに応じた)コンペセンション・ウエイトでもそれほど影響はないが、車高のアップは本当に痛い。まるでSUVをドライブしているみたいだ」と泣き言が漏れるほどの効果を発揮。
さらに、FK8型のホンダ・シビック・タイプRのみ20kgの最低重量増加となったものの、アルファロメオ・ジュリエッタTCR、アウディRS3 LMS、新型プジョー308TCRはマイナス20kg、セアト・クプラTCR、フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCRも10kgの車両重量削減が実施され、その効果もあってかレース1に向けた予選ポールポジションは、このオランダ戦でチームWRTに加わった地元のヤープ-ヴァン・ラーゲンのアウディが獲得した。
レース1でそのポールポジションからスタートしたチームWRTレパード・ルクオイルのアウディだったが、蹴り出しが弱く後続に次々と飲み込まれ、フロントロウのアズコナがリードを奪って1コーナーへ。その背後にはセカンドロウ3番手スタートのKCMG、アッティラ・タッシのシビックが続いていく。
その直後、背後でポジション争いを展開していたリース・バー(ターゲット・コンペティション/ヒュンダイi30 N TCR)がコースを横切る形でトラック中央へとマシンを振ったところ、好調M1RAのダニエル・ナジー(ヒュンダイi30 N TCR)のホイールにヒット。バーのマシンはスピンモードに陥りバリアにクラッシュ。
このアクシデントを避けようとしたイゴール・ステファノヴィンスキ(ヒュンダイi30 N TCR)も、JSBプジョーのジュリアン・ブリシュと絡み、開幕戦ポールリカールでのヘビークラッシュに続いてのストップとなる不運に見舞われた。
この多重クラッシュでセーフティカーが出動となったレース1は、4周目のリスタート以降もポジションを守ったアズコナが12ラップのトップチェッカー。2位タッシ、3位ラーゲンの表彰台となった。
続く月曜開催のレース2は、ポールスタートとなったPCRスポーツのセアト・クプラTCRに乗るダニ・クロスと、ヤン-レノ・モラーのFK8シビックが首位攻防を繰り広げる中、4番グリッドから発進のファイルズが2番手に浮上して1コーナーへ。
かつてはターゲット・コンペティションに所属しTCRドイツで連覇を飾った実力者は、2周目に早くも首位浮上に成功すると、そのまま追いすがる後続のパックを引き離すべくスパート。一方、その遥かに後方9番グリッドからスタートのヴァン・ラーゲンが、2周目終了時点で5番手にまでアップすると、ここから怒涛のチャージを披露。
続くラップではタッシ、ナジー、スティアン・ポウルセン(セアト・クプラTCR)らが絡んだサイド・バイ・サイドのバトルに乗じてさらに上位進出を果たすと、6周目にはターゲット・コンペティションのクリス・リチャード(ヒュンダイi30 N TCR)をパスして3番手へ。
続いて同じオランダ人のダニ・クロスをターゲットに据えると、執拗なディフェンスで粘りを見せたクロスを8周目に料理し、ついに2番手までポジションアップを果たした。
その後、3番手のクロスと4番手タッシが、ファイナルラップに掛けてお互いを弾き出さんばかりのバトルを展開するも、年長者クロスに軍配。ファイルズが4秒以上のマージンを持って悠々クルージングの勝利を挙げ、ヴァン・ラーゲン、クロスの表彰台となった。
これでポイントスタンディングはレース2もトラブルで落とした開幕戦Wウイナーのボルコビッチにアズコナが並び、16ポイント差でファイルズが追いかける展開となっている。
次戦、TCRヨーロッパの第3戦は6月18日の週末にベルギーの伝統的サーキット、スパ・フランコルシャンを舞台に開催される。
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