現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 他社開発の車を販売する「OEM」はメリットが多い!? OEM車オーナーの意外な本音

ここから本文です

他社開発の車を販売する「OEM」はメリットが多い!? OEM車オーナーの意外な本音

掲載 更新 111
他社開発の車を販売する「OEM」はメリットが多い!? OEM車オーナーの意外な本音

■意外に多いOEM車 他社製と知らずに買う人も

 見た目はそっくりなのに、違う名前のクルマが存在します。これは「OEM(Original Equipment Manufacturing、またはManufacturer)」と呼ばれる、他社で開発・製造したクルマを自社ブランド扱いで販売するクルマのことを指します。

新型「ハリアー」にそっくり!? トヨタ新型「ヴェンザ」発表

 両車の違いは内外装のバッジ(車名やブランドロゴ)の変更だけというケースや、グリルやフロントバンパーなどデザインが異なる場合もある状況です。ちなみにOEMと似た事例として2社共同でクルマを開発し、各々のメーカーが別々に販売することなどもあります。

 OEMを積極的におこなっているのがトヨタとダイハツです。ダイハツ製のトヨタ車だと知らずに乗っているユーザーも多いといわれていますが、OEM車を販売するメリットやデメリットには、どのようなことがあるのでしょうか。

 主要な国産メーカーは大まかに3つのグループに分かれています。

 トヨタを軸とした、ダイハツ、スバル、マツダ、スズキと、フランスのルノーを加えた日産、三菱のアライアンス、そしてアメリカのGMとの関係強化を図っているホンダとなっています。

 OEMに関しては、必ずしもグループ間だけというわけでありませんが、現状ではこのグループ内でOEM提供が盛んにおこなわれているようです。

 たとえば、トヨタやスバルは自社生産の軽自動車を持っていませんが、ダイハツからOEM供給を受けて軽自動車を販売しています。

 また、トヨタのコンパクトSUVとして大ヒットモデルとなった「ライズ」は、ダイハツ「ロッキー」のOEM車です。

 両車とも企画・製造はダイハツがおこなっており、ライズのデザインや専用ボディカラーの開発もダイハツが担当しました。

 同じくコンパクトミニバンのトヨタ「ルーミー」もダイハツが企画・製造を担当。ダイハツでは「トール」として販売されるとともに、スバルにもOEM供給されて「ジャスティ」として展開されています。

 小型車の製造を得意とするダイハツですが、同社がノウハウを持たないセダンやミニバン(ワゴン)といったジャンルはトヨタからOEM供給を受けています。

 トヨタ「カムリ」はダイハツ「アルティス」として、2021年3月末で生産終了となりますが、トヨタ「プリウスα」はダイハツ「メビウス」として販売されるなど、持ちつ持たれつの関係を築いています。

 マツダも、現在は軽自動車や商用車を自社で開発していないメーカーのひとつです。

 軽自動車のマツダ「キャロル」はスズキ「アルト」、マツダ「フレア」はスズキ「ワゴンR」など、スズキからのOEMがメインになっています。

 マツダの商用車については、「ボンゴブローニイバン」の自社生産が終了した後、現在はトヨタ「ハイエースバン」のOEM車となりました。「ボンゴバン」「ボンゴトラック」もダイハツから「グランマックス」のOEM供給を受けている状況です。

 マツダ「ファミリアバン」は、2018年までは日産からOEM供給(ADバン)を受けていましたが、いまではトヨタ「プロボックス」へと変更されています。

 商用車の分野は、今後さらにOEMが加速することが予想されています。なかでも軽トラは、ホンダ「アクティトラック」が生産終了となることから、ダイハツ「ハイゼットトラック」とスズキ「キャリイ」の2車種のみとなります。

 トヨタ、スバルはダイハツから、マツダ、日産、三菱はスズキから、それぞれOEM供給を受けて商品展開をおこなっているのです。

※ ※ ※

 近年OEMが増えているのは、自社で開発するコストを必要とせずにラインナップを充実させることができるからです。

 新車の購入を検討している人がディーラーへ来たときに、欲しいクラスやジャンルのクルマがなかったら他社へ行ってしまいます。

 そうならないためにも、ラインナップはできるだけ充実させておきたいということから、他社からOEM供給してもらうという手法がとられています。

 一方でOEM供給する側にとってもメリットはあります。名前こそ変わっても、自社のクルマがそれだけ売れることで、生産性の向上や開発コストの回収、トータルでのコスト削減にも繋がります。

