かつてアルファードよりも売れていた時期もあったヴェルファイア。現在の販売台数はかなり差がついてしまっている状況である。だが、じつは中古車市場はそれほど価格に差はなく、決してお買い得なプライスではないのだ。
もちろんコロナ禍に加え昨今の世界情勢の影響で新車の納車時期も日に日に後ろ倒しに。そのため中古車の価格が急騰しているという事情もあるにせよ、なぜヴェルファイアの中古車価格は横ばい状態が続いているのか!?
アルファードに完敗のヴェルファイア……でも中古車価格は横這いのなぜ
文/小鮒康一、写真/トヨタ、ベストカーWEB編集部
■現行モデルで逆転も初代ヴェルファイアは本家を抜く販売台数を記録!!
2008年、2代目アルファード登場のタイミングで追加されたのが写真の初代ヴェルファイア
トヨタのLクラスミニバンとして圧倒的なシェアを誇っているアルファード。モデル末期と言われている現在においてもコンスタントに売れており、常に月販販売台数ランキングのトップ10圏内に君臨し続けている。
その兄弟車として、2代目アルファードが登場した2008年5月に追加されたのがヴェルファイアだ。
当時、トヨペット店で販売されていたアルファードに対し、若い世代をターゲットとするネッツ店向けにリリースされたヴェルファイアは、アルファードよりも力強さや先進性を持ったルックスとなっており、先代モデルのころはアルファードを上回る人気を誇っていた。
しかし、2015年にフルモデルチェンジを果たすとアルファードの人気がジワジワと復活しはじめ、気づけば完全に立場は逆転。現在ではヴェルファイアの販売台数は数百台レベルにまで落ち込んでしまっているのだ。
■マイナーチェンジでその差は本物に……現在ヴェルファイアはワングレードで勝負
この理由としては、2017年末に実施されたマイナーチェンジによって改良されたヴェルファイアのフロントマスクがあまりにやりすぎ感のあるものとなってしまったことや、販売チャネルの廃止によってすべてのトヨタディーラーでアルファードを購入することができるようになったことが影響していることは間違いない。
結局ヴェルファイアはアルファードに圧倒的大差をつけられることとなり、グレード展開も縮小。現在は「GOLDEN EYES II」の実質モノグレードとなり、2.5Lのガソリンとハイブリッドというパワートレインのみが選択可能となっている。
■中古車はヴェルファイア指名買いが多い!? しかも若年層から支持
変わらぬ人気でヴェルファイアに圧倒的大差をつける売り上げのアルファード
新車販売では大きく差がついてしまったアルファードとヴェルファイアであるが、中古車の価格をチェックしてみると、実はどちらもほとんど大差ない価格となっているのだ。
一般的に新車価格が近い同クラスの車種であっても、中古車になった際は不人気車の方が低い価格となるのが常だが、ヴェルファイアに限ってはそういうことでもないらしい。果たしてこれはどういうことなのだろうか?
筆者の付き合いのある新車も取り扱っている中古車販売店のスタッフによると、新車として引き合いがあるのは圧倒的にアルファードであることは間違いないらしいが、中古車となるとヴェルファイアを指名買いするユーザーも少なくないようだ。
ただ決定的に違うのがユーザー層だそうで、アルファードを求めるユーザーはある程度年輩で落ち着いた層であったり、会社の社用車として選ばれたりすることが多い一方で、ヴェルファイアを求めるユーザーは比較的若い層が中心とのこと。
つまりヴェルファイアは今でも若いユーザーからの支持は比較的高いものの、そういったユーザーはなかなか新車までは手が出ないということで中古車を狙う人が多く、中古車価格はアルファードとそこまで大差のない価格となっているというのが実情のようだ。
ただこれはあくまで現時点での状況であり、今後フルモデルチェンジを実施して新型になった際にヴェルファイアが廃止となったり、ヴェルファイアのルックスを好んでいた層が求める仕上がりとなっていなかったりしたときは、逆にヴェルファイアの中古車価格が上昇する可能性も秘めている。
また当然ながら新車が販売されないと中古車になる車両もないわけで、アルファードの何十分の一しか売れていない高年式のヴェルファイアは今後希少価値が出ることも大いに考えられそうだ。
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