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軽が日本のガラパゴスカーだなんてとんでもない! 排気量こそ違えど日本の「軽トラ」&「軽バン」は世界で愛されていた!!

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軽が日本のガラパゴスカーだなんてとんでもない! 排気量こそ違えど日本の「軽トラ」&「軽バン」は世界で愛されていた!!

 この記事をまとめると

■日本の軽トラックは世界中で人気だが世界を見渡すと似たようなクルマが販売されている

ついに世界が「軽自動車」の価値に気がついちまった! いま欧米で窃盗団に狙われるほど「中古軽」人気が爆上がりだった

■グローバルではスズキ・キャリイはスズキ以外のメーカーからも販売されていた

■軽トラックの装備を充実させるのは日本特有であり海外ではほとんど見かけない

 海外で人気となっている日本の軽トラック

 ネットニュースでときおり、日本の「軽トラック」、つまり軽自動車規格のキャブオーバースタイルのトラックが世界で人気といったテーマのリポートを見かけることがある。アメリカでは広い農場など、私有地内での移動を含め、日本からは想像できないニーズがあり、そして注目されているようである。

 筆者は過去に東京都・福生市にあるアメリカ軍横田基地で行われる友好祭によく出かけていた。いまは基地内といってもかなり限定されたスペースしか立ち入ることができないようだが、筆者が出かけていたころは、一度基地内に入ればほぼフリーで歩きまわることができた。ドル紙幣をもっていき、基地内にあるバーガーキングやスターバックスコーヒーでまさに「本場の味」を堪能したり、いろいろ策を講じて基地関係者しか利用できない売店で基地の記念グッズやアメリカのお菓子、飲料品などを買っていた。

 そして、もうひとつの楽しみが基地内にある軍関係者のマイカーや、アメリカ軍の車両を見ること。軍の車両では鉄ではなく黒い樹脂バンパーとなる廉価仕様のアメリカンピックアップなど、珍しいアメリカ車をチェックし、軍関係者はどんなクルマを好んでマイカーとして乗っているかをチェックして楽しんでいた。

 その基地内で軍の車両として走りまわっていたのが、スバル・サンバートラック(スバルオリジナルのリヤエンジンモデル)であった。身体の大きいアメリカ兵が小さいサンバートラックを運転する姿はいまも鮮明に記憶に残っている。

 話は思い出から令和のいまへ。先日旅行番組でエジプトを取り上げていたものがあった。大都市の街なかの風景が映し出されるとかなりの頻度で軽自動車のバンや軽トラックが走っていた。よく見ると年式によって仕様にバラつきはあるものの、スズキの軽商用車ではないかと確認できた。さっそくスズキのエジプトでのウェブサイトをみると、スーパーキャリイ、キャリイ・ピックアップ、キャリイ・マイクロバスというモデルが商用車としてラインアップされていた。

 スーパーキャリイは800ccディーゼルと1.2リッターガソリンエンジンを用意し、車体寸法はガソリン車で全長3800×全幅1562×全高1883mmとなっている。日本国内ではタウンエーストラックとして販売している(いまは停止中)インドネシアでのダイハツ・グランマックス・ピックアップが1.3リッターガソリンエンジンを搭載し、車体寸法が全長4195×全幅1665×全高1850mmなので、グランマックスよりひとまわり小さいぐらい。ちなみにタイやインドネシアで販売されているキャリイは全長4195×全幅1765×全高1910mmとなっており、エジプトのスーパーキャリイよりかなり大きくなっている。

 一方、キャリイ・ピックアップは970ccガソリンエンジンを搭載し、車体寸法は全長3240×全幅1395×全高1765mmとなっている。日本でのスズキの軽トラック「キャリイ」の歴代モデルで見ると、7代目(1979~1985年)から9代目(1991~1999年)あたりとほぼボディサイズは同じ。見た目も過去のキャリイに近いので親近感を覚えるが、トランスミッションはMTのみ、エアコンはおろかラジオすら装備されていないので、日本における軽トラックがかなり豪華に見える装備内容となっている。

 似たようなモデルをパキスタンでも発見した。800ccエンジンを搭載し、車体寸法はエジプトでのキャリイ・ピックアップとほぼ同じで、価格は185万6000パキスタンルピー(約95万円)となっていた。

 さらに調べると、エジプトでのキャリイ・ピックアップと同年代のモデルは、かつてイギリスでも、ベッドフォード(のちにボグゾール)・ラスカルとして販売されていたとのこと。

 そして、有名なところでは、韓国・大宇(現GMコリア)では「ラボ」という車名で2021年までラインアップされていた。これは、8代目キャリイをベースに800ccエンジンを搭載していた。ICE(内燃機関)を搭載する軽バンの「ダマス」と軽トラックの「ラボ」は絶版となったが、その後、韓国のビバ・モビリティがこれらの車種をベースとしたBEV(バッテリー電気自動車)を開発し販売している。

