はじめに
カルロス・ゴーンが2018年に逮捕されたのちに、彼が主導したルノー・日産・三菱アライアンスの存続が危ぶまれたことがあった。今のところ、変わらず維持されているが、それでも大幅な体制変更が求められた。
株式の保有比率はより平等なものに近づけられ、各ブランドごとに注力するセグメントや地域を明確化。また、そこで得られた経験を、他ブランドでも活用できるシステムが整備された。
しかしそれは、今年の早い時期に決まったばかりで、それ以前は緩やかなコラボレーションだった。そんな過渡期に生まれた新たなプロダクトのひとつが、今回のルノー・オーストラルだ。日産キャシュカイと同じCMF-CDプラットフォームを用いるが、共通要素はそれだけだ。
ルックスは似ても似つかず、インテリアやマルチメディアも別物。パワートレインのコンセプトもまったく異なる。フォルクスワーゲングループやステランティスのような、じつにわかりやすいコンポーネンツ共用とは、根本的にアプローチが違っている。
つまりオーストラルは、きわめて人気の、ライバルひしめくクラスにあって、興味を惹かれる独特な参入者だと言える。もっとも、競争は厳しいものの、心躍るようなクルマはほとんどないクラスなのだが。
英国に導入されるのはフルハイブリッドのE−テックのみで、ルノー独自のシンクロもクラッチもないギアボックスを用いるシステムを搭載する。ライバルはキア・スポーテージやヒョンデ・ツーソン、ホンダZR−V、そして遠縁的なキャシュカイあたりだ。
意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆
オーストラルはカジャーの後継モデルとなるが、ヴィジュアルもメカニズムもまったく異なる。全長は52mm伸び、全幅は7mm広い。メガーヌEVからはじまった新たなファミリールックは、歯切れのいいラインと、C字型ヘッドライトを備え、大径ホイールを履く。
E−テック・ハイブリッドと銘打たれたパワートレインは、クリオやキャプチャー、アルカナ、また従来型メガーヌにも採用されている。それらのエンジンは1.6L直4自然吸気、トランスミッションは4速だ。オーストラルのそれはアップグレード版で、より大きく重いクルマに適した仕様。初期型で得たいくつかの教訓が活かされている。
コンセプトこそ同じだが、各要素は軒並み進化している。エンジンはトルクを高めた131psの1.2L直3ターボで、このために開発された新型ユニットだ。電気モーターは出力が引き上げられ、バッテリーは拡大するとともにエアコンのシステムを用いた冷却系を採用し、電力での航続距離と加速の持続力が増している。
ギアボックスは、2速と3速の間に1段追加され5速に。これにより、高速道路の登り坂のような高負荷時にエンジン回転を低くできるようになった。
作動原理は、従来型と同様だ。エンジン用の5速とモーター用の2速、それぞれのトランスミッションは連携し、トータルで15の変速比が存在するのである。ルノーはこれを、マルチモードギアボックスと呼ぶ。この独特な設計により、エンジンとモーターが別々のギア比を用いるのが常態となる。実質的に、トランスミッションはふたつのギアを同時に使うことになるのだ。
クラッチがないので、エンジンは常にギアボックスと接続されていて、シンクロのないドグクラッチ式となっている。そのシフトチェンジを可能にするため、エンジン側のトランスミッションをニュートラルに入れている間に、小さいほうのモーターがエンジンとギアの回転を合わせる。また、エンジンをニュートラルにして、ジェネレーターを駆動することも可能だ。
内装 ★★★★★★★☆☆☆
エクステリア同様、インテリアの方向性もメガーヌに倣ったものだ。それまでのルノーの内装より角張っていて層が多く、黒いパネルに覆われたダッシュボードにはディスプレイと送風口がふたつずつ備わる。
メガーヌはさまざまな素材をごた混ぜに使っていて、なかにはちょっと歓迎できないようなものも見られた。オーストラルはもっとバランスの取れた内容で、どこをとっても満足できそうな質感だ。
