現時点で最もパワフルな市販車と謳われるロータスの電動ハイパーカー『エヴァイヤ』。130台限定生産とただでさえ希少なこのクルマに、さらに特別なモデルが発表された。それが『エヴァイヤ・フィッティパルディ』だ。
何を隠そうこの特別モデルは、ロータスに1972年のF1ドライバーズチャンピオンとコンストラクターズチャンピオンをもたらしたエマーソン・フィッティパルディ駆るロータス『Type 72』を模したモノ。このダブルタイトルから半世紀が経過しているものの、当時タイトルスポンサーを務めたジョンプレイヤースペシャル(JPS)のブラックとゴールドの象徴的なカラーリングはその後も様々なオマージュを受け、F1ファンの眼に焼き付いていることだろう。
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1972年シーズンの全11戦中5勝を上げたType 72のカラーリングを踏襲したエヴァイヤ・フィッティパルディは、今年の初めに立ち上げられたロータスのビスポーク車両部門「ロータス・アドバンスド・パフォーマンス」でのハンドメイド。エクステリアのカラーリングも手作業でペイントが施され、露出したカーボンファイバー製ルーフには、Type 72の平面図が描かれている。
ホイールやブレーキキャリパーカバーもType 72に倣い、ブラックとゴールドの配色。アルマイト仕上げのセンターロック周りは、左側がレッド、右側がグリーンとなっている。
Bピラーには当時のカーナンバーである「8」が付けられ、エマーソン・フィッティパルディの名も金字で刻印。アクティブリヤウイングには1972年シーズンで制した5つのレースのデカールが貼られるなど、Type 72とフィッティパルディへのトリビュートを示している。
インテリアもビスポーク仕様。ダッシュボードには、フィッティパルディがインディ500で2勝目を上げた際に書いたサインが手縫いで施され、インストルメントパネルのロータリーダイヤルは”オリジナル”のType 72からリサイクルされたアルミニウムを使用している。
インテリアの配色もエクステリア同様にブラックとゴールドでまとめられ、ペダルやエアベント、スタート/ストップボタンはゴールドとなっている。
エヴァイヤ・フィッティパルディは8台限定生産。通常のエヴァイヤとスペックは同じだが、一般的な市販車と一線を画するパフォーマンスを持つことに変わりはない。
4基の電動モーターを搭載し、最高出力は1500kW(2011ps)で最大トルクは1704Nmを発生。0-100km/h加速は3秒以下で、300km/hに達するまでに10秒とかからない。最高速度は350km/hで、ロータスは1回の充電で402kmの走行を目指している(WLTPモード)。
エヴァイヤはラッセル・カー率いる同社のデザインチームによって生み出され、リヤに抜ける大きなベンチュリー・トンネルを持つことが特徴。F1ではType 72の”子孫”ロータス『Type 78』がその起源であり、現行F1にも採用されているこの手法により、空気抵抗の最小化とダウンフォースの最大化を目指している。
ロータスのテストコースがあるイギリス・ヘセルで行なわれたエヴァイヤ・フィッティパルディのワールドプレミアには、主賓としてフィッティパルディ本人が登場。現存するType 72の実車8台が集結し、エヴァイヤと共にテストコースを走った。
発表会へ出席したフィッティパルディは次のように語った。
「この特別な機会にヘセルを訪れることができて、とても光栄だ」
「このプロジェクトへの参加はとても面白かったし、新たなオーナーにこのクルマを公開できたのも素晴らしい体験だった。ヘセルのテストコースで、エヴァイヤ・フィッティパルディと私がタイトルを獲ったType 72の両方を走らせたことも、素晴らしい体験になった」
また、こちらもF1世界チャンピオンであるジェンソン・バトンも、テストコースにてエヴァイヤ・フィッティパルディを初ドライブ。乗り心地やハンドリング、パフォーマンスを味わった。
「ジェットエンジンみたいな音だ!」
そうバトンは感想を述べた。
「EVというと静かなイメージがあるけど、これはそうじゃない。トルクは天文学的な大きさで、すごいよ……顔がついほころんじゃうね」
「宇宙船みたいな感覚だし、ドライバビリティやステアリングの正確さは、自分がロータスを走らせているんだと実感させてくれる。このクルマの俊敏さには驚かされたよ」
「これがロータスの未来で、自分のエヴァイヤに乗るのが待ちきれないね」
限定8台のエヴァイヤ・フィッティパルディの価格は未公開。2023年初頭から順次オーナーの元へデリバリーされる予定とのことだ。
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みんなのコメント
以前ロータスがF1に復帰した時ですらそんな雰囲気でしたよね。