もくじ
ー レベル4または5の自動運転を実現 2021年めど
ー 最初は商用車向けに搭載
ー 未来のクルマに試乗
レベル4または5の自動運転を実現 2021年めど
フォルクスワーゲンは2021年にレベル4または5の自動運転車を発売する予定だ。最初に発売されるのはトランスポーター型のミニバスとなるだろう。
フォルクスワーゲンのチーフ・デジタル・オフィサーであるヨハン・ユングビルトはサンフランシスコで「モイア」の看板のもとに新オフィスを立ち上げた。
同社の狙いはグーグル傘下のウェイモに追いつくことだ。ウェイモは自動運転のクライスラー・パシフィカを今年中に発表する予定だ。
ユングビルトはウェイモについて「自動運転技術の最先端」と認識している。
彼がシリコンバレーに戻るという報道をうけ、フォルクスワーゲンを退社するという誤解を生んだ。しかし、AUTOCARに対し、「モビリティのソリューション」を開発するためフォルクスワーゲンに残ると表明している。
「開発段階は完了しました。これからは現実のモビリティに適用するソリューションを提案するときです。わたしはそのためカリフォルニアに移るのです」
最初は商用車向けに搭載
モイアが送り出すクルマたちは現時点で明らかになっていない。しかし、初期段階の技術を導入するコストの高さゆえ、T5バンやI.D.ハッチバック・コンセプトをベースとしたバッド-eコンセプトなどの商用車が使われる可能性が高い。いずれ単価が下がれば、個人向け車両にも搭載可能となるだろう。
「1台あたりの導入コストは1万ドル(110万円)から1万5000ドル(165万円)程度となる見込みです。これはビジネス用としてしか受け入れられないでしょう」という。
レベル4から5相当の自動運転装置の導入コストは不要となる運転手の人件費で相殺できるだろう。
フォルクスワーゲンは2023年発売予定の「セドリック」というレベル4-5程度の自動運転技術を搭載した小型ポッドの計画を明かした。この9月までに、ヒューマン・マシン・インターフェース(HMI)や内外装のコンセプトを公開する予定だ。
この基礎となる技術研究は、ルーフに5つとバンパーに4つのレーザーセンサー、4つの近距離レーダーセンサー、前面カメラを搭載したe-ゴルフでおこなわれている。
このクルマのコントロールを司るコンピュータは、超小型にも関わらず1日あたり20TBものデータを処理することができる。前面カメラは自動運転技術の「目」として歩行者を認識し、横断歩道脇で立っているひとがふいに歩き出した場合にも対応可能だ。
未来のクルマに試乗
セドリックに乗ってみると、非常に落ち着いてスムーズな移動手段だという印象だ。
e-ゴルフのシャシーをベースとしたセドリック・プロトタイプは平らで滑らかなコースをスムーズに走行した。幅広いS字カーブを30km/h以下で通過する。多くの場合コースの左寄りを走行しているが、時折不自然にワイドなラインを選択したり、不意に車線中央に向けて不要なハンドル操作を行いがちであった。
以前試乗したゲートウェイ・ポッドと比較すると、より消費者向けに仕上げられつつ、パワートレインも洗練されている。
しかしながら、現時点ではゲートウェイの方がより現実に近い環境での走行が可能だ。今回の試乗では、このクルマが現れた歩行者に対してどのような挙動を示すかを確認することはできなかった。
セドリックは運転手が不要だが、乗員がコントロールパネル上のボタンを操作し、ふたつの後席の間にあるタブレット上でルートを入力する必要がある。また、乗員がシートベルトをしていないと走行しない。
フロントガラスは透明なOLEDスクリーンとなっており、ルートを表示するほかスマートフォンの画面を拡大表示することもできる。
「HMIの細部は仕上げの余地が残されています。幅広い可能性があるでしょう」とのことだ。
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