技術的な部分と同じく、キャシュカイとの相違は明確だ。共有部品はボタンひとつも見つからず、スクエアでビジネスライクな雰囲気の強い日産に対し、ルノーは華やかに飾られている。必ずしも優劣をつけられるようなものではないが、少なくとも両者の違いは明らかだ。
オーストラルは技術面に重点を置いているようだが、使い勝手もおろそかにはしていない。エアコンの主要な機能はロッカースイッチで操作し、シートヒーターのセッティングはディスプレイで行うもののアクセスしやすい。ステアリングホイールのスイッチは、実体ボタンを用いている。
センターコンソールのデザインは、全面的にうまくいっているわけではない。ドライブセレクターはステアリングコラムに設置され、取り回し時に便利なうえ、センターコンソールのスペース拡大にも寄与する。しかし、小物入れはさほど深くない。ハイブリッド用バッテリーの上に配置されているからだ。
結果として、ドリンクホルダーになにかをおこうと思ったら、携帯電話用トレーを後方へスライドしなくてはならず、後ろ側の小物入れが使えなくなる。また、せっかくのパームレストがディスプレイから遠くなってしまって用をなさなくなる。
後席は、キャシュカイやカジャーより広くて使いやすく、スペースの大きいキア・スポーテージと比べてもきわめてわずかな差しかない。しかし、荷室はキアより157Lも少ない。シートスライドも、それを埋め合わせることはできない。
後席フォールドが、完全にフラットにならないのも残念なところ。とはいえ、荷室側にあるシートフォールド用レバーは使いやすいし、スペースはかなり実用的だ。ハーマンカードン製オーディオ非装着車を選べば、サブウーファーが装備されないフロア下には、スペースセーバータイプのスペアタイヤを積めるくらいのスペースも手に入る。
走り ★★★★★★★★☆☆
ルノーのE−テック・ハイブリッドシステム独自の作動の仕方によって、オーストラルは発進加速が奇妙なクルマになっている。というのも、スリップさせるクラッチやトルクコンバーターがないので、常に電気モーターで発進する必要があり、そのときにエンジンはニュートラルになっているからだ。
モーター出力が68psしかなく、車両重量が1696kgあるSUVだという点を考えると、発進加速はややスロー気味だ。
20km/hくらいまでは、エンジン回転はアイドリング程度で、駆動力を発揮するのはそれより速くなってから。ギアチェンジが必要になってくるのは70km/hあたり。ギアボックスがノンシンクロで、スターター/ジェネレーターが入念に回転合わせをしなければならないので、変速は0.5秒くらいかかる。その間はふたたびモーターが仕事をする必要があり、加速は明らかに弱まる。
そこから120km/hくらいまでは、ふたたびスマートに加速する。そこでまたシフトチェンジするが、加速が体感的には1.5秒くらい衰える。全開加速では1段飛ばし、トップに入ったのは174km/h。ここではモーターが回転速度を維持できないので、ややスローダウンする。そこで少しの間を置いてまた加速し、180km/h目前でリミッターに当たる。
すべてがそこはかとなく奇妙なのだが、普通に走っている分にはそれに気づくことはないのがありがたい。全開にしない限り、モーターのパワーはシフトチェンジの際に途切れるエンジンパワーを十分に補って、そうとは気付かせないくらいスムースに完了してくれる。
さらにエンジンはすばらしく洗練されていて、よほどハードに加速しなければ3気筒のノイズや振動も感じさせない。例外は、バッテリーを急いで充電するためにコールドスタートする必要がある場合のみだ。その後に多少はガラガラいうが、それもほんの数秒くらいだ。
フルハイブリッドとしては大きめな1.7kWhのバッテリーを積んでいるので、EVモードの航続距離は長めだ。市街地走行を、苦痛ではなく快適なものにしてくれる。
