もくじ
ー スパイダーを怖がっているのは誰だ?
ー 年式ごとの違い
ー アルファ・ロメオ・スパイダーの中古車 購入時の注意点
ー 専門家の意見を聞いてみる
ー 知っておくべきこと
ー いくら払うべき?
ー 掘り出し物を発見
長期テスト アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオ(1)
スパイダーを怖がっているのは誰だ?
こいつは噛みついたりしない。親しみやすく優れたハンドリングのアルファ・ロメオだ。エンジンは俊敏なツインスパークか、とろけるようなV6である。信頼性も悪くないとジョン・エヴァンスはいう。価格は1000ポンド(14万9000円)からだ。
最近の3行広告ではクラシックカーが大流行だ。ひどいオンボログルマでも価格は天井知らずという有様だが、「将来のクラシックカー」と呼んでもおかしくないクルマも少しはある。1995年から2006年にかけて製造されたアルファ・ロメオ・スパイダーはその1台だ。
英国の場合、916シリーズのスパイダーで残っているのは1000台足らず。ほとんどが1999年から2005年製の2.0ツインスパークだ(3.0および3.2の24バルブV6はめったにない)。価格帯は1000ポンド(14万9000円)から5000ポンド(74万6000円)程度だが、3500ポンド(52万2000円)も出せば十分程度の良いものが買える。GTVと呼ぶクーペ版もある。数は少ないがV6搭載車が見つかる可能性は高い。
両方のバージョンともピニンファリーナのデザインで、素晴らしいビンテージカーになりつつある。美しさは見るひと次第だが、ほとんどのひとはGTVよりスパイダーの方が美しいと思うだろう。重要なことは、両方ともボディ、特にフロント部分にプラスティックが多用されていることだ。だからめったに腐食はなく、そう見えるとしたら事故の修理がお粗末だったからだろう。
スパイダーもGTVも1995年の発売で、フィアット・ティーポのシャシーを改造して使っている。フロントサスペンションはマクファーソン・ストラットだが、心配ご無用、リアにはマルチリンク式が奢られている。ステアリングは超クイックでボディもしっかりしているので、運転してとても楽しい。
年式ごとの違い
この記事で解説するスパイダーは、152psの4気筒2ℓのツインスパークエンジンを搭載する。気筒当り点火プラグが2本あるためこう呼ばれる。10万km点検の予算を組む際には思い出してほしい。パワーは5速マニュアルのギアボックスを通じてフロントに伝えられる。マニュアルのみでオートマティックはない。
2001年には223psの3ℓ24バルブV6が加わり、ギアも6速になった。さらに2004年には243psの3.2ℓに置き換わった。このV6エンジンはアルファ・ロメオの中でも傑作のひとつである。スムースでトルクフルで、アクセルを踏み込むとぞくぞくするようなエグゾーストノートを発する。
ツインスパークで悩みの種だったテンショナーの問題も解決されている。TSではベルト類の交換間隔は11万6000kmから5万8000kmに短縮されていたのだ。そうはいうものの、このツインスパークは力強くレスポンシブでスムースなエンジンである。したがって、しっかり点検さえすれば何も心配はない。
スパイダーは1998年にフェイスリフトされた(センターコンソールが新しくなり、ツインスパークエンジンも小変更を受けた)が、今ではほとんどがスクラップになっているため、めったにお目にかからない。価値が低くメンテナンス費用も高いからだ。2003年のフェイスリフトは大掛かりなもので、鼻先が新しくなり、V6は前述の3.2ℓに換装された。生産は翌年終了している。
トリムレベルには、スタンダード、ツーリスモ、ルッソ、それにルッソ・ファイナル・エディションがある。残っているクルマのほとんどはレザートリムである。これは重要。赤いレザー内装でシルバーのスパイダーはものすごくかっこいい。
日本に旅行した際には、右ハンドルのスパイダーを見かけるかもしれない。値は張るが、総じて英国のクルマより状態の良いものが多い。掘り出し物のツインスパーク・スパイダーを見つけたら、テンショナーのことを持ち出して値切ろう。そして未来の古典を手に入れよう。
アルファ・ロメオ・スパイダーの中古車 購入時の注意点
エンジン
