■第一級の性能を手に入れた旧車とは!?
現在、世界的に旧車の人気が高まっています。なかでもとくに人気なのが1980年代から1990年代にかけて生産されたモデルです。
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さらに古いクラシックカーもセレブに人気で、コレクター向けの投機対象としても価値が認められています。
しかし、旧車やクラシックカーの多くは維持が大変で部品も思うように手に入らず、さらに性能も現代のクルマには劣ってしまいます。
そこで、考え出されたのが、外観は古いクルマのまま、中身を最新のテクノロジーで作る手法です。そんな、旧車とハイテクが融合したクルマを5車種ピックアップして紹介します。
●光岡「ロックスター」
日本で10番目の乗用車メーカーの光岡自動車は、「夢のある自由なクルマづくり」を目標に掲げることで、自動車業界のオンリーワンの存在を目指したオリジナルのクルマを数々手掛けてきました。
そして2018年11月に発表された「ロックスター」は、1960年代のアメリカ車を彷彿とさせるデザインが特徴のオープンカーで、現行モデルのマツダ「ロードスター」をベースにしつつ外観のイメージを一新しています。
ロックスターは光岡の創業50周年を記念して限定200台で作られ、発表と同時に発売されたのですが、すでに2019年3月に完売しています。
同年7月に最初の1台がラインオフされ、初期ロットの50台は2019年内に出荷、51台目以降は2020年に75台、2021年に75台の出荷を予定しているといいます。
グレードは6速MT仕様のSとSスペシャルパッケージ、AT仕様のSスペシャルパッケージの3種類で、エンジンはロードスターと同じく1.5リッター直列4気筒を搭載。燃費向上につながる運転技術支援システム「インテリジェント・ドライブ・マスター」を全車に搭載しています。
●ホンダ「N600 Powered by VFR800」
1960年代にホンダが本格的に自動車製造を始めたころ、主力商品はスポーツカーの「Sシリーズ」や商用車でした。
そこで、さらにユーザーを獲得するために、1967年から軽自動車の「N360」の生産を開始し、安価で高性能なクルマとして大ヒットします。
その後、ホンダはN360をベースに排気量を拡大した「N600」を開発して欧米に輸出。1970年にアメリカで販売を開始し、当時の価格は1300ドルでした。このN600を改造して作られたのが「N600 Powered by VFR800」です。
エンジンはホンダ「VFR800」の800ccV型4気筒をフロントに搭載。ベースがFFなのに対し、FRとされています。また、ユニークなのが、エンジンルームにVFR800のエンジンと共にガソリンタンクが収まっていることです。
出力などは公開されていませんが、VFR800の日本仕様(2017年式)では107馬力を誇りますから、相当に速いことが想像できます。ちなみに「N600 Powered by VFR800」のレッドゾーンは1万2000rpmとのことです。
なお、この車両は、2019年のSEMAショーのホンダブースに展示されたモデルです。
●アキュラ「スーパーハンドリングSLX」
ホンダが主に北米で展開している高級ブランドのアキュラは、1986年に始まりました。当初、アキュラブランドで販売されたのは「レジェンド」と「インテグラ」で、後に「NSX」やアキュラ独自のモデルが展開されます。
今回、紹介するアキュラ「SLX」は1996年に発売されたミドルサイズのSUVで、いすゞからOEM供給された「ビッグホーン」と同型モデルです。
このSLXをベースにアメリカホンダの手によって、ドライブトレーンに最新SUV「RDX」のものが移植され、エンジンも215馬力の3.2リッターV型6気筒から、350馬力にチューンナップされた直列4気筒ターボに換装されたのが「スーパーハンドリングSLX」です。
その名のとおり、ホンダの4WDシステムである「SH-AWD(スーパーハンドリングAWD)