60年代のフォミュラカーを思わず葉巻型フォルムが斬新すぎる
マシン設計の奇才が送り出すレトロフューチャーの超絶マシン
「こんなマシンが公道を走っていいの!?」超高回転型エンジンを搭載する公道用2人乗りフォーミュラカー「ロケット」の衝撃
F1GPにおいて、全16戦中15勝という金字塔をうち立てた伝説のマシン『マクラーレンMP4/4』。そして、ル・マンやスーパーGT選手権をはじめ、90年代のレースシーンを席巻した究極のロードゴーイングカー『マクラーレンF1』。このふたつのマシンを生み出した男を知っているだろうか?
その男の名前は、ゴードン・マレー。モータースポーツに興味がある人ならば、一度くらいは聞いたことがあるはず。そんな彼が作り上げた1台が、ここで紹介する『ロケット』だ。
1992年に登場したこのマシンだが、製造されたのはわずか30台あまり。そんな中「どうしても欲しい!」という声が数多く寄せられたこともあって、残されていたシャシーを元に2007年から再び製造を開始する。日本にも導入されたが、現在でも実動するのはわずか数台。しかも、再生産モデルに至っては、国内に2台しか存在しないという超稀少マシンなのだ。
気になるメイキングに迫っていこう。
まず、エンジンはヤマハFZR1000に搭載される直4ユニットをベースに、ボアアップによって排気量を1002ccから1150ccまで拡大。オーダー時にキャブ、あるいはインジェクション仕様のどちらかを選べるが、取材したマシンはインジェクション仕様だった。1万500rpm時に172psを発揮し、レブリミットは1万3000rpmに設定される。
ミッションもFZR1000の6速シーケンシャルを使っているが、さらにワイズマン製の副変速機も装備。これはリバース機能の他、高速巡航やスポーツ走行といったシチュエーションにあわせてハイ/ローの2段階からギヤ比を変更することが可能。そのため、シフトは6速×2の計12段となっているのだ。
シャシーはアルミ製のパイプフレーム、サスペンションは前後ともにビルシュタインダンパー&アイバッハスプリングを採用する。また、エンジンがそのままフレームの役割を果たすため、リヤの足まわりはそのままエンジンに装着されるというレーシングカーさながらの作りを見せる。
ホイールはオーゼットの鍛造アルミ、タイヤにはプロクセスT1Rを組み合わせる。また、ブレーキには専用のブレンボ製4ポットキャリパーと280mmドリルド2ピースローターを装備するなど、パーツチョイスにも拘りを感じる。
コクピットは、非常にシンプルなメイキングだ。メーターはAIM製のデジタル式だが、アナログメーターも購入時に選択できたそうだ。写真右側にある銀色のノブがシフトレバー、その隣にある黒いノブが副変速機の切り替えレバーになっている。ペダルには、フロアからのびたオルガン式を採用。通常のクルマに比べて足元のスペースは非常に狭い。
エクステリアはFRP製で、全体的に丸みを帯びた、どことなく愛嬌のあるデザイン。前方には小ぶりのスクリーンが装着されるのみだが、コクピット部を盛りあげたボディ形状によって、走行風の巻きこみはそれほどでもない。また、センターレイアウトのため、同乗者は運転席後方に座るタンデム方式になっているのもポイントだ。
なお、ヘッドライトは通常走行時にはフロントカウル内に収納されており、使用する際には手動で起こしてあげる必要がある。そのため、ちょっとしたトンネルなどは収納した状態で点灯させてしまうそうだ。余分な機能を廃した極めてシンプルなレイアウトにより、車重は400キロに抑えられている。
超軽量の車体とハイパワーエンジンが奏でるフィーリングは、その名の通りロケットそのもの。乗用車という枠に縛られない“大人のための贅沢な究極のオモチャ”と言えるだろう。
主要諸元
全長×全幅×全高:3518×1600×914mm
ホイールベ−ス:2413mm
トレッド(F/R):1334mm/1397mm
車両重量:400kg
エンジン型式:Yamaha FZR1000
エンジン形式:水冷直列4気筒DOHC20バルブ
総排気量:1150cc
最高出力:172ps/10500rpm
最大トルク:13.8kgm/8500rpm
ミッション形式:6速シーケンシャルドグ+Ho/Lo切り替え
サス形式(F/R):ダブルウィッシュボーン/ダブルウィッシュボーン
ブレーキ(F/R):ベンチレーテッドディスク/ベンチレーテッドディスク
ホイールサイズ:FR6J×15
タイヤサイズ:F195/50-15 R205/45-15
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