現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 還暦を迎える英国の名車 BMC ADO16を振り返る モーリス1100/MG1100 中編

ここから本文です

還暦を迎える英国の名車 BMC ADO16を振り返る モーリス1100/MG1100 中編

掲載 1
還暦を迎える英国の名車 BMC ADO16を振り返る モーリス1100/MG1100 中編

豪華さに驚かされるプリンセス1100

オースチン1100の発表から1年後の1964年に、上級モデルとしてヴァンデンプラ・プリンセス1100が登場。英国価格は895.14ポンドで、6気筒エンジンを搭載したヴォグゾール・ヴェロックスに並ぶ金額だったが、充分なブランドの訴求力があった。

【画像】誕生から60年 ADO16シリーズの8台 その先輩といえるモーリス・ミニ・マイナーも 全76枚

アンディ・ビーヴァン氏が所有する1967年式のヴァンデンプラ・プリンセス1100へ近づくと、その豪華さに感心してしまう。インテリアはレザーで仕立てられ、天井の内張りはウール。カーペットには毛足の長いパイルが用いられている。

フロントシートはリクライニングでき、シガーライターや折りたたみ式のアームレスト、外気導入できるベントも備わる。リアシート側には、収納できるピクニックテーブルが付く。

フォグライトとバックライトも装備され、ドライバーの正面にはスピードのほかに多くの補助メーターも据えられている。ヴァンデンプラという銘柄ふさわしい、充実装備だ。

このブラウンのプリンセス1100は、2018年からビーヴァンのもとにあるという。「自分はADO16で運転を学びました。プリンセスは兄から譲り受けたものです」。と、これまでの経緯を振り返る。

「MG仕様となる55psのエンジンが搭載されていて、オースチンやモーリスより動力性能には余裕があります。一番気に入っているのは、インテリアですね」

「シートにはアームレストが付いていて、グローブボックスのリッドにはカップホルダーが付いています。細部に至るすべての部分が、ヴァンデンプラ1100を際立たせる要素だと思います」

6種類のブランドが販売したADO16シリーズ

1965年にBMCが発表したのが、控えめに素晴らしいと自ら表現したウーズレー1100だ。1957年に登場したウーズレー1500の後継モデルという位置づけで、英国価格は767.9ポンドだった。

より高めの価格設定に合わせ、レザーの内装と、ゴーストライトと呼ばれたラジエターグリルでほんのり灯るロゴマークが特徴といえた。複雑に階層付けられたBMCのヒエラルキーのなかでは、エンジンを共有するMG 1100の上に据えられていた。

さらに、ライレー・ケストレルも同時期に登場している。こちらはウーズレー1500の兄弟モデル、ライレー・ワンポイント・ファイブの後継モデルという位置付けだった。

この時点で、ADO16シリーズは6種類のブランドが販売する状況になっていた。マーケティング的な混乱があったことは否めないだろう。

イアン・マッケンジー氏は、父とのオースチン1100 MkIとの記憶に影響を受け、2016年にウーズレー1100を購入したという。その時点で、彼のクルマがツートーン塗装で仕上げられた唯一の現存車両でることが判明したそうだ。

トーガ・ホワイトとアイランド・グリーンに塗り分けられたウーズレーは、当時の映像から飛び出して来たように美しい。「横に長いストリップ・スピードメーターの動きや、走行中の穏やかなボディの揺れ具合が好きなんですよ」。とマッケンジーが微笑む。

英国では唯一だった小さな前輪駆動のワゴン

開発が遅れていた、モーリス1100 トラベラーとオースチン・カントリーマンというステーションワゴンが登場するのは、1966年3月。このクラスの英国車としては唯一となる前輪駆動のワゴンで、英国価格は711.11ポンドとお手頃だった。

車重はサルーンより約18kg重かった。だが、2段階に折り畳めるリアのベンチシートと、大きな荷室を得ることができた。

オプションでフロント側もリクライニング・シートにすれば、ダブルベッドのようにフラットな空間を作ることもできた。後のオースチン・マキシやフィアット・パンダに採用されただけでなく、現代のモデルでも重宝がられる機能といえる。

ADO16シリーズの大ファンだと認めるのは、ゴードン・ディフィー氏。「人生の殆どを、1100とともに過ごしてきました。1979年式のMG 1100をベースとした、マゼンダというキットカーも所有しています」

「このモーリス1100 トラベラーを購入したのは4年前。アルニカ・ベージュというピンクがかったボディは美しく、とても個性的だと思います」

「ステーションワゴンだからといって、操縦性はサルーンと殆ど変わりません。実用性の高さが、特に好きなポイントですね。荷室の大きな2シーターのバンにもなりますし、5シーターのままでも、広い荷室が残ります」。とディフィーが説明する。

