新車試乗レポート [2024.02.09 UP]
【ジープ ラングラー アンリミテッド4xe】電動化を見事にこなした新世代ジープの旗印
文●九島辰也 写真●澤田和久、内藤敬仁
ジープやプジョーなどの最新電動モデルが一堂に!札幌モビリティショー2024 ステランティス
ジープと“自動車の電動化”は一見して相反するように思える。果てしなく続くタフな荒野を駆け抜けるのに、電気は不釣り合いな気がするからだ。砂漠の真ん中に充電ステーションがいくつも建設されるとは想像し難い。
プラグインハイブリッドのメリットは?
ラングラー アンリミテッド4xe
なんて心配をよそに、彼らも他のカーブランドの例に漏れず電動化は進んでいる。ここで取り上げるラングラー・アンリミテッド4xeはその一つで、プラグインハイブリッドシステムを搭載する。“4xe(フォー・バイ・イー)”というワードがその証となり、レネゲードやグランドチェロキーにもラインナップされる。
ハイブリッドシステムは350Vリチウムイオンバッテリーが2基のモーターを動かし、2リッター直4ターボガソリンエンジンをサポートする仕組み。電気モーターのひとつは低フリクションでのエンジンスタートと回生用に、もうひとつはエンジン駆動のアシスト用に使われる。もちろん、100%電気駆動のEVモードもあり、最大42kmエンジンの稼働無しで走れるのも特徴のひとつとなる。
本格クロカンに期待する緻密なアクセルコントロールが可能
では実際に動かした印象だが、これが想像する以上にしっくりくる。モーターが目立ちすぎることなくガソリンエンジンをサポートする感じが気持ちいい。特に出だしのトルクの太さはそうで、排気量の大きなクルマの動きを感じさせる。正直3.6リッターV6と2リッター直4ターボを乗り比べると後者に期待するトルクが不足しているのを感じるが、このクルマはそれを見事に補っている。かなりグッドなマッチングだ。
実はそもそもEVのトルクの出方はオフロード走行に合っている。アクセルの微妙はコントロールを少ない踏みしろでできるからだ。そのコントロールを間違うと、サンドセクションでは砂を掘ってしまい、ロックセクションでは岩を蹴ってラインを変えてしまいかねない。オフロード走行はそのくらい精緻なアクセルコントロールを必要とするのだ。
ラングラー アンリミテッド4xe
しかもこのクルマはルビコンであることを忘れてはならない。フロントとリアのデフをロックできる優れもの。悪路で強靭なトラクションをかけることができる。それにスウェイバーのストッパーを解除して足を長く伸ばすことも可能。これはいかなる状況でもタイヤを設置させることを追求した手法だ。でもって装着されるタイヤはご覧の通りマットテレイン。このトレッドパターンと大きさは伊達じゃない。このクルマには、この厳ついトレッドパターンを使いこなせるパフォーマンスが備わっている。
ラングラー アンリミテッド4xe
オンロードにおけるドライブモードは3種類用意される。燃費を第一に考えた“HYBRIDモード”、エンジンを回さずモーターだけで走る“ELECTRICモード”、行った先で電気を使うことを想定して充電を優先して走る“e-SAVEモード”だ。操作はボタン一つで行える。もちろんデフォルトは“HYBRIDモード”でOK。
充電に関しては、普通充電のみ対応する。一般的な家庭でもできる100Vと200Vを充電ポートにケーブルを差し込み行う。急速充電には対応していないが、そこはBEVでないので問題なし。エンジンを発電機として使ったり、ブレーキを使った回生である程度充電できる。充電ポートは左側Aピラー付け根にある。
ラングラー アンリミテッド4xe
まとめ
といった概要のジープラングラー アンリミテッド4xeだが、このクルマを買おうと思った時に悩むのがボディカラーだと思う。“ブラック”、“ブライトホワイト”、それとグレーブルー系の“アール‘どれもかっこいいのだ。いろんなサイトでいろんな写真を見ても順位が決められない。購入した人のリアルな声を聞きたいほどである。みんなどうやって決めたんだろう……。
なんて妄想を一気に現実に引き戻すのがプライス。そこには1030万円のタグが付く。少々お高くも感じるが、ルビコンであることを鑑みれば納得かな。はじめからマッドテレイン履いているんだからね。後からカスタムする手間も予算も省けます。
ということで、新世代ジープの旗頭に注目。飽きのこないエクステリアデザイン一つとっても長く乗れる相棒になれる気がする。
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