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ガソリン高騰でも楽しみたい オースチン・ヒーレー・スプライト/スマート・ロードスター・ブラバス 1.0L以下のクラシック 後編

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ガソリン高騰でも楽しみたい オースチン・ヒーレー・スプライト/スマート・ロードスター・ブラバス 1.0L以下のクラシック 後編

オースチン・ヒーレー・スプライトMk1(1958~1961年)

オースチン・セブンと同様に、重要な先駆者だったといえる1台がオースチン・ヒーレー・スプライト。カニ目、フロッグアイなどと呼ばれるオリジナルは、手頃な価格の質素な英国スポーツという雛形を完成させたといっていい。

【画像】1000cc以下の楽しいクラシック カプチーノ/スプライト/850 スパイダー/スマート・ブラバス/オースチン・セブン ケータハム・セブンも 全67枚

この企画に登場している、フィアットやスズキにも大きな影響を与えたはず。オースチンA45やモーリンス・マイナーの部品を上手に融合させていた。

ブリティッシュ・モーター・コーポレーション(BMC)傘下のオースチンと、ヒーレーは、1952年にジョイント・ベンチャーとしてオープン2シーターの100を発表。弟分といえるスプライトは、6年後の1958年に発売された。

ボディから飛び出たヘッドライトは、苦肉の策。デザインを手掛けたゲリー・コーカー氏が提案した、リトラクタブル・ヘッドライトがコストの理由で退けられたためだった。

とはいえ、その仕上りは魅力的。流れるような曲面に開いた、笑った口のようなフロントグリルと相まって、最高の表情を作り出している。

ドアを開くと、アルミニウム製トリムがキャビンの開口部を取り囲んだ、シンプルで純粋なインテリアに感心する。小さなボディに、大きな大人が問題なく座れる。

2スポークのステアリングホイールは、自然に伸ばした腕の先にある。肘は自然とドアのエッジに乗る。身長が180cm近くある筆者の場合は、フロントガラスから頭が飛び出るけれど。

今回の真っ赤なスプライトは、初期型のMk1。塗装されたフロントガラス両サイドのサポート部分が識別ポイントだ。

倹約的な部品の起源を包み隠す走り

これは、小さく純粋なスポーツカー。ビニールレザーで覆われたダッシュボードには、タコメーターだけでなく油圧計も並んでいる。シンプルなボディには、バンパーやドアハンドルがない。トランクリッドすらない。

キーを回してスターターをオンにすると、ツインSUキャブレターで吸気する948ccのAシリーズ・エンジンがドロドロと唸りだす。ペダルの配置は少々タイトだが、重み付けが丁度いい。

ギアの回転を調整するシンクロメッシュのない1速からシフトアップすると、細いテールパイプから放たれるサウンドで、メカノイズが包み隠される。スプライトの走りは、倹約的な部品で構成されているという、その起源も包み隠す。

すべての構成部品が融合し、活発なスポーツカーに仕立てられている。息を呑むほど速くなくても、最高に楽しい。よりハイスピードを求めるなら、当時は多様なチューニング・オプションを選べた。1.0L以下で。

ステアリングの反応は軽快で、感触もふんだん。乗り心地は硬めながら、1950年代のクルマの操縦性が素晴しいことに感心する。大径のステアリングホイールを思い切り回して、細いタイヤから得られる限定的なグリップを引き出し、限界を探れる。

車重は664kgで、最高出力は43psほど。数倍は速いスポーツカーでも得られないような、生々しいスリルを堪能できる。パワーはさほど重要ではないことを実感する。

これ以上贅沢である必要も、これ以上洗練されている必要もない。若々しい心を蘇らせてくれる、素晴らしいブリティッシュ・スポーツカーだ。

協力:クラシックカー・オークションズ

スマート・ロードスター・クーペ・ブラバス(2005年)

今回の5台の中では、最も年式の新しいスマート・ロードスター・クーペ・ブラバス。見た目もモダンだ。だが、シンプルなドライビング体験と、ちょっとしたユーモアのセンスを好むなら、このクルマはベストチョイスの1台といえる。

