現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 【訪問記】ケルン西部にあるトヨタコレクションを訪ねる スープラ、2000GT、セリカ等、歴史的コレクションに加え多くのレースカーも!

ここから本文です

【訪問記】ケルン西部にあるトヨタコレクションを訪ねる スープラ、2000GT、セリカ等、歴史的コレクションに加え多くのレースカーも!

掲載
【訪問記】ケルン西部にあるトヨタコレクションを訪ねる スープラ、2000GT、セリカ等、歴史的コレクションに加え多くのレースカーも!

トヨタコレクション:スープラ、2000GT、セリカ。ケルン西部、欧州ドイツ本社のすぐ隣で、トヨタはモータースポーツを忘れることなく、ブランドのハイライトを紹介している。

ブランドのフラッグシップをあえて中央に配置した:「2000GT」は、1965年から1970年の間に351台だけが生産された。「ドイツ トヨタ」はそのうちの2台を所有している。1967年、ジェームズ ボンドが『007は二度死ぬ』に登場し、それ以来、実際の道路交通で目にすることはほとんどないアイコンとなった。今日、天文学的な価格がついているのは、ブルームーン(青い月)に一度しか手に入らないからだ。直近の販売価格は7桁の大台をはるかに超えており、豊田章男会長は毎年、現在確認されている残りの1台がどこにあるかについての報告書を作成している。

2024年カンヌ国際映画祭でBMWがナオミ キャンベルとコラボしたショーカー「BMW XM ミスティーク アリュール」

というのも、我々はこの2リッタークーペの可愛らしさを視覚的に楽しむことしかできないからだ。身長2メートル弱の私が赤い2000GTに乗り込むのは残念ながら難しい。運転するなどもってのほかで、脛がダッシュボードにぶつかり、ダブルバブルのルーフ形状にもかかわらず頭がつかえてしまう。とにかく、今日は運転するつもりはない。150馬力の直列6気筒エンジンは静かなまま、コレクションを見て回る。「カローラ」や「スターレット」のほかにも、70年代、80年代、90年代のスポーティなクーペがいくつか目に留まる。

赤は発明の母:この色は80年代のジャパニーズアイコンに大流行した。ここケルンでトヨタの歴史に触れることができるのは、ペター ピヒャートという人物のおかげである。2016年に亡くなったトヨタディーラーのパイオニアである彼は、1990年代半ばにバイエルン州ハルトキルヒェンアムインに初の「プライベートトヨタミュージアム」を設立した。彼の死後、欧州トヨタのケルン工場がそのコレクションを買い取り、以来、ブランドの遺産を守り続けている。

スープラ世代の出会い映画『ワイルド・スピード』シリーズで知られる4代目「スープラ」の写真の前には、角張った先代「Mk3」と「MR2」、そして1973年製のワイドボディの「セリカGT」が並んでいる。「2000GT」の後、トヨタのスポーツクーペの伝統を引き継いだのはこの「セリカ」だった:「2000GT」が終了して間もない1971年秋、「セリカ」はドイツで発売を開始した。1.6リッターエンジンを搭載し、107馬力を発揮する「GT」が追加されたのは1972年のことだった。1975年のマイナーチェンジでホイールベースが拡大され、よりパワフルなエンジンが搭載可能となった。これは事実上、特にアメリカ市場では必須だった。また、トヨタはここで初めてリフトバックボディを導入したが、これは当初、現代の「フォード マスタング」を彷彿とさせる怪しげなものだった。今日、この国ではむしろ「ハッチバック」と呼ぶべきだろう。「セリカ2000GT」では、出力が120馬力に引き上げられたが、歴史的な名称はむしろ誤解を招くものであった。

次の世代では、1978年に「スープラ」という名前が初めて登場した。2代目は当初、やや地味な丸型2灯式ヘッドライトだったが、1980年のマイナーチェンジ以降、よりスポーティな角型2灯式ヘッドライトが導入された。この世代で特に目を引くのは、湾曲したCピラーと、オプションのつや消しアルミニウム製Bピラーである。

ボンネットの下には170馬力の2.8リッターエンジンが搭載され、リトラクタブルヘッドライトを備えた独立したフロントエンドがセリカとの違いを際立たせた。4代目では、「セリカ」はエンジンを横置きにした前輪駆動に変更され、「スープラ」は後輪駆動となり、日本では最高出力280馬力のパワーアップが図られ、よりスポーティな外観となった。