 その一方でデメリットとしては、オリジナルの車種と比較してグレード展開が制限されてしまうことが多々あることなどが挙げられます。

 たとえば、スズキは日産「セレナ」のOEM車として「ランディ」を販売していますが、セレナの目玉ともいえる電動パワートレイン「e-POWER」や先進運転システム「プロパイロット」は装着されません。

 また、「セレナ ハイウェイスター」のようなカスタム仕様はランディには設定されておらず、セレナの標準仕様に準じた大人しいフロントグリルを装着しています。

■なぜハスラーじゃない!? マツダ版ハスラーを購入した理由とは

 オリジナルのモデルのほうが知名度も高く、豊富なグレードやオプションが選べるのに、OEM供給されたモデルはどのような人が購入しているのでしょうか。

 実際にOEM車に乗っているユーザーに話を聞いてみました。

 広島県在住のFさん(40代・女性)が購入したのは、マツダ「フレアクロスオーバー」です。つまりスズキ「ハスラー」のマツダ版です。

 SUVタイプの軽ハイトワゴンとして人気の高いハスラーを選ばずに、なぜフレアクロスオーバーをチョイスしたのでしょうか。

「以前からマツダのクルマに乗っていて、もう少し気軽でコンパクトなクルマに乗りたいと思っていたんです。

 現在のクルマに乗り換えたのは、やはり慣れたディーラーで取り扱っていた車種だったことが大きいです。担当者も知っている人だし、修理やメンテナンスなども頼みやすそうというのがポイントでした」

 また、ハスラーよりもフレアクロスオーバーのほうが商談で好条件だったり、納期が早かったりといったことが購入のきっかけになったといいます。

「クルマに詳しくないので、できれば安心できるお店で購入したかったし、家から一番いディーラーというのも購入した理由のひとつです」

 Fさんのように、ディーラーの担当者との繋がりから購入するケースはOEMの場合は多く、また商用車の場合は、仕事の取引先との関係を考慮してあえてOEM車を選ぶケースもあるようです。