スマートのロードスターであり、クーペで、ブラバスというチューナーの手が加えられ、コテコテの名前が与えられているが、精神的にはMGミジェットにも近い。さらに活発に運転しても燃費は14.0km/L以上。穏やかな気持ちなら、18.0km/Lは狙える。

プラスティック製ボディのスタイリングは特徴的で個性的。カリスマ性すら感じる。熱心なオーナーズクラブも、英国には存在する。

スマートの起源は、メルセデス・ベンツ・ブランドの親会社、ダイムラー。さらにブラバスはメルセデス・ベンツのチューニングを得意とした企業で、シティカーのスマートを高速なスポーツカーへ仕立てている。

新車当時に試乗した記憶を振り返れば、まさにゴーカートのようなクルマだった。再び2022年に乗ってみても、その印象に変わりはない。

乗り心地は硬く、6速セミATはシフトレバーやパドルで変速できるものの、滑らかとはいいにくい。ブラバスという響きから想像するほど、速くもない。それでも運転は楽しい。

サスペンションは通常のロードスターより15mm低く、スピード感を高めている。エンジンやエグゾーストが放つノイズも悪くない。ウェイストゲート・ホイッスルも、興奮を誘う要素の1つだ。

れっきとしたハンドリングマシン

インテリアにはシルバーの差し色が与えられているものの、プラスティック製パネルが多く、カラーも暗め。そのかわり、シートを覆うレザーは丈夫だ。

ロードスター・クーペということで、ラゲッジスペースも大きい。テールガラスを通して外から丸見えだが、ジャガーEタイプでも同じこと。ちなみに、スペアタイヤは備わらないからご注意を。

オープンエアを楽しみたい時は、電動のキャンバストップを後方へスライドさせて、2本のサイドバーを取り外せばOK。ミドシップだから、フロントの荷室にサイドバーを収納できる。

サーキットを走れば、秀でたグリップ力と制動力を確かめられる。れっきとしたハンドリングマシンであることを、実感できるだろう。

ただし熱狂的なスマート・ファンでも、あるいはブラバス・ファンでも、維持は容易ではない。定期的なメンテナンス間隔が短く、ランニングコストは高くつくし、補修部品も近年は入手が難しくなってきている。

今回のクルマのオーナー、フラン・テリー氏によれば、ホイールも痛みやすいそうだ。とはいえ、インターネットを駆使すれば、問題解決に繋がる情報を得られる時代でもある。

状態の良い、オリジナル状態が保たれたスマート・ロードスター・クーペ・ブラバスを発見したら、飛び込んでみるのも悪くない。きっと想像以上の楽しみが待っている。

スリリングな体験に浸っていても、スピード違反で捕まるリスクは低い。ガソリン代で昼食を節約する必要も減る。駐車場に停めれば注目度は高いし、同じクルマとすれ違うことも珍しい。

協力:リアル・スマートカー・オーナーズクラブ

オースチン・ヒーレー・スプライトとスマート・ロードスター・ブラバスのスペック

オースチン・ヒーレー・スプライトMk1(1958~1961年/英国仕様)のスペック

英国価格:678ポンド(新車時)/2万5000ポンド(約412万円)以下(現在)
生産台数:4万8987台
全長:3480mm
全幅:1346mm
全高:1200mm
最高速度:133km/h
0-97km/h加速:20.5秒
燃費:15.2km/L
CO2排出量:−
車両重量:664kg
パワートレイン:直列4気筒948cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:43ps/5200rpm
最大トルク:7.1kg-m/3300rpm
ギアボックス:4速マニュアル

スマート・ロードスター・クーペ・ブラバス(2005年/英国仕様)のスペック

英国価格:2万6570ポンド(新車時)/8000ポンド(約132万円)以下(現在)
生産台数:1616台
全長:3427mm
全幅:1656mm
全高:1192mm
最高速度:194km/h
0-97km/h加速:9.85秒
燃費:15.7km/L
CO2排出量:−
車両重量:852kg
パワートレイン:直列4気筒698ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:101ps/5250rpm
最大トルク:13.2kg-m/2500-2500rpm
ギアボックス:6速セミ・オートマティック

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みんなのコメント

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  • 旧車はリアルな数値の速度より、体感速度とか風や震動でスピードを楽しんでこそだからね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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