映画ワイルド・スピード、どんな日本車が登場?
text:Kumiko Kato(加藤久美子)
「ワイルド・スピード」は邦題のシリーズ名で、原題は「The Fast and the Furious」である。1~4作目まではとくに多数の日本車が登場する。登場したクルマをいくつか挙げてみよう。
1作目(2001年)「ワイルド・スピード」
・エクリプス
・80スープラ
・GT-R(R34)
・240SX
・インテグラ
・S2000
・シビック
・シビッククーペ
など多数。
2作目(2003年)「X2」
・GT-R(R34)
・ランエボ
・エクリプス
・S2000
・NSX
・インテグラ
・シビック
・アコード他
3作目(2006年)「X3 TOKYO DRIFT」
・Z33
・S15シルビア
・RX-7(FD)
・RX-8
・ランエボ他
4作目(2009年)「MAX」
・GT-R(R33/R34)
・240SX
・RX-7(FC)
・AE86他多数
1作目は90年代に西海岸で大流行したホンダ車や240SX、エクリプスなどを中心とするスポコン車からの流れで日本車が多数登場した。
スープラ復活の立役者とされるオレンジ色の80スープラも1作目に登場している。
そして、そのスープラに乗るオコナー刑事を演じる、俳優ポール・ウォーカーが事故死したのは2013年11月30日だった。間もなく亡くなってから丸6年となる。
ポールは幼い頃から、クルマ好きの父親と共にクルマを改造するなどして育ち、俳優として成功を収めてからもクルマ好きは止まらず、自宅に20台以上の高級車を保管するガレージを所有していたことでも知られる。
そんなポールが特に愛したのが日産スカイラインR34GT-RとトヨタA80スープラだ。いずれも、劇中にポールの愛車そのものが登場している。
「Furious7」(スカイミッション)でのラストシーンに登場した白い80スープラに涙した人も多かっただろう。筆者もその1人である。
R34、25年ルール適用には早すぎる
オコナー刑事が劇中で乗るR34はワイルド・スピードX2とMAXに登場する。いずれも日本仕様の右ハンドルだ。
というのも、スカイラインGT-Rシリーズは、35GT-R以前は歴代モデル含めアメリカを含む海外では販売がされなかった。
つまり、左ハンドル仕様が作られなかったのである。
前述した80スープラは初代A50/60スープラ(日本ではセリカXXとして販売)から最新のGRスープラまで米国で販売されて来ているので左ハンドルが存在する。
それなのに、なぜ映画に出てきたR34、ポール自身が所有したR34は右ハンドルだったのか?
北米には15/25(カナダ15年、アメリカ25年)年ルールなるものが存在する。
簡単に言うと、製造から15/25年経過したクルマはクラシックカーのカテゴリーとなり、米国の保安基準FMVSSに定められた諸々の保安基準に関わらず、米国での輸入販売登録が可能となる。
つまり、右ハンドル車であってもアメリカでの登録が可能となる。
ただし、25年ルールをクリアしてもカリフォルニア州の排ガス規制などのように、州ごとの規制をクリアしなくてはならない場合もある。(カリフォルニアの排ガス規制はトランプ大統領の方針によって撤廃される可能性が高いが……)
しかし、映画に登場するスカイラインGT-R(BNR34)は1999年以降の製造である。
25年ルールは月単位(1994年11月製造の車両なら2019年11月1日から25年ルール適用となる)で確認されるため、詳細な製造月まではわからなくても、最初が1999年なら25年ルールが適用されるのは早くても2024年となる。
現時点でも25年ルールが適用されるにはまだまだある。
映画に出たR34、15年で解禁カナダ登録説
では、15年で解禁となるカナダで登録したのでは? と思う人もいるかもしれない。
カナダに住所があればカナダ登録も可能で、実際カナダナンバーの右ハンドルR34がアメリカ国内で走っているのを何度か見かけたこともある。
だが実際はカナダ登録のクルマをアメリカで日常的に使用することはかなり厳しくチェックされるため、映画に使ったり、ポールが私用で使ったりというのはほぼ不可能だ。
右ハンドル車でも、自動車メーカーがテストのために輸入したり、展示会に出展したりするために輸入する分には問題ない。
例えば、米国トヨタがテストのために日本から右ハンドルのトヨタ車をアメリカに輸入して公道走行……といった場合などは所定の手続きを取れば問題なく可能だ。
また、先のSEMAショウには日本のビルダーがカスタムされたジムニー(日本仕様右ハンドル)を輸入して出展していたが、これももちろん展示用なのでOK。
要は、アメリカで一般ユーザーに販売し登録する以外なら右ハンドルでもほぼ、問題ないのだ。
そして本題。ワイルド・スピードに出てきたR34についてである。
実際、この映画と同じ仕様(2作目に登場した銀と青、4作目登場の青)のR34は世界中で非常に人気が高く、海外オークションでは1000万円以上の価格を付けるものもざらだ。
25年ルールを待ちきれない人のためにR32のフロントをR34風に変えるキットまで販売されている。ミニカーとしても多数販売されており、もちろんそれらもすべて右ハンドルだ。
2018年のSEMAショウには、「ポールが生きていたらR34にこんなカスタムをしたんじゃないか?」というショーモデルも出展されていた(写真)
衝突実験その他のテストをクリアすればOK
実は映画に登場したR34は、日本人が経営していたモトレックス(本社:米国カリフォルニア州)という会社が日本から並行輸入したクルマである。
右ハンドル車ゆえ、もちろんそのままでは販売/登録できないので、米国運輸局が定める所定のテスト(前面衝突/側面衝突他)も実施し基準をクリアし、カリフォルニアの排ガステストに対応するための対策も行われて審査をパスした。
それらと同じ型のR34を日本から輸入し米国で一般ユーザーに販売していたのである。
映画に使われたR34も同社によってテストをクリアして販売されていた、正規の右ハンドル車ということになる。
カナダ登録なのではないか? 芸能人だから特別扱い? 展示用として輸入したものを使っていたのでは? 映画の撮影用として特別に輸入が許可されたのでは?
いずれも違っていたというわけだ。
アメリカは日本のような車検はなく、改造はかなり広い範囲で認められているのだが、車両の登録や安全性、環境基準に関しては意外とシビアだ。
ただし、実はこの話にはまだ続きがある。モトレックス社が衝突試験などを行って輸入した右ハンドルのR34は15台前後という説がある。
おそらく、ポール・ウォーカーが所有していたR34は何の問題もなかったと考えるが、あとの方に輸入されたモデルに関しては非合法なものも存在した。
映画に使われたR34やポールの愛車であるR34の手配も行い、米国におけるGT-Rの第1人者ショーン・モリスにインタビューを行っているので、また別記事で扱ってみたい。
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