日本のチューニングシーンを変えた伝説のGT-R
常に先頭を走り続けたHKSワークス
「90年代のチューニングシーンに衝撃を与えたHKS T-002(BCNR33)という伝説」筑波58秒台&0-300km/hアタック17秒台の圧倒的戦闘力!
1990年代の最高速戦国時代。グループA制覇を命題に誕生した第二世代GT-R(BNR32)がチューニング業界に与えた影響は計り知れず、RB26DETTを中心としたパワーウォーズの激化とともに最高速のスピードレンジが一気に跳ね上がり、谷田部高速周回路の許容ははるかに超える領域まで達していた。
そこで、チューニングカーの新たなモノサシとしてOPTION誌が考案したのが、0-300km/hアタックだ。静止状態から300km/hまでの到達時間を競うこの新感覚の競技は瞬く間に業界内を席巻、パーツメーカーまで巻き込んでの大きなムーブメントとなっていく。
そんな中で、圧倒的な強さを誇り、後に伝説の0-300km/hマシンとして語り継がれることになるのが、HKSワークスによるチューンドBCNR33「T-002」だ。
このマシンは、元々、筑波サーキット攻略を目的に誕生したチューンドだ。当時、新開発であったGTタービン(GT2540)などを装着したT-002(約600ps)は、まだ1分切りが難しかった1995年に58秒716というとてつもない記録を打ち立てたのだ。
その後、より大型のタービン開発という目的で0-300km/hアタックへとステージを移す。各チューナー達が20秒の壁を破ることを目標にアタックを続ける中、T-002は最新鋭の2.7L+GT3037ツインターボ仕様(920ps)で挑み、17秒64という圧倒的なレコードを樹立(1997年3月号)。
以後、終焉までの2年間、70台近いチューンドが“打倒HKS!”を誓ってアタックを敢行するも、その高みに近づけたのはフェニックスパワーのワークスR(RX6BTCW77ツインターボ仕様のBCNR33:17秒76)1台だけだった。
当時、このプロジェクトを率いていたのは何を隠そうHKSの現社長の水口氏。入社まもない時期にこのT-002を任され、不眠不休でがむしゃらに取り組んでいたと振り返る。
開発車両としての役割を終えたT-002は、部品取り車両となりHKSの敷地の片隅に放置され、いつしかHKS社員すらもその存在を忘れてしまうという可哀想な状態に…。しかし、近年の第二世代GT-Rブームとユーザー達の圧倒的な熱気が、伝説のチューンドを呼び起こすこととなった。
もちろんただ復活させるだけでは意味がない。HKSの最新パーツをフル投入し、現代のチューニングテクノロジーでT-002の2019年スペックを創出する。それは新しいチューニングカーを生み出すことに等しかったそうだが、新生T-002は東京オートサロン2019でアンヴェイルし、往年のファン達を歓喜させたのだ。
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