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史上5番目の僅差フィニッシュ/アロンソに次ぐ勝利/最年少記録、届かずetc.【ル・マン24時間決勝後Topics 1】

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史上5番目の僅差フィニッシュ/アロンソに次ぐ勝利/最年少記録、届かずetc.【ル・マン24時間決勝後Topics 1】

 6月15~16日、フランスのサルト・サーキットでWEC世界耐久選手権第4戦/第92回ル・マン24時間レースの決勝が行われ、わずか14秒というマージンで50号車フェラーリ499Pが7号車トヨタGR010ハイブリッドを下した。

 決勝後のパドックから、各種トピックスを2回に分けてお届けする。

【トヨタ分析】「ガチンコ勝負でパワーが落ちた」7号車のトラブル。「ワーストコンディション」で光った8号車平川/ル・マン24時間

■デンマークとスペインから、3人目の優勝者

 フェラーリは499Pのデビューイヤーである2023年に続き、ル・マン24時間レースで11回目の総合優勝を果たした。これにより、イタリアのブランドは、ポルシェ(19回)に次ぐ歴代優勝者回数2位のアウディにわずか2勝差と迫っている。

 50号車フェラーリのクルーであるアントニオ・フォコはイタリア出身の14人目の総合優勝者となり、フェラーリの仲間であるアントニオ・ジョビナツィとアレッサンドロ・ピエール・グイディに続き、栄誉の名簿に名を連ねた。

 また、ニクラス・ニールセンとミゲル・モリーナは、それぞれの国であるデンマークとスペイン出身の3人目の優勝者となった。ニールセンは、同名のジョン・ニールセン(血縁関係はない)と9回優勝したトム・クリステンセンの足跡をたどり、モリーナは同国のマルク・ジェネとフェルナンド・アロンソの系譜に続いた。

■2011年の“13.854秒差”に迫る

 50号車フェラーリ499P と、2位のホセ・マリア・ロペス/小林可夢偉/ニック・デ・フリースの7号車トヨタGR010ハイブリッドとの差は14.221秒で、ル・マン史上2番目にタイム差で見た優勝マージンが小さいレースとなった。2011年のレースでは、13.854秒差で決着している。

 優勝差が距離(メートル)で宣言された例も含めると、今回は史上5番目のクローゼスト・フィニッシュとなった。

 また、9台の車両がリードラップでフィニッシュしたのはル・マンの新記録で、これまでのレースではリードラップに3台以上が入ったことはなかった。8台の異なるハイパーカーがある段階でレースをリードし、8号車トヨタGR010ハイブリッドは今回最多となる98周で先頭に立ち、83号車フェラーリ499Pは83周をリードした。

■ロッテラーの走行時間、わずか4時間弱

 スピードトラップでトヨタGR010ハイブリッドの2台と並んで最速(344.5km/h)だった4号車ポルシェ963 は、インディアナポリスでスリックタイヤを履いたまま濡れた路面に突っ込んだフェリペ・ナッセのクラッシュにより、18時間目にリタイアを喫した。

 コ・ドライバーのニック・タンディは次のように語っている。

「最初から僕らの4号車はペナルティ、ミス、接触に悩まされた。僕らにとってはまったく異常なことだ。チームメイトのフェリペを責めているわけではない。まだ濡れている路面で冷たいスリックタイヤを履いて走れば、すぐにコースから外れるはずだ。このような事故は珍しいことではない」

 ポルシェのハイパーカーで最高位を獲得したのは、ローレンス・ファントール/アンドレ・ロッテラー/ケビン・エストーレの6号車だった。終盤、土砂降りの中、スリックタイヤでもう1周のステイアウトを指示されたことが裏目に出て、表彰台をわずかに逃し4位となった。

 ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツのマネージングディレクター、ジョナサン・ディウグイドは、「6号車と5号車は最後の4時間、全力を尽くした。また、タイヤの選択に関しては、クルーも戦略的な限界を極限まで押し上げた。フェラーリとトヨタに勝利を賭けて挑みたかった」と語った。