この続きは後編にて。

こんな記事も読まれています

1000万円超え!? ホンダ新型「シビック“タイプR”」公開! 320馬力「直4」×MTのみ設定! 迫力エアロがカッコイイ「グループA」比国に登場
1000万円超え!? ホンダ新型「シビック“タイプR”」公開! 320馬力「直4」×MTのみ設定! 迫力エアロがカッコイイ「グループA」比国に登場
くるまのニュース
ランボルギーニの新型電動スーパーカー『テメラリオ』、英YASAの新開発モーター搭載
ランボルギーニの新型電動スーパーカー『テメラリオ』、英YASAの新開発モーター搭載
レスポンス
MotoGPのテスト中無線システム、バニャイヤ超辛辣な評価……使用拒否で「毎回ペナルティだろうね」
MotoGPのテスト中無線システム、バニャイヤ超辛辣な評価……使用拒否で「毎回ペナルティだろうね」
motorsport.com 日本版
[音を良くするコツをプロが指南]「スマホ」をシステムの中心に据えて良い音を楽しむ方法を伝授!
[音を良くするコツをプロが指南]「スマホ」をシステムの中心に据えて良い音を楽しむ方法を伝授!
レスポンス
3位&4位のフェラーリ、ドライバーたちに不満が残るレースに。サインツはピット指示に苛立ち、ルクレールは僚友に激怒
3位&4位のフェラーリ、ドライバーたちに不満が残るレースに。サインツはピット指示に苛立ち、ルクレールは僚友に激怒
AUTOSPORT web
レッドブル、今季の”最低地点”はイタリアGPだと振り返り「タイトルが遠ざかっていく瞬間だった」
レッドブル、今季の”最低地点”はイタリアGPだと振り返り「タイトルが遠ざかっていく瞬間だった」
motorsport.com 日本版
トヨタが2025年参戦体制を発表。ロバンペラが3冠目指しフルシーズン復帰、勝田を含む4名がフル出場へ
トヨタが2025年参戦体制を発表。ロバンペラが3冠目指しフルシーズン復帰、勝田を含む4名がフル出場へ
AUTOSPORT web
【WRC2025】トヨタ GAZOOレーシングはサミ・パヤリも加わり4台体制で挑む
【WRC2025】トヨタ GAZOOレーシングはサミ・パヤリも加わり4台体制で挑む
Auto Prove
100万円サポートクーポンが当たる!アルファロメオ、ブラックフライデーキャンペーンを実施中
100万円サポートクーポンが当たる!アルファロメオ、ブラックフライデーキャンペーンを実施中
LE VOLANT CARSMEET WEB
マヒンドラの新型電動SUV、最終ティーザー…11月26日デビューへ
マヒンドラの新型電動SUV、最終ティーザー…11月26日デビューへ
レスポンス
圧倒的な存在感!3.5リッターV6エンジン搭載の北米専用ミドルサイズSUV ホンダ「パスポート」がフルモデルチェンジ
圧倒的な存在感!3.5リッターV6エンジン搭載の北米専用ミドルサイズSUV ホンダ「パスポート」がフルモデルチェンジ
VAGUE
日産「新型セレナ」発売に反響多数! 「待ってました」「魅力的」 超スゴい「高性能4WD」&地上高アップの「イーフォース」追加へ! 待望の「性能向上モデル」14日発売
日産「新型セレナ」発売に反響多数! 「待ってました」「魅力的」 超スゴい「高性能4WD」&地上高アップの「イーフォース」追加へ! 待望の「性能向上モデル」14日発売
くるまのニュース
懐かしの肩パッド入りトップスがむしろ新鮮! 存在感抜群のコスチュームの「HELM LOYALZ」に会いに鈴鹿サーキットへGO!
懐かしの肩パッド入りトップスがむしろ新鮮! 存在感抜群のコスチュームの「HELM LOYALZ」に会いに鈴鹿サーキットへGO!
Auto Messe Web
PUBGモバイルとマクラーレンがコラボしたゲームを期間限定で無料配信
PUBGモバイルとマクラーレンがコラボしたゲームを期間限定で無料配信
Webモーターマガジン
全長4.9m超え! 国内“最大級”の新型「ステーションワゴン」発表! めちゃデカい「荷室サイズ」がサイコー! 圧倒的な“快適性”実現した新型「パサート」とは
全長4.9m超え! 国内“最大級”の新型「ステーションワゴン」発表! めちゃデカい「荷室サイズ」がサイコー! 圧倒的な“快適性”実現した新型「パサート」とは
くるまのニュース
NIO、第3のブランド「ファイアフライ」で小型EV市場参入へ
NIO、第3のブランド「ファイアフライ」で小型EV市場参入へ
レスポンス
“惨事”で終えたタナク「滑りやすいのは予想外」「彼はチャンピオンにふさわしい」/ラリージャパン最終日コメント
“惨事”で終えたタナク「滑りやすいのは予想外」「彼はチャンピオンにふさわしい」/ラリージャパン最終日コメント
AUTOSPORT web
ど派手なガルウイングだけど走ればガチもんのピュアスポーツ! 単なるSL300のリバイバルじゃない「SLS AMG」の韋駄天っぷり
ど派手なガルウイングだけど走ればガチもんのピュアスポーツ! 単なるSL300のリバイバルじゃない「SLS AMG」の韋駄天っぷり
WEB CARTOP

みんなのコメント

1件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村