全般的に見れば、パワートレインの洗練度は競合するキアをはじめ、トヨタや日産、ホンダさえも上回る。にもかかわらず、0−100km/h加速タイムが公称値に0.5秒も満たず、キア・スポーテージより遅かったのは残念だった。
ドライバーはシフトセレクトを行う余地が一切ないのだが、ステアリングホイールの裏側にはパドルがある。これは回生レベルを選択するためのものだが、それを可能にしたのは大きめのバッテリーと力強いモーターだ。減速度はEVほどではなく、ワンペダル運転モードはないが、操作するだけの価値はある。ブレーキペダルのタッチはややソフトで、反応は過敏なところもあるが、すぐに慣れる程度のものだ。
使い勝手 ★★★★★★★★★☆
インフォテインメント
Google Android Automotiveをベースとした、ルノーの最新世代マルチメディアシステムは、すでにメガーヌで体験済みで、そちらの作動ぶりは上々だった。オーストラルでより大きな12.0インチ画面を用いたことは、利点しかない。さまざまなショートカットやウィジェットを配置するスペースが広がったのだから。
Googleベースなので、ナビゲーションはGoogleマップを使うのだが、これがみごと。自分のGoogleアカウントで簡単にログインできて、アドレス帳や、最近の検索履歴などを反映することもできる。
Appストアを通じて、サードパーティーのサービスを追加することも可能。Wazeのナビゲーションも使用できる。Apple CarPlayとAndroid Autoはワイヤレス接続式で、車載インターフェイスとの連携もじつによくできている。
ルノーといえば、ステアリングホイール裏のメディア操作用レバー。すっかりおなじみとなったこのアイテムは相変わらず健在だ。ただし、音量とチューニングは、センターコンソールに実体スイッチを用意してくれればもっと使いやすくなると思う。
燈火類
英国導入モデルは上級グレードのみなので、エントリーモデルでもマトリックスLEDヘッドライトが標準装備される。
ステアリングとペダル
英国導入モデルは2ペダルのみなので、広いフットウェルに余裕をもって配置されている。ルノーの常で、ブレーキペダルの踏面はスロットルペダルより高めなので、ブレーキング時には足をやや引き上げることになる。
操舵/安定性 ★★★★★★☆☆☆☆
テストしたアイコニック・エスプリ・アルピーヌの諸元表に目を通すと、主流のクロスオーバーより風変わりなところが見つけられる。このクラスで、リアサスペンションがマルチリンクなうえに、四輪操舵までついているクルマは一般的ではない。
残念ながら、このオーストラルにグレード名が示唆するようなアルピーヌのスピリットは感じられなかった。ステアリングは非常にクイックで、ロックトゥロックは2.3回転以下。しかし、フィードバックや、押し返してくる手応えはまったくないので、フィーリングはきわめてナーバスだ。
切りすぎてしまいやすいので、路上での位置決めは難しい。その感覚をさらに悪化させるのが、SUVらしく高めの着座位置と、セッティングの詰めがやや甘い四輪操舵システムだ。
ポルシェ911のようなスポーツカーや、レンジローバーやBMW iXのようなSUVに備わるベストな4WSなら、ドライバーにその存在を意識させるようなことはない。実際よりも車体が小さく、やや敏捷性も高いと感じさせてくれるものだ。
オーストラルの4コントロールと呼ばれる4WSシステムは、コーナーによってはナーバスなフィールを増し、それ以外では横走りするような感覚をもたらす。
たしかに、回転サークルが小さくなり、取り回しはしやすくなる。とはいえ、システムのレスポンスが同調してくれないので、ナチュラルには感じられない。タイトなラウンドアバウトに入ると、クルマがオーバーステア状態になりはじめたように感じられ、リアエンドが振り回される。後輪操舵の効き具合を走行モードのメニューで調整できるのはおもしろいギミックだが、エンジニアがするべき仕事をやらされていると思えてしまうのも正直なところだ。