 また、ウズベキスタンにある、大宇自動車(現GMコリア)との合弁企業となる「UZオート」では、いまだに「シボレー・ダマス」、「シボレー・ラボ」としてラインアップされている。ここで取り上げたのはまさに一例であり、まだまだ軽トラックや軽バンが走っている国はあるものと考えている。

 こう見ると、いまの日本からの日本仕様の軽トラックを輸入して愛好するという海外の「軽トラックブーム」のようなムーヴメントとは別に、スズキを起点として数多くの国々で地元に根付きながら愛用される軽トラックという姿を確認することができた。

 装備が充実しているのは日本の軽トラックならでは

 キャリイベースの韓国・大宇ラボやキャブオーバー軽バンとなるダマスがその後、「シボレー」と名乗るようになったことで、意外なほど世界各地で「軽トラック」を見かけるようになったのではないかと考えている。

 ただし、日本仕様の軽トラックのように、エアコンが装着され、MTだけではなくATもあり、パワーウインドウもつくといった軽トラックの存在は、調べた限りでは日本だけであった。

 韓国に韓国版軽自動車規格があるように、中国にも「微型小車」という軽自動車カテゴリーが存在する。最近では45万円BEVとして脚光を浴びた、上海通用小菱の「宏光mini」といったマイクロコンパクトBEVも微型小車となる。

 過去に中国で注目された微型小車は上海通用(通用はGMの意味)五菱の微型小車バン&トラックの「五菱之光」となるだろう。かつて中国国内においてブランド別新車販売台数ではGM(ゼネラルモーターズ)とVW(フォルクスワーゲン)が激しくトップ争いを競っている時期があった。その競争下でGMは、全中国規模で日本の軽自動車のようによく売れていた「五菱之光」もGM車の販売台数としてカウントしていたのだが(当然の話でもあるが)、これを「フェアには見えない」といった声が出ていたと聞いたことがある。

 インドでも自国メーカーである、タタモータース、マヒンドラ・マヒンドラともに日本の軽トラックのような車両をラインアップしている。タタでは「タタ・エース」という、ミニトラックというカテゴリーを有している。

 ガソリン、CNG、ディーゼルそしてBEV(バッテリー電気自動車)と多彩なパワーユニットを用意しており、一例として「タタ・エース・ディーゼル」のスペックを見ると、全長3800×全幅1500×全高1845mm、搭載エンジンは702ccのディーゼルとなっている。

 マヒンドラ・マヒンドラでは、「スープロ」という車名の軽トラック的モデルをラインアップしている。スープロ・プロフィットトラック・ミニのスペックを見ると、全長3927×全幅1540×全高1915mmとなり、909cc、2気筒ディーゼルエンジンを搭載している。

 もちろんというか、タタ・エース、スープロともにエアコンはおろか、ラジオすら装備されていない。世界では日本の軽トラックに近いものはあるものの、日本の軽トラックとは異なり「超コンパクト」ということでかなり割り切ったクルマ作りをしているというか、日本の軽トラックのような存在ははじめから想定していないように思える。

 たとえば日本でのキャリイトラックの廉価グレードとなるKCでは、エアコン、AM/FMラジオ、パワーステアリング、パワーウインドウ、電磁式キーレスエントリー、4輪ABS、運転席・助手席SRSエアバッグ、そしてスズキ・セーフティサポート(安全運転支援デバイス/非装着車も設定)が標準装備され、5速MTのほか4速ATも選ぶことができ、パートタイム式4WDも用意されている。

 軽トラックであってもここまで装備を充実させようと考え、それを実行させてしまうところこそ、世界で日本車が愛される理由のひとつなのである。価格は2WD・MTのKCで129万5800円となっている。

 日本の軽自動車はもう少し排気量やボディ寸法を拡大するとバランスがよくなるとの話もある。そうなると、いわゆるリッターカーと呼ばれるヤリスなど登録小型車との境目がなくなってしまうとの声もあるが、「世界へ本格的に軽自動車を」と考えれば、根本的に軽自動車規格のありかたを考える必要が出てくるだろう。軽乗用車も含めればオートエアコンも当たり前に装着してしまう日本の軽自動車。

 日本由来のものも含めれば同じようなサイズのモデルは調べれば世界でもパラパラと見かけることができるが、軽自動車ながら自動変速機が当たり前のように用意され、エアコンやパワーウインドウ、さらには最新型では安全運転支援デバイスまで充実させてしまうというのは、日本以外の国々ではなかなか考えられないことで、日本メーカーならではのことでもあり、まさに日本人でしか追求できないものといっていいだろう。

 そして、それがいま世界で高い注目を浴びるようになってきたのは、世界中から訪れるインバウンド(訪日外国人旅行者)が、日本の街を歩いているなかで「不思議なクルマ」として注目していることも大きいのかもしれない。

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みんなのコメント

11件
  • kan********
    他はともかくエアコンは無いと乗れないもんな
    昭和なら気温がまだ低かったから良いんだろうが

    熱中症で仕事にならない仕事車って矛盾するし
  • こうりん
    正面衝突が怖い?
    事故らなければどうということはない。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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