 注目すべきは、ロッテラーがレースで走行したのはわずか3時間47分で、ファントールは12時間近く、エストーレは8時間だったことだ。ポルシェ・ペンスキーの広報担当者は、ロッテラーの体調は悪くなかったことを認めている。

■トップアマ、キーティングの苦悩

 ユナイテッド・オートスポーツがオリバー・ジャービス/ビジョイ・ガーグ/ノーラン・シーゲルの22号車オレカ07ギブソンでLMP2の勝利を祝う一方、ベン・キーティング/フィリペ・アルバカーキ/ベン・ハンリーの23号車は悪夢のようなレースを強いられた。

 キーティングが早々にコースアウトしたため石が当たりオルタネーターが壊れ、レース開始からわずか2時間で、交換のために90分を要することになった。

 キーティングはレース後、Sportscar365に次のように振り返った。

「何が原因か分からないが、ここのGTカーでの私の経歴は非常に良かったが、LMP2での経歴は良くなかった。レース序盤に強い追い風が吹いていたため、ダンロップ・シケインを見誤って、次に気付いたときにはサンドトラップで後ろ向きになっていた」

 来年LMP2車両でル・マンにもう一度挑戦するかと聞かれると、キーティングは「分からない」と答えている。

■バーニコート組のトラブル

 LMP2プロ/アマクラスの栄誉を獲得したフランソワ・ペロード/ベン・バーニコート/ニコラス・バローネのAFコルセ183号車オレカは、スターターモーターのトラブルに見舞われるまではLMP2クラスの総合優勝を狙える位置にいたが、そのトラブルでチームはピットストップ1回につき5~10秒ほどエンジンを始動するのに時間を要した。

 バーニコートはSportscar365に次のように語った。

「スターターモーターのトラブルがなかったら、優勝していたと思う。しかし、セーフティカーの後ろで非常に難しい決断を迫られた。ピットインして総合優勝を目指してその枠に自分を入れるか、それともプロ/アマのAO・バイ・TFの14号車をカバーするのか。そのシナリオのなかで、僕らはプロ/アマの勝利を守ることにしたんだ」

 LMP2でトラブルに見舞われたもう1台の上位勢は、ロレンツォ・フルクサ/マルテ・ヤコブセン/宮田莉朋のクール・レーシング37号車だった。この車両は後半に壊れたワイパーモーターを交換するために30分ガレージに留まった。その直前、マヤコブセンは自分がどこに向かっているのか見えずにスピンを喫していた。

 ユナイテッド・オートスポーツのマクラーレン720S GT3エボは2台ともレースを完走できず、エンジントラブルにより95号車は日曜日の朝にリタイア、59号車はクラストップを走行した後すぐにコース上で停止した。

■最年少記録をめぐって

 マンタイEMAのLMGT3クラス優勝は、ポルシェにとってGT部門でのル・マン7勝目であり、同時に同イベントですべてのGTカテゴリーで優勝した最初の、そして現在まで唯一のブランドとなった。 2013年と2018年のダブル優勝に加え、2019年にはGTEアマ、2022年にはGTEプロで優勝を果たしている。

 注目すべきは、GTEプロでの最後の勝利となった2022年の勝利には、今回の勝利と共通点がふたつあることだ。いずれもマンタイによってオペレートされていること、そしていずれも優勝ドライバークルーの一員として、リヒャルト・リエツが加わっていること、だ。

 リーツのコ・ドライバーであるモリス・シューリングとユナイテッド・オートスポーツのLMP2ドライバーであるノーラン・シーゲルはどちらも19歳であり、ル・マンのクラス優勝者史上最年少記録を惜しくも破ることができなかった。

 この記録は、現在プロトン・ハイパーカーのドライバーを務める、ジュリアン・アンドラウアーが保持している。アンドラウアーは2018年にGTEアマで優勝した時、18歳と352日だった。

 スピリット・オブ・レースの155号車フェラーリ296 GT3をドライブしたコンラッド・ローセンは、土曜日にスタートを切った時点で18歳と36日だったため、この記録を破ることができる可能性があった。この車両は、夜間のクラッシュで2周遅れになるまで、クラストップ5を走行していた。

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