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驚異の追い上げで35台抜き! 高橋裕紀「人生初のピットスタートから勝てて本当に嬉しい」/全日本ロード第1戦もてぎ ST1000

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驚異の追い上げで35台抜き! 高橋裕紀「人生初のピットスタートから勝てて本当に嬉しい」/全日本ロード第1戦もてぎ ST1000

 4月4日に栃木県のツインリンクもてぎで開催されたMFJ全日本ロードレース選手権シリーズ第1戦スーパーバイクレース in もてぎ ST1000クラスの決勝は、ドライタイヤとレインタイヤが混在し、ドライタイヤを履いたライダーが表彰台を獲得した。そのなかでも高橋裕紀(日本郵便HondaDream TP)はピットレーンからスタートして優勝する劇的な走りを見せて周囲を沸かせた。そんな大波乱のレースを振り返る。

 高橋は午前のウォームアップ走行でエンジンにトラブルを抱える。チームは審査委員会にエンジン交換の嘆願書を提出し、ピットスタートを条件にエンジンを載せ替えることが認められた。そのため、高橋は2番グリッドからのスタートではなく、最後尾からの追い上げを余儀なくされた。

高橋裕紀、最後尾から全員抜き去り優勝。渡辺、ST1000ルーキーの岡本が表彰台/全日本ロード第1戦もてぎ ST1000 決勝

 また、決勝前に雨が降ったことでウエット宣言が出され、14周のレースは12周に減算された。グリッドではライバルがドライタイヤとレインタイヤのどちらを選択するか確認するチームスタッフも見られ、レース開始ギリギリまでタイヤ選択を迷うチームが多い印象だった。その結果、5台がグリッド上での作業違反を犯し、完走したライダーには競技結果に30秒加算のペナルティが科されることとなる。

 そして、両タイヤが入り混じるなかレースがスタート。序盤はウエットタイヤ勢が好走を見せ、そのなかでも渥美心(TONE RT SYNCEDGE4413 BMW)が抜け出す展開に。しかし、ピットスタートの高橋はドライタイヤを履いていながら1周目に36番手から26番手に浮上した。

 高橋は2周目には19番手、3周目に13番手、4周目には9番手、5周目には7番手まで追い上げ、他車が2分02~05秒で周回するなか1分56~57秒台とひとり異次元の走りをみせた。

「無難に攻める必要はなく、迷うことなくスリックタイヤを選びました。路面状況や周りのライディングとタイヤ状況を見ながら、さらに自分の感覚と照らし合わせて(走れたので)、そういう意味では後ろから行けたのが良かったのかもしれないですね」と高橋。

「(もてぎは)通常ヘアピンカーブ辺りが濡れるのですが、今回は3コーナーと90度コーナー辺りが濡れていて、そこを気を付ければ意外にいけて、どんどん乾いていくにつれてペースを上げていきました」

 レインタイヤを履くトップの渥美、2番手の山口辰也(Team T2y)は2分前半のタイムではあるが、他を圧倒する走りで後続を引き離す。しかし、レース中盤から路面がドライへと変わっていき、ドライタイヤ勢の追い上げを許し、7周目に高橋がトップを奪う。その後、ドライタイヤ勢がペースを取り戻し表彰台を争った。

 高橋はその時の様子について「次から次へと前にライダーが現れて、(渡辺)一馬選手と作本(輝介)選手のグループがトップだとずっと思っていました。抜いたらまだトップじゃないと(サインが出て)、その後に山口(辰也)選手と(渥美)心選手がいて、これがトップなんだと思いました。タイヤを見たらふたりともレインタイヤだったので、一馬選手と作本選手が自分を上回るペースで来ない限り大丈夫かなと感じていました」と語った。

