ダイハツ「ミゼットII」を走りのクルマへ進化
ユニークな1人乗り超コンパクトカー、ダイハツ「ミゼットII」を改造し、趣味のサーキット走行を楽しんでいるのが愛知県豊田市在住の“ネコまんま”さんです。小口配達に特化したミゼットIIを、練りに練ったチューニングで「走りのクルマ」へと進化させ、可愛らしいルックスとは裏腹にとてつもないパワーを発揮する1台を紹介します。
ダイハツ「ミゼット」のオーナーは仕事も趣味もダイハツひと筋!「コンパーノ」を30台も所有する有名コレクターでした
クルマいじりの経験を活かしてチューニング計画を開始
“ネコまんま”さんがダイハツ「ミゼットII」を購入したきっかけは、深刻な駐車場問題だった。仕事の関係で借りていた家には自転車置き場を少し大きくしたサイズの駐車場しかなく、そこに入るクルマを探し出し、選んだのがミゼットIIだった。しかし、彼は購入した当時の心境をこう話す。
「実際に購入した当初は、買ったことを後悔するほどノロマで、乗り心地も悪くて最悪のクルマという印象でした」
そこで、どうにかすべくチューニング計画を開始。“ネコまんま”さんは昔からクルマいじりが大好きで、その経験を活かしてミゼットII用のチューニングパーツや他車から流用できる部品探しをはじめた。
リアサスペンションをダブルウィッショボーン化
まず最初に、純正サスペンションの構造を変えないまま部品交換を行った。しかしこれがまったく効果がなく、むしろ乗り心地は悪化。ほかに3リンク方式のサスペンションへ進化させるも、狙い通りの結果は得られずイマイチで終わってしまった。
そこから悩みまくった“ネコまんま”さんは、自分の考えだけでは限界だと感じ、知り合いのチューニングショップに相談した。そのお店でミゼットIIのチューニングについて調べてもらうと、過去の事例から、驚くことにスズキ「カプチーノ」のサスペンションを移植させる方法があることが判明した。
しかも、このカプチーノの純正サスペンションは乗り心地に定評があるダブルウィッシュボーン式なので、今までに以上に期待できると確信。簡単な移植ではなかったが、それでも見事にミゼットIIのリアサスペンションをダブルウィッショボーン化させることに成功した。
ハンドリングも乗り心地も良くなり、気持ちよく走れる状態に
細かい仕様は、フロントサスペンションはストックのままで、リアサスペンションはカプチーノの純正ダブルウィッシュボーンをフル移植。前後にワンオフ加工のENNEPETAL(エナペタル)E12車高調にSWIFTスプリング、ダイハツ「ミラ」とダイハツ「ムーヴ」用のCUSCOのピロアッパーマウント・ムーブを装着する。
さらにD-SPORTのロアアーム、ダイハツ「ネイキッド」用のMPピロブッシュ、ダイハツ「ストーリア」用のSDMウレタン強化スタビエンドブッシュをセットして大幅リニューアル。より車両の姿勢変化を安定させるべく、荷台下に剛性アップ用のパイプフレームも追加。これによって、ハンドリングも乗り心地も良くなり、気持ちよく走れる状態になったという。
最高出力は100馬力を達成
一方、サスペンションの動きがすこぶる良くなれば、なおさら気になるのが非力なエンジンだ。そこで、同じメーカーのダイハツ「アトレー」用のEF型エンジンに加工を施して搭載。ミッションも純正4速MTからダイハツ「ハイゼット」用の5速MTに変更し、さらに3速と4速のギア比が離れてシフトアップ時に失速気味になる現象を改善させるために、「アトレー7」用のギアに交換した。
ここまで手を加えると、ミゼットIIもだいぶ走ってくれるようになった。そこで、軽トラだけが集まるミーティングがサーキットで開催されるという情報を入手し、スポーツ走行を試してみようとこのミーティングに参加。そこそこイケるかと思ったが、結果はイメージ通りとはならず。とにかく遅かったという。
そこで、さらなるエンジンチューニングを決行。パワーアップを狙うならダイハツ「コペン」に搭載されているJB-DET型エンジンがスペース的にもベストだとカーショップからアドバイスを受け、そのショップの手によって搭載した。さらにパワーを求めてHKS製のDX30タービンを装着させ、最高出力は100psオーバーを達成するポテンシャルを獲得した。
年間シリーズランキングで1位に輝いたことも
パワーアップを果たした後はスポーツ走行にすっかりハマッてしまい、現在は静岡県の軽トラ専門店「GT CARプロデュース」が主催する「Kトラワールドシリーズ」に参戦。過去には年間シリーズランキングで1位の栄冠に輝いた実績を持つ。
実際、筆者も“ネコまんま”さんのミゼットIIの走りをサーキットで見たが、車両の安定性や、登り坂でも失速することなくパワフルに走る姿には驚かされた。
そして、何よりもフットワークが軽くよく曲がる。エクステリアもサーキット仕立てになっているが、ミゼットIIの可愛らしさを残しているので、この速さと見た目のインパクトの両面から凄まじいインパクトを放つマシンだった。
まさかミゼットIIがサーキットで遊べるクルマになるとは誰も想像してないかっただろう。しかもめっぽう速いのだから、現代のチューニング技術の可能性はやはり偉大であると感じるほかない。
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