オイル消費が激しいエンジンだから、オイルレベルのチェックを怠りなく。オイルポンプは故障しやすい。タイミング・ベルトは2.0 TSなら5万8000km、V6なら11万6000kmで交換すること。カム・バリエーターが異音を発している場合がある。
パワーが低いのは、マス・エアフロー・センサーの場合がある。V6のオイルクーラーパイプの状態をチェックすること。アイドル時のハンチングは、アイドル制御モーターの故障である。
トランスミッション
クラッチとギアボックスは故障が少ないが、咬合ポイントが高いのはクラッチがへたっている証拠。スムースに変速できるかチェックすること。5速が引っかかる場合はナットが緩んでいるのかもしれない。
サスペンション
フロントタイヤの内側が過度にすり減っていないかチェックすること。フロントのロワー・ウィッシュボーンが摩耗している怖れがある。
リアサスペンションは厄介だ。2.0 TSでは、アルミのサブフレームに向かってブッシュラバーにスチールが挿入されている部分が問題となる。めったにないが、サブフレームの交換が必要となる場合がある。
フード
フードがきちんと動作するか、水の滴りや漏れがないか、確認すること。電動フードはコンピュータ制御で、問題があれば制御スイッチの隣のランプが点灯する。油圧ピストンの漏れも要確認。
ボディ
後期のクルマでは錆は問題にならない。錆のように見える部分は修理不良である恐れがある。
インテリア
始動時にはABS、エアバッグ、エンジンマネージメントのランプが消灯することを確認すること。エアコンの利きが悪い場合はラジエターの交換(高価)が必要かもしれない。軋み音が出るのはフードの位置決めピンかもしれない。グリースを塗ると直る。
専門家の意見を聞いてみる
ジャミー・ポーター(アルファ・ワークショップ)
「スパイダーは偉大なスポーツカーです。ツインスパークは鋭くて俊敏、V6はサウンドが素晴らしくて楽ちんですね。V6は少し重たいのでTSほどレスポンシブではありませんが、わたしはV6のほうが好きですね。残念ながらめったにありませんが。最後の3.2は本当のコレクターズアイテムです」
「916シリーズはどんどん値が上がると思いますよ。初期のクルマではリアアーチやジャッキポイントに錆が出ていたり、一部の部品は入手困難になっています。例えばフード開閉モーターのスペアはありません。なのでフードがちゃんと動くかご確認をお忘れなく」
知っておくべきこと
アルファは古いクルマ向けにオリジナル部品に加えて再製部品も販売しているので、ランニングコストを下げることができる。
英国では、クラシック・ラインという団体も5年以上前からアルファ向けにフィルタ類、ベルト類、ブレーキパッドなどを提供している。
また、リファービッシュ・パーツという団体がもっと安い再製部品を供給している。
いくら払うべき?
1200~1995ポンド(18万~30万円)
後期型(2002年以降)2.0 TSがこの価格帯。最近部品を交換した2002年登録、18万7000km走行のものが最も高く1995ポンド(29万7000円)だ。
2000~2995ポンド(30万~45万円)
16万km未満の程度の良い前期型。最高価格は2002年登録、走行9万6000kmの2995ポンド(44万7000円)だ。
3000ポンド~3995ポンド(45万~60万円)
2002年登録、走行9万6000kmのTSが3500ポンド(52万2000円)。2005年登録、走行12万9000kmの2.0JTSが3695ポンド(55万1000円)。2002年登録で走行12万9000km、フル履歴付きの美しいTSが3995ポンド(59万6000円)など、選択肢も豊富だ。
4000ポンド(60万円)以上
日本仕様の右ハンドル、2001年登録、走行6万8000kmの2.0 TSの輸入車が4750ポンド(70万8000円)。2004年製で走行12万km、サービス履歴のすべてついたきれいなTSが4995ポンド(74万5000円)だ。
掘り出し物を発見
アルファ・スパイダー2.0 TS 2002年登録 走行9万6000km 価格2995ポンド(44万7000円)
キーもふたつあり、部分的なサービス履歴付き、そして低走行距離のお墨付きだ。しかし、クルマが温まらない短距離ばかりの走行を心配するほど低走行ではない。レザーのインテリアはよく磨きこまれており、シートにひび割れも見つからない。「スパイダー」のロゴの入ったマットもそのままだ。
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