しばらく経てば、特定のシチュエーションに応じてさまざまな走行モードを設定することができるだろうし、シャシーのバラバラなリアクションにも慣れるだろう。235幅のミシュラン・プライマシー4のおかげで、グリップは十分にある。しかしながら、オーストラルのシャシーが不思議なほど満足できないことは変わらない。
ファミリーカーのクロスオーバーに、ホットハッチのようなハンドリングを期待することはないだろう。それでも、ライバルたちがもっと直観的で自信が持てるようなフィールをどうにか生み出している。走り好きのドライバーであっても、そうでなくても、誰もがそのほうがいいと思えるはずだ。
快適性/静粛性 ★★★★★☆☆☆☆☆
オーストラルのシャシーは、ダイレクトさとレスポンスを求めてチューニングされているようだ。その仕上がりは、すばらしいとまではいかないまでも、目的に適ったものとなっている。
問題は、乗り心地に不備があることだ。少なくとも20インチタイヤを履いたテスト車は、荒れた路面でキツい衝撃を受けることになった。フランス車といえばソフトな乗り心地が美点、というのが伝統だが、このクルマには当てはまらない。
高い速度で走るほうが、このクルマには向いている。B級道路の大きめのバンプにも、ひどく動揺させられることはなく、ゴツゴツしたセカンダリーライドも、高速道路では気にならない。騒音計は、113km/hで68dBAを計測したが、これはライバル車たちと同レベルだ。
視点の高いドライビングポジションはSUVらしいもので、シートはパッドが柔らかめ。ヘッドレストは多方向の調整が効く。しかし、最上位グレードでありながらもも周りのサポートはなく、アルピーヌを名乗りながら横方向のサポートがほとんどない。
購入と維持 ★★★★★★★★☆☆
オーストラルの価格は、テクノ仕様の3万4695ポンド(約631万円)から。ハイブリッド車で、標準装備内容が充実していることを考えると、ライバル勢のエントリーモデルより高価なのは納得できる。ちなみに、セアト・アテカは2万7330ポンド(約497万円)からだ。
しかしながら、同程度の装備を持つハイブリッドの競合車に比べると、オーストラルの値付けはかなり競争力がある。テストした最上位グレードのアイコニック・エスプリ・アルピーヌは3万9495ポンド(約719万円)で、オプションはスペシャルペイントだけ。日産キャシュカイ・テクナやヒョンデ・ツーソンNラインSのほうが安いものの、その差はごくわずか。キア・スポーテージGT−ラインSやホンダZR−Vアドバンスよりは安い。
残価予想もかなりよく、月々の支払いはもっとプレミアム感が強いマツダCX−5のマイルドハイブリッド+ATと同程度だ。
長距離を走れば、ハイブリッドの利点が大きく効いてくる。というのも、テスト中に記録したオーストラルの燃費はなかなかのものだったからだ。スペックを見る限りではモード燃費と実燃費の差は小さくないと思うだろうが、われわれの燃費データが性能テストを含めて算出していることを考えれば、ルノーはWLTPサイクルのテストに正々堂々挑んだといえるだろう。それでも平均15.9km/Lというテスト車の実燃費は、上々の部類に入る。
高速道路を穏やかに走れば、17km/Lを超えるのも無理な話ではなさそう。市街地をステディに走り、EV走行をうまく使えれば、さらなる燃費改善も期待できるだろう。
スペック
レイアウト
プラットフォームはCMF-CDで、日産のキャシュカイやXトレイル、ルノーが新たに投入するラファールと共用している。
つまり、サスペンションはフロントがマクファーソンストラット、リアは仕様によりトーションビームかマルチリンクを用いている。
エンジン
駆動方式:フロント横置き前輪駆動
形式:直列3気筒1199ccターボチャージャー、ガソリン
ブロック/ヘッド:-/-
ボア×ストローク:φ-×-mm
圧縮比:-
バルブ配置:-
最高出力:131ps/-rpm