 ちなみにFさんがフレアクロスオーバーがハスラーのOEM車だと知ったのは、商談を進めてからとのこと。

 ハスラーがベースなので、社外品のカスタムパーツもハスラー用なら装着可能なのも、OEM車のメリットだといえます。

※ ※ ※

 OEM車は知名度の低さはあるものの、オリジナル車よりもOEM車のほうが好条件が出たり、納期が早いケースもあるというのは意外なメリットといえそうです。

 逆に、好条件が出やすいOEM車をあえて選ぶのも、賢い購入方法なのかもしれません。

 これからの時代、さらなる開発コストの抑制や効率化を進めるために、車種が絞られる可能性も否定できません。

 ラインナップの充実のために、OEM車はこれからも増えることになりそうです。

こんな記事も読まれています

“直6”×MT設定あり! 新型「“コンパクト”クーペ」公開! 後輪駆動“継続採用”でめちゃ楽しそうな「M2」独で登場
“直6”×MT設定あり! 新型「“コンパクト”クーペ」公開! 後輪駆動“継続採用”でめちゃ楽しそうな「M2」独で登場
くるまのニュース
WRC最高峰デビューのセスク車が公開。母国ラトビアカラーのフォード・プーマ・ラリー1は初のノンハイブリッドに
WRC最高峰デビューのセスク車が公開。母国ラトビアカラーのフォード・プーマ・ラリー1は初のノンハイブリッドに
AUTOSPORT web
イース・コーポレーションが露チェルノフケーブルのデジタルケーブル2アイテムを販売開始
イース・コーポレーションが露チェルノフケーブルのデジタルケーブル2アイテムを販売開始
レスポンス
車名の由来は「セクシー」&「エレガント」! 日野「セレガ」の最新モデルが最新技術のるつぼだった
車名の由来は「セクシー」&「エレガント」! 日野「セレガ」の最新モデルが最新技術のるつぼだった
WEB CARTOP
厳選値引き実例 X氏の値引き特報
厳選値引き実例 X氏の値引き特報
グーネット
『バルセロナで速ければどこでも速い』はもう幻想? F1マシンの実力テストコースと言われた評価にドライバー疑問符
『バルセロナで速ければどこでも速い』はもう幻想? F1マシンの実力テストコースと言われた評価にドライバー疑問符
motorsport.com 日本版
40歳になっても大丈夫。フェラーリF1代表、来季加入のハミルトンに全幅の信頼「チャンピオン経験者のノウハウが、我々には重要」
40歳になっても大丈夫。フェラーリF1代表、来季加入のハミルトンに全幅の信頼「チャンピオン経験者のノウハウが、我々には重要」
motorsport.com 日本版
“鏡”タイプの「ルームミラー」は時代遅れ!? カメラで後方を映す「デジタルミラー」なぜ人気なのか? 理由と装着時の「注意点」とは
“鏡”タイプの「ルームミラー」は時代遅れ!? カメラで後方を映す「デジタルミラー」なぜ人気なのか? 理由と装着時の「注意点」とは
くるまのニュース
人気のホンダ「モンキー125」が大変身! 改造なしに名車「CB750F」風にカスタムできる!! 気になる各種パーツの出来栄えとは?
人気のホンダ「モンキー125」が大変身! 改造なしに名車「CB750F」風にカスタムできる!! 気になる各種パーツの出来栄えとは?
VAGUE
カーインテリアデザイナー団体JAIDとワールド、廃材ファッションショー「HORUMON NIGHT」を青山にて開催
カーインテリアデザイナー団体JAIDとワールド、廃材ファッションショー「HORUMON NIGHT」を青山にて開催
レスポンス
ホンダ、N-VAN e:は、仕事も趣味も”使える”盤石のEV性能 
ホンダ、N-VAN e:は、仕事も趣味も”使える”盤石のEV性能 
driver@web
レッドブルのお膝元でフェルスタッペンの連勝は続く? 角田裕毅所属のRBは復活なるか|F1オーストリアGP DAZN配信スケジュール
レッドブルのお膝元でフェルスタッペンの連勝は続く? 角田裕毅所属のRBは復活なるか|F1オーストリアGP DAZN配信スケジュール
motorsport.com 日本版
車検の更新、「2か月前」からに拡大 2025年4月から変更 国土交通省
車検の更新、「2か月前」からに拡大 2025年4月から変更 国土交通省
グーネット
[音響機材・チョイスの勘どころ]「単体サブウーファー」の細かなスペックの見極め方を解説!
[音響機材・チョイスの勘どころ]「単体サブウーファー」の細かなスペックの見極め方を解説!
レスポンス
【MotoGP】マルク・マルケス「今のMotoGPは長期キャリアが難しい」なお当人は来年13年目に突入
【MotoGP】マルク・マルケス「今のMotoGPは長期キャリアが難しい」なお当人は来年13年目に突入
motorsport.com 日本版
天候不良の中、ドライバーたちは何を訴えていた? スーパーフォーミュラ第3戦SUGO、レース当日の無線交信を振り返る
天候不良の中、ドライバーたちは何を訴えていた? スーパーフォーミュラ第3戦SUGO、レース当日の無線交信を振り返る
motorsport.com 日本版
ホンダの「V型10気筒エンジン」搭載スーパーカー!「“NSX”後継車」指名された本気の「超ロングノーズ」モデルに反響あり!
ホンダの「V型10気筒エンジン」搭載スーパーカー!「“NSX”後継車」指名された本気の「超ロングノーズ」モデルに反響あり!
くるまのニュース
アルピーヌA290をル・マンで発表 アルピーヌのEVモデル国内導入を検討中
アルピーヌA290をル・マンで発表 アルピーヌのEVモデル国内導入を検討中
Auto Prove

みんなのコメント

111件
  • 俺もトヨタで軽自動車買ったけど、最初はみんな変な目で見てたな。
    なんでダイハツなのに、トヨタのエンブレム付けてるの?って聞かれた事もあったし、ダイハツ同社が後ろ付いて来て不思議そうな顔でじっくり見られた事もあった。
    今じゃ当たり前にトヨタエンブレムの軽自動車見るけど、当時は結構注目された。

    そろそろ軽自動車にレクサスエンブレム付けるヤツ出て来るかな?
  • ユーザーから見ればメーカー間を越えたバッジエンジニアリングでしかない。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村