■いまや、5ナンバー車は激減…なぜなのか?
近年、クルマのサイズは大きくなっています。昔は、小型車といわれていた車種も、現在ではかつての高級車並みのサイズとなっているものも少なくありません。国産車に限らず、輸入車にも昔より大型化している車種が多くあります。
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なぜ、近年クルマは、ボディサイズが大きくなったのでしょうか。
大型化の目安として、国産車では「5ナンバー」から「3ナンバー」へのサイズアップが挙げられます。
日本では、道路運送車両法において小型自動車を5ナンバー、普通乗用自動車を3ナンバーと区分しており、ナンバープレートの上段にある数字(2桁または3桁)の最初が5から始まれば5ナンバー、3から始まれば3ナンバーです。
また、5ナンバーは、排気量が2000cc以下もしくは、全長4700mm以下、車幅1700mm以下、全高2000mm以下のクルマが分類され、どれかひとつでもサイズが上回れば3ナンバーです。
そして、最近の国産車では、この5ナンバーサイズのクルマが減り、3ナンバーサイズのクルマが増えてきています。
日本自動車工業会によると1993年の5ナンバー車の販売台数は、約254万台で全体の65.3%を占めていましたが、2018年は約131万台となり半減近くまで落ち込み、3割以下となりました。
また、3ナンバー車においては、1993年時点では全体の約16%でしたが、2018年には一転し、5ナンバー車を超える約158万台を記録しています。
2018年に発売されたトヨタ「カローラ スポーツ」は、国内販売されるカローラシリーズとして、53年の歴史上初の3ナンバー。また、同年に発売され4年ぶりの復活と話題となったホンダ「インサイト」も3ナンバー化しています。
国産車の歴史は、経済成長とともにトヨタ「パプリカ」や「カローラ」、日産「サニー」などの小型車が販売のメインでした。
そして、高度成長期を経て裕福の家庭が多くなると、より大きく快適な車種が求められるようになります。実際に、1960年代には日産「セドリック」、1980年代にはトヨタ「クラウン」が3ナンバー化。
さらに、1993年には道路運送車両法の保安基準改正によって、1994年4月から販売されるクルマに「正面衝突実験」が義務付けられました。
これは、事故などの衝撃をエンジンルームなどで吸収し、乗員スペースを確保する衝突安全ボディへと繋がっていきます。
実際にクルマの安全性評価をおこなうNCAPの衝突実験動画では、1998年式と2015年式の「カローラハッチバック」が正面から衝突した際に、2015式車は運転席の形状が保たれているのに対し、1998年式車は運転席がつぶれてしまいました。
この実験に使われた1998年式モデルは、「カローラ CSI Seca」というハッチバックモデルとされ、ボディサイズは全長4095mm×全幅1685mm×全高1380mmです。
対する2015年式モデルは、11代目「カローラ(ハッチバック)」となり、全長4275mm×全幅1760mm×全高1460mmとなっています。[k1]
衝突安全ボディ構造やそれに伴う衝撃吸収部材などの追加や補強によって、クルマのサイズが大きくなっているようです。
同様に、近年はレーダーやカメラなどのセンサーに加えて、衝撃被害軽減ブレーキや横滑り防止装置などさまざまな安全装備を搭載。
衝突安全ボディなどの事故が起こった際のダメージを軽減する「パッシブセーフティ」に加えて、事故を未然に防ぐための「アクティブセーフティ」も、クルマの大型化の要因となっています。
クルマが大型化する要因について、国産自動車メーカーの開発者は次のように話します。
「クルマの安全に対する考えが年々重要視されていったことに伴い、『アクティブセーフティ(予防安全)』、『パッシブセーフティ(衝突安全)』、さらに運転者の疲労軽減を図る『運転支援』といったものが定着しています。
かつては車種によっての付加価値にもなっていた安全機能ですが、現在では『安全は当たり前のもの』という認識や制度もあって、ほとんどの車種にはなんらかの安全機能が付いています。
これにより、構造上や関連部品や部材の追加と室内空間の確保を考慮した結果、ボディサイズが大型化したのです。
また、国産車に限っていえばグローバル化や開発効率の向上から、クルマのベースとなるプラットフォームが共通化されているため、グローバルで評価されるボディサイズが求められます。
そのため、日本よりも道が広く長距離を走るクルマは走行安定性を求めて、大きくなっていくのです。
そして、軽自動車も普通車並の安全・快適機能を搭載し始めたことで、5ナンバー車に代わる存在として市場が伸びてきていることも、結果として5ナンバー車が激減している要因かもしれません」
■なぜ5ナンバー死守の「カローラ」は3ナンバーになった?
トヨタ「カローラ」は、初代モデルが発売された1969年から2001年まで33年もの間、国内発売台数のトップを死守し、日本を代表するクルマです。
初代モデル(代セダン)のボディサイズは、全長3845mm×全幅1485mm×全高1380mmですが、2012年に発売された「カローラアクシオ(セダン)」は、全長4360mm×全幅1695mm×全高1460mmです。
そして、2019年に12代目へと進化した「カローラ(セダン)」では全長4495mm×全幅1745mm×全高1435mmと世代を追うごとに大きくなっています。
5ナンバーサイズをセールスポイントにしていたカローラは、なぜ全幅が5ナンバー枠の1700mmを超えるサイズになったのでしょうか。
カローラの開発担当者は、次のように説明しています。
「歴代カローラは、5ナンバーサイズによる運転のしやすさを特徴に進化してきました。お客さまもこのサイズに愛着を持たれているので、新型の開発でも、5ナンバーサイズに収めることを何度も検討しました。
しかし、5ナンバーサイズの(コンパクトカーと共通の)プラットフォームでは、新型カローラのセダンとワゴンに必要な走行安定性と乗り心地を得られません。
そこで(現行プリウスから採用を開始した設計の新しい)TNGAのプラットフォームを採用することで、走りを大幅に向上できましたが、5ナンバーサイズには収まらず、結果として3ナンバーになりました。
ただし、国内仕様は日本のお客さまや道路環境での使い勝手の良さを実現するため、グローバルモデルより全長、全幅、ホイールベースを縮小した専用ボディを開発しています。
その結果、全幅は『カローラスポーツ』を45mm下まわる1745mmで、この数値は先代の3代目『プリウス』と同じです。3代目プリウスは好調に売れて日本の道路環境にも浸透しているので、これと同じ全幅なら、3ナンバー車になっても受け入れられると判断しました」
※ ※ ※
約53年に渡り5ナンバーサイズを死守していたカローラもグローバル化の影響を受け、3ナンバー化しました。しかし、日本を代表するクルマとして専用ボディを開発するなど、日本のユーザーを置いてけぼりしている訳ではないようです。
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みんなのコメント
それらは今までも散々言われていたある意味言い訳のようなもの。
今の日本車で一番嫌なのは、欧米基準でのクルマ作りに黙々と従っていて、必ずしも仕向地に最適なクルマを提供できていないと思う点である。5ナンバーサイズが最適解とは必ずしも思っていないが、コンパクトなクルマを求めている層は世界中にあるはずで、小さくとも走行安定性、衝突安全対策がしっかりしたものを作り、欧米基準にくさびを打ち込むぐらいやって、グローバル基準は日本車だと言えるぐらいのことをしないといけない段階だと日本メーカーには発破をかけたいね。
日本のメーカーで、欧米重視でアジアに弱いものは、Aセグ車を作る余裕がなくて、国内で台数が伸びない。