最大トルク:20.9kg-m/-rpm
エンジン許容回転数:-rpm
ハイブリッドアシスト:ギアボックス内蔵永久磁石同期モーター+ISG
モーター最高出力:68ps
モーター最大トルク:20.9kg-m
システム総合出力:199ps/-rpm
システム総合トルク:-kg-m/-rpm
馬力荷重比:118ps/t
トルク荷重比:-kg-m/t
エンジン比出力:77ps/L
ボディ/シャシー
全長:4509mm
ホイールベース:2667mm
オーバーハング(前):925mm
オーバーハング(後):917mm
全幅(ミラー含む):2083mm
全幅(両ドア開き):3600mm
全高:1621mm
全高:(テールゲート開き):2100mm
足元長さ(前席):最大1080mm
足元長さ(後席):600~900mm
座面~天井(前席):最大1025mm
座面~天井(後席):740mm
積載容量:430~1455L
構造:スティール・モノコック
車両重量:1696kg(公称値)/-kg(実測値)
抗力係数:-
ホイール前・後:8.5Jx20
タイヤ前・後:235/45 R20 100V XL
ミシュラン・プライマシー4 S1
スペアタイヤ:なし(パンク修理キット)
変速機
形式:5速AT
1速:-/-
2速:-/-
3速:-/-
4速:-/-
5速:-/-
最終減速比:-
燃料消費率
AUTOCAR実測値:消費率
総平均:15.9km/L
ツーリング:15.4km/L
動力性能計測時:2.6km/L
メーカー公表値:消費率
低速(市街地):22.7km/L
中速(郊外):23.8km/L
高速(高速道路):22.7km/L
超高速:17.2km/L
混合:20.4km/L
エンジン単体:-km/L
EV航続距離:-km
燃料タンク容量:55L
駆動用バッテリー:ニッケル水素・14.2/12.9kWh(総量/実用量)
現実的な航続距離(モーターのみ):-km
現実的な航続距離(エンジンのみ):-km
現実的な航続距離(エンジン+モーター):871km
CO2排出量:110g/km
サスペンション
前:マクファーソンストラット/コイルスプリング、スタビライザー
後: マルチリンク/コイルスプリング、スタビライザー
ステアリング
形式:電動機械式、ラック&ピニオン、電動後輪操舵
ロック・トゥ・ロック:2.25回転
最小回転直径:10.1m(非4WS車:11.4m)
ブレーキ
前:350mm通気冷却式ディスク
後:330mm通気冷却式ディスク
制御装置:ABS
ハンドブレーキ:電動、ステアリングコラム右側にスイッチ配置
静粛性
アイドリング:53dBA
全開・145km/h時:73dBA
48km/h走行時:57dBA
80km/h走行時:63dBA
113km/h走行時:68dBA
安全装備
ABS/ESC/LKA/AEB/クロストラフィックアシスト
Euro N CAP:5つ星
乗員保護性能:成人88%/子供83%
歩行者保護性能:69%
安全補助装置性能:87%
発進加速
テスト条件:乾燥路面/気温27℃
0-30マイル/時(48km/h):3.7秒
0-40(64):5.1秒
0-50(80):6.8秒
0-60(97):8.5秒
0-70(113):10.6秒
0-80(129):14.3秒
0-90(145):18.0秒
0-100(161):22.4秒
0-110(177):28.4秒
0-402m発進加速:16.8秒(到達速度:139.7km/h)
0-1000m発進加速:29.9秒(到達速度:179.0km/h)
ライバルの発進加速ライバルの発進加速
キア・スポーテージ1.6HEV 2WD GT-ライン S(2022年)
テスト条件:乾燥路面/気温10℃
0-30マイル/時(48km/h):2.9秒
0-40(64):4.0秒
0-50(80):5.5秒
0-60(97):7.3秒
0-70(113):9.3秒