ラリーの歴史しかし、「セリカ」は世界ラリー選手権でも活躍を続けた。1990年から1994年にかけて、トヨタは5年中4年でドライバーズ世界選手権を制覇。スペイン人のカルロス サインツがステアリングを握った年も2度あった。そして、まさに彼に敬意を表して、トヨタは四輪駆動セリカの特別仕様車「カルロス サインツ エディション」を製作した。世界で5,000台のみが生産され、そのうち680台がドイツに輸出された。ボンネットには208馬力の2リッターターボが搭載された。一方、「スープラ」は本格的なスポーツカーへと発展し、4代目では11万マルク(約770万円)という高額な価格となった。ポルシェ、フェラーリ、コルベット・・・。丸みを帯びたデザインと人目を引くスポイラー(「醜い」と言う人もいる)を備えた「スープラ」は、当時の人々が考えていた以上のパフォーマンスを発揮した。今にして思えば、「2JZ」直列6気筒エンジンを搭載したクーペをガレージに半ダースほど置いておいた方がよかったかもしれない。特に、今では希少となった無改造のオリジナルコンディションや、ツインターボを搭載した「GTE」バージョンは・・・。

不気味な雰囲気: モータースポーツコレクションは2つの巨大な風洞の下のスペースにある。というのも、映画が公開された2001年当時、「スープラ」の4代目はすでに生産を終了しており、トヨタ自身も映画へのファクトリーサポートを中止していたからだ。だから、プロモーションは基本的に無料だった。その後、「スープラ」の再販を何年も待ったという事実は、誇大広告のせいでさらに理解しがたい。「GRスープラ」が2019年にようやくかつての栄光の日々に戻ろうとするまでには、BMWとのコラボレーションが必要だった。

スポーツの歴史の教訓すでに「セリカ」とサインツでモータースポーツの歴史に少し触れたが、会場の出入り口には、これから何が起こるかを予感させるものがすでにある。ここにはすでにラリー、ル・マン、F1の伝説があり、しばし言葉を失うが、数本先の通りで我々を待っているのは、まったく異なるレベルのものだ。

トヨタはモータースポーツミュージアムを、巨大な風洞の真下にある工業プラントの中に詰め込んだ。トヨタにはモータースポーツに生きる社長(現会長)がいるのだ。「ラリー セリカ」の全歴史が展示されているほか、「GRヤリス」をベースとした現世代のWRCカーの開発ミュールも展示されている。しかし、展示の中心はル・マンとF1に関するもので、この2つのレースクラスはトヨタにとってかなり不名誉な歴史を持っている・・・。

トヨタは莫大な資金を投じて8年間F1に参戦していた。ル・マンでは、日本のメーカーが長年にわたって総合優勝を目指していた。1991年、小さなマツダチームが、地獄のような叫び声を上げるヴァンケルロータリーエンジン「787B」レーシングカーでル・マン24時間レースに優勝、成功したことは、当然ながらトヨタを大いに悩ませた。最初の本格的な挑戦として、トヨタはイギリスのエンジニアでレーシングカーのデザイナーでもあるトニー サウスゲートに美しい「TS010」の開発を依頼した。3.5リッターV10を搭載し、プジョー、ポルシェ、マツダとの強力な競争に打ち勝つはずだったが、「チーム トムス」経由のセミワークス参戦は、優勝した「プジョー905エボ1B」から6周遅れの総合2位に終わった。1993年は4位にとどまったため、トヨタは1994年にV8ターボエンジンを搭載した新LMP1レギュレーションでマシンをスタートに送り込んだ。当初はオーストリア人のローランド ラッツェンバーガーがトップマシンをドライブする予定だったが、4月末にイモラで開催されたF1レースのプラクティス中に事故死。アイルランド人のエディ アーバインが代役を務め、イタリア人のマウロ マルティーニ、アメリカ人のジェフ クロスノフとともに2位でレースを終えた。悲願の優勝は叶わなかった。不気味な出来事: ラッツェンバーガーに加え、チームメイトのクロスノフもわずか2年後にトロントのインディカーレースで亡くなった。