 そして、7周目から12周目までトップを独走した高橋は、35台抜き去り後続を7秒以上離し優勝を果たした。2位は作本輝介(Astemo Honda Dream SI Racing)が転倒したため渡辺一馬(Astemo Honda Dream SI Racing)に軍配。津田拓也(WestPower SUZUKI)が3番手でゴールしたものの30秒加算のペナルティを受けたため、4番手フィニッシュした岡本裕生(bLUcRUニトロレーシング51YAMAHA)が3位表彰台を獲得した。

 高橋は「(勝って)本当に嬉しいですね! 予選でポールポジションを獲りたくてすごく頑張ったけど獲れなくて、朝フリー(ウォームアップ走行)でエンジンにトラブルが出て、まさかの人生初めてのピットスタートでしたけど、そこから勝つことができました。エンジンを載せ替えることが決まった時点で時間も少なかったので、走りやすく同じバイクに仕上げてくれたチームに感謝したいと思います」と喜んだ。

 また、岡本が「ミディアムタイヤで(ピットから)出ていったのですが、ソフトタイヤも予選で履いて、ある程度いけるとわかっていたのでグリッドでソフトに変更しました。レースの後半を考えるとミディアムが正解だったのかな」と話す一方で、高橋は「スリックとしか言っていないので、何のタイヤでレースしたか知りません(笑)。多分ミディアムだと思います」といい、ドライタイヤ勢でもコンパウンドの選択もキーになったことを伺わせた。

 決勝後のトップ3会見では、2位の渡辺一馬が「とにかく決勝に合わせてきたつもりでしたし、ドライでスタートしていたら良い勝負ができるだろうと手ごたえがあったので、勝負にもならなかったのが悔しくて申し訳ないです。(高橋選手が)あのペースで走れるに、自分たちはスリックタイヤであのタイムでしか走れなかったことがもはや恥ずかしいくらいすごく悔しいです」とコメントを残した。

「勝てるレースだったし、勝たないといけないレースだったと思うので、チャンスをものにできなかったことがチームに対して申し訳ないです。自分の実力不足だったと思います。スリックタイヤ勢の先頭にいれば最後は逆転できると思っていたのですが、もっと速い人が後ろにいると思っておらず、ピットスタートから追いつかれると想像できなかったですね」

 岡本はST1000クラス初戦で3位表彰台を獲得したものの「3位という結果に嬉しさはまったくありません。同じ3位でもバトルができての3位だったら少しは嬉しさもあったかもしれませんが、話にならない走りをしてしまいました。フィーリング的に常にマックスで走っていてこの結果なので、実際に自分が遅かっただけです」と悔しさをかみしめた。

「セッションごとに練習していますが、ローンチのスタートが難しくて一回も成功したことがなくて、はやく慣れないといけません。スタートでのまれて、1周目にレインタイヤ勢に抜かれて、前方と離れたのでそこが一番の反省ポイントです。うまく路面状況を掴む事が最初からできなかったし、高橋裕紀選手に抜かれてからペースを見たらまったく違うペースでした。それで行けると判断をした時点では遅かったので、そこまでの勢いが足りなかったのかなと思います。決勝に関しては実力不足でもあるし、次戦に向けてしっかり積み重ねをしないといけないなと思います」

 2021年の全日本ロードST1000クラスはJSB1000クラスのみ開催される第2戦鈴鹿2&4を除き、第3戦SUGOから第7戦オートポリスまで残り5戦で争われる。しかし、ST1000クラス2連覇を目指す高橋はFIM世界耐久選手権(EWC)にもエントリーしているため、レースが被る第3戦SUGO、第5戦鈴鹿、第7戦オートポリスは出場できない可能性がある。

 チャンピオン争いは厳しくなるが、高橋は「全戦出られない可能性があるので、毎戦勝ちにいくことしか考えていないです」と目標を語った。次戦の第3戦SUGOではどのようなレース展開になるだろうか。

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みんなのコメント

3件
  • まるで漫画かドラマに有りそうな展開だね!

    本当におめでとう㊗。
  • 国内で走るライダーじゃないし
    走るカテゴリーもちがうでしょ。
    歴然とした差がないとできない芸当
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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