0-80(129):11.8秒
0-90(145):14.4秒
0-100(161):18.9秒
0-110(177):24.0秒
0-402m発進加速:15.6秒(到達速度:148.4km/h)
0-1000m発進加速:28.3秒(到達速度:184.9km/h)
キックダウン加速
20-40mph(32-64km/h):2.6秒
30-50(48-80):3.1秒
40-60(64-97):3.4秒
50-70(80-113):3.8秒
60-80(97-129):5.8秒
70-90(113-145):7.4秒
80-100(129-161):8.1秒
90-110(145-177):10.4秒
制動距離
テスト条件:乾燥路面/気温27℃
30-0マイル/時(48km/h):8.7m
50-0マイル/時(64km/h):23.3m
70-0マイル/時(80km/h):47.9m
60-0マイル/時(97km/h)制動時間:2.79秒
ライバルの制動距離キア・スポーテージ1.6HEV 2WD GT-ライン S(2022年)
テスト条件:乾燥路面/気温10℃
30-0マイル/時(48km/h):8.4m
50-0マイル/時(64km/h):23.5m
70-0マイル/時(80km/h):45.7m
結論 ★★★★★★★☆☆☆
ルノー・オーストラルの巧妙な技術を用いた新機軸は誉めるに足る試みで、それがじつに好ましいという点では、マツダCX−60やヒョンデ・アイオニック6などと並ぶ。しかし、致命的な欠陥がひとつふたつあるのも事実だ。
心から魅力的だと思える部分は多い。独特なE−テック・ハイブリッドシステムは、初期のものより熟成され、みごとな働きを見せる。このクルマにふさわしいレベルのパフォーマンスと、すばらしい燃費性能を両立している。車内のテクノロジー関係も、手間を増やすようなことはなく、ドライバーを楽にしてくれる。キャビンは十分に広く、価格は競争力があり、デザインにはスキがない。
四輪操舵は、普通ならもっと高価なクルマに設定されるオプションだ。しかしながら、それこそオーストラルのアキレス腱だ。不自然な反応が、ドライバーに余計な苦労を求めてしまうのである。また、直線を走っているときでさえ、ゴツゴツした乗り心地がはっきり言って心地よくない。
多くのドライバーとそのファミリーにとって、オーストラルE−テックはじつに多くの要求を満たしてくれる。それだけに、目的に適わないシャシーのチューニングがフラストレーションを感じさせてしまうのだ。
担当テスターのアドバイス
イリヤ・バプラートルーズな送風口や、グラグラするギアセレクターなどは、ルノー車によく見られる品質面の小さな問題。オーストラルも、そこはご多分に漏れない。運転席側のドアトリムからはきしみ音が出るし、ウインドウウォッシャーは片側がフロントウインドウにうまくウォッシャー液を当てられない。大きな問題ではないけれど、ルノーには改善を求めたい。
マット・ソーンダースやたら介入してくるレーンキーピングアシストは、いまどきのクルマでは共通の問題だが、オーストラルのそれはうまく機能してくれて、オフにするのもボタンひとつの簡単操作。ほかのメーカーにも見習ってもらいたい。
オプション追加のアドバイス
テクノ・エスプリ・アルピーヌがおすすめ。重要なアイテムはほとんど標準装備で、欠けているのはパノラミックルーフとワイヤレス充電機程度。マルチリンクのリアサスペンションと4WSも装備されていないが、乗り心地とハンドリングへの恩恵は絶対的なものではないので、そこに出費しなくてもいいかもしれない。
改善してほしいポイント
・四輪操舵のチューンを見直して、もっとナチュラルなフィールに仕立ててほしい。
・サスペンションはもっと快適性を高める方向で修正を。
・シートは、横方向と太もも部分のサポートを追加してもらいたい。
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