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東京モーターショー 海外メーカー相次ぐ不参加なぜ? 大きな課題 変わる役割

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東京モーターショー 海外メーカー相次ぐ不参加なぜ? 大きな課題 変わる役割

もくじ

ー 海外メーカーの本格出展は1970年第17回から
ー 他国に比べて多いディーラー数 独自路線も
ー 元インポーター広報担当者が激白 海外メーカーは冷遇
ー 主催者の日本自動車工業会、どう考えている?
ー 海外のショーも直面 オートサロンは好調

海外から見た東京オートサロン 羨望/冷静な視線 外国人来場者を取材

海外メーカーの本格出展は1970年第17回から

1953年第1回「全日本自動車ショウ」としてスタートした東京モーターショーに初めて輸入車が本格的に参加したのは1970年である。

この時は7カ国33社95台の外国車が出品しており、大阪万博と同じ年に東京モーターショーもインターナショナルショーへの第一歩を踏み出した。

来場者が過去最高の200万人超となった1989年第28回では、15カ国333社2政府3団体が出展。会場が晴海から幕張に移った年でもあり、バブル華やかかりし頃に記録づくめの開催となった。

その後、海外メーカーは順調に出展数を増やし、1999年第33回にはヒュンダイ、大宇、サターン、オペル、サーブなど日本から撤退したブランドも数多く出展され、SLRロードスターやブガッティ・ヴェイロンなどのスーパースポーツもお披露目された。

海外メーカーの出展が減り始めたのはその10年後の2009年第41回からである。前年のリーマンショックの影響を受けビッグスリーすべてが出展を取りやめ、2011年第42回ではフィアット、フェラーリ、ランボルギーニ、マセラティなどイタリア勢が撤退した(フィアット&アルファは第44回で一時復活)。

そして2019年は、ついにドイツ勢が大幅に出展を取りやめる事態となっている。

まずは、100年超に渡って日本の輸入車業界をリードしてきたヤナセはこの傾向をどう感じているのだろうか? を、聞いてみた。

他国に比べて多いディーラー数 独自路線も

「とても寂しいと感じていますが、以下の理由により仕方ないと思う部分もあります」

「日本は他国に比べてディーラー数が多く、モーターショーにわざわざ行かなくても最新のクルマが気軽に見られる環境が整っています。ネットで最新情報をチェックするユーザーも増えてきました」

「ジュネーブやフランクフルトなど世界で多くのモーターショーが開催されているため、各社は日本以外のモーターショーに費用を使いたいと考えています」

「日本はモーターショーに参加しなくても大きな影響がない市場と判断されたのです。(格付けが下になった)」

「また、各社の日本法人も費用を独自イベントなどで使った方が有効的と考えるようになりました」

「以上の理由のスパイラルで、今後参加を取りやめるブランドが増える可能性が高い。そして、さらに来場者数が減少してしまう展開が予想されます」(ヤナセ広報宣伝室)

確かにヤナセあつかいのクルマに限らず、独自イベントを発表する海外ブランド車は増えつつある。

ポルシェジャパンも今年は11月~約1カ月の期間にモーターショーに代わる独自イベント「scopes Tokyo」(仮)の実施を発表している。

外資系インポーター元広報担当者が激白 海外メーカーは冷遇

取材を進めていくうちに、内部事情に詳しい外資系インポーター元広報担当者A氏が意外な事実を教えてくれた。

「実際に事務局の仕事の進め方や決定事項に関して、海外メーカーが冷遇されていると感じることが多かった」これはどういうことか?

「主催団体が日本自動車メーカーの集まりである自工会という組織となるため、運営ルールやコマ割など様々な決定プロセスやその内容、さらに案内やパンフの表示などすべてに渡って、基本視点は『まず国内8社の乗用車メーカーありき』で進められます」

「輸入ブランドはそのオマケ的な位置づけですね。国内メーカーには何ら悪気はないでしょうし、無意識だとは思いますが会議でも非常に空気が悪く、インポーターなど単なるその辺の輸入車業者あつかいです」

「出展料に加え、施工や運営費を総合すると小さなブースでも数億円の費用が掛かります」

「主催者からは冷遇され、本国からは、『東京モーターショーは10年前からローカルショーという位置づけです。出展するのは日本法人の判断に任せるがサポートもしない』と言われています。そんな『逆境』で出展するのはインポーターの負担が大きすぎる」

広告代理店が主導で進行し、費用は莫大。いっぽうで効果も薄い。ひとことでいえば費用対効果が低いということになる。

なお、多くのドイツ車メーカーが出展を取りやめる中、ドイツ車ではメルセデス・ベンツだけが今回も出展する。

しかし、その理由は「メルセデス・ベンツは、東京モーターショーの共催者であるJAIA(日本自動車輸入組合)の理事長会社だから」という大人の事情によるところが大きいと聞く。

JAIAは2011年(第42回)より共催者として東京モーターショーに参画している。さすがに共催団体の理事長会社が出展しないわけにはいかないだろう。

主催者の日本自動車工業会、どう考えている?

主催者の日本自動車工業会はどのように考えている?

海外メーカーの大量撤退と今後の東京モーターショーについて日本自動車工業会(自工会)に話を伺った。

「海外メーカーさんの出展については、個社それぞれのご判断であり、自工会として言及することは難しいのですが、主催者側としては出展者にとっても魅力的なショーとして開催できるよう今後とも努めていくことが大事であると思っています」

「今回は分散会場での開催となりますが、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた特別なモーターショーとして、お台場エリアの複数会場で開催する特別な東京ショーとして様々なコンテンツを準備していく予定です」

「弊会としては、東京モーターショーをオールジャパンで盛り上げていくべく、コンテンツを考えておりますので是非ご期待ください。なお、コンテンツ含む情報については、7月中下旬にあらためてお知らせしたいと思います」

伝統的なモーターショーが変わりつつあるのは、何も東京だけではない。

海外のショーも直面 オートサロンは好調

伝統的なモーターショーが変わりつつあるのは、何も東京だけではない。

110年以上の歴史を持つ北米国際オートショー(デトロイト・モーターショー)もワールドプレミアの台数は年々減っており、次回からは開催時期を夏に変更しお祭り気分で楽しめる、「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」のようなイベントにシフトしていくという。

東京モーターショーの来場者が減りつつある中、改造車のお祭りである東京オートサロンは回を追うごとに出展社数も増え、自動車メーカーの出展もおなじみになった。

生真面目な東京モーターショーに比べて、「ここでしか見られないクルマ」「度肝を抜く派手なクルマ」など、心底、クルマが好きなひと達が作っているオートサロンはワクワク感を筆者は感じる。

海外からの来場者も激増し1日当たりの来場者数は10万人超。モーターショーの平均を上回るまでになった。

東京モーターショーの開催まであと4カ月。日本車の底力を世界に発信し、日本人が気づいていない日本車の魅力をアピールする機会になることを願いたい。

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