耐久レースの伝説1990年代末、トヨタはライバルのBMWと共同でル・マン優勝に挑んだ。そしてバイエルン勢もまた、この時代、トヨタにとって優勝を争う最も手ごわい相手となった。日本勢が武器として選んだのは、「GT-ONE」の名で親しまれているクローズドの「TS020」プロトタイプだった。シャシーとドライブトレインはケルンのトヨタモータースポーツが開発し、エアロダイナミクスはイタリアのレーシングカーメーカー、ダラーラが担当した。ツインターボV8の排気量は3.6リッターで、開発期間は2年足らずと非常に短かった。しかし、「TS020」の走りは素晴らしく、レース終了1時間前までトップを快走していたが、ティエリー ブーツェン、ラルフ ケレナーズ、ジェフ リーズのギアボックスがギブアップ。

しかし、1999年はアップグレードされたマシンが有力視されており、3台のワークスカーを擁していたトヨタとしてはチャンスを逃すわけにはいかなかった。予選では優位に立ったが、「GT-ONE」の2台がクラッシュ。残されたのは片山右京、土屋圭市、鈴木利男の3台で、この3台はトリムされながらトップのBMWを追うことになった。特に片山はV12 LMRよりも1周あたり3秒速いタイムを刻み、その差を40秒まで縮めていた。しかし、ここでも悲願のル・マン優勝はならなかった。ここケルンのトヨタモータースポーツがトップカテゴリー初のプロトタイプをフランスに送り込んだのは2012年のことだった。トップを走っていた「TS050」ハイブリッドがドライブトレインの不具合でレース終了3分前にストップしたのだ。トヨタがこのレースで5連覇できたのは、ファクトリー勢が完全に撤退した2018年から2022年までだった。

ル・マンを制した2台のマシンは、拭き掃除をしても元の汚れが透明なニスで封印されているのだ。

2002年から2009年にかけての暫定F1プロジェクトも、どのチームよりも予算が多かったにもかかわらず、十分な成功を収めることはできなかった。2005年のF1世界選手権総合4位、13回の表彰台、3回のポールポジションがハイライトだった。ここでも優勝は実現しなかった。2009年末、2010年型マシンの開発はほぼ完了しており、ドライバーのティモ グロックは後に、空力特性は上位を争うのに十分なものだったと明かしている。しかし、ここで得られた洞察は卓越している。

結論:ノスタルジックな雰囲気に包まれながら、トヨタの膨大なモータースポーツの歴史をたどる。ラリー、耐久レース、F1マシンなど、これほど幅広いジャンルを提供するメーカーは他にない。また、日本企業の民間財宝は、70年代、80年代、90年代のクールさを象徴している。ぜひお立ち寄りください!

Text: Alexander BerntPhoto: Toyota Motor Corporation

こんな記事も読まれています

【高価な再塗装?】世紀のスポーツカー&ドリームカーである「メルセデス 300SL ロードスター(W198)」の再塗装価格は高い?それとも安い?
【高価な再塗装?】世紀のスポーツカー&ドリームカーである「メルセデス 300SL ロードスター(W198)」の再塗装価格は高い?それとも安い?
AutoBild Japan
日産 スカイラインHT 2000GT-R(昭和48/1973年1月発売・KPGC110型)【昭和の名車・完全版ダイジェスト072】
日産 スカイラインHT 2000GT-R(昭和48/1973年1月発売・KPGC110型)【昭和の名車・完全版ダイジェスト072】
Webモーターマガジン
フルチューン済み、ノイエ・クラッセのBMWの相場感は?「1800TI」のFIA公認済みの個体なら800万円程度が妥当!?
フルチューン済み、ノイエ・クラッセのBMWの相場感は?「1800TI」のFIA公認済みの個体なら800万円程度が妥当!?
Auto Messe Web
ホンダの「V型10気筒エンジン」搭載スーパーカー!「“NSX”後継車」指名された本気の「超ロングノーズ」モデルに反響あり!
ホンダの「V型10気筒エンジン」搭載スーパーカー!「“NSX”後継車」指名された本気の「超ロングノーズ」モデルに反響あり!
くるまのニュース
こんなクルマよく売ったな!! 【愛すべき日本の珍車と珍技術】国産車最後の5ナンバーサイズFRクーペ[ロードスタークーペ]
こんなクルマよく売ったな!! 【愛すべき日本の珍車と珍技術】国産車最後の5ナンバーサイズFRクーペ[ロードスタークーペ]
ベストカーWeb
なんとフォード「シエラRS500コスワース」が約3780万円で落札! 高額の理由はノンレストア、低走行、温度管理されたガレージ保管だったから
なんとフォード「シエラRS500コスワース」が約3780万円で落札! 高額の理由はノンレストア、低走行、温度管理されたガレージ保管だったから
Auto Messe Web
いすゞ「ビークロス」がなぜ今話題に!? カニエ・ウェスト改めYeも愛車として迎え入れたカルトカーの販売台数は?
いすゞ「ビークロス」がなぜ今話題に!? カニエ・ウェスト改めYeも愛車として迎え入れたカルトカーの販売台数は?
Auto Messe Web
ケータハム初期の「スーパーセブン」を再現 ケータハム スーパー セブン 600 & 2000登場!
ケータハム初期の「スーパーセブン」を再現 ケータハム スーパー セブン 600 & 2000登場!
AutoBild Japan
スーパーカーブーム時代に「カウンタック」と双璧をなしたフェラーリ「365GT4BB」は約5375万円! クラシケ取得済みが決め手となりました
スーパーカーブーム時代に「カウンタック」と双璧をなしたフェラーリ「365GT4BB」は約5375万円! クラシケ取得済みが決め手となりました
Auto Messe Web
バイクとクルマを融合? 3輪のモーガン・スーパースポーツ モアパワーへ応えたプラス4 2気筒から8気筒まで(1)
バイクとクルマを融合? 3輪のモーガン・スーパースポーツ モアパワーへ応えたプラス4 2気筒から8気筒まで(1)
AUTOCAR JAPAN
ベストセラーのミュンヘン製コンパクトSUV BMW X2の中古モデルをテスト&徹底チェック その性能と価値は?
ベストセラーのミュンヘン製コンパクトSUV BMW X2の中古モデルをテスト&徹底チェック その性能と価値は?
AutoBild Japan
マツダ サバンナGT(昭和47/1972年9月発売・S124A型)【昭和の名車・完全版ダイジェスト070】
マツダ サバンナGT(昭和47/1972年9月発売・S124A型)【昭和の名車・完全版ダイジェスト070】
Webモーターマガジン
日産「ガゼールRS」を新車購入して42年! テレビドラマ『西部警察』で一世を風靡したモデルでラリーマシン「240RS」をオマージュ
日産「ガゼールRS」を新車購入して42年! テレビドラマ『西部警察』で一世を風靡したモデルでラリーマシン「240RS」をオマージュ
Auto Messe Web
シングルナンバーのダットサン「ブルーバード」を発見!「ゴーイチマル」の2ドアクーペとセダンの2台の愛車は誰から受け継いだ?
シングルナンバーのダットサン「ブルーバード」を発見!「ゴーイチマル」の2ドアクーペとセダンの2台の愛車は誰から受け継いだ?
Auto Messe Web
V8ツインターボで800馬力、エアロも盛り盛り 公道走れる? フォード・マスタングGTD、欧州発売へ
V8ツインターボで800馬力、エアロも盛り盛り 公道走れる? フォード・マスタングGTD、欧州発売へ
AUTOCAR JAPAN
フレッシュアップされたBMW 3シリーズの全情報 価格から走行性能&比較テストまで 新型BMW 3シリーズのすべて
フレッシュアップされたBMW 3シリーズの全情報 価格から走行性能&比較テストまで 新型BMW 3シリーズのすべて
AutoBild Japan
【欧州でプロトタイプ目撃】レクサスが市販めざし開発中か 「GR GT3コンセプト」はどんなクルマ?
【欧州でプロトタイプ目撃】レクサスが市販めざし開発中か 「GR GT3コンセプト」はどんなクルマ?
AUTOCAR JAPAN
「世界一美しいクーペ」が約435万円で落札! 今後高騰が見込めるBMW「635CSi」を購入するなら今がチャンスかも
「世界一美しいクーペ」が約435万円で落札! 今後高騰が見込めるBMW「635CSi」を購入するなら今がチャンスかも
Auto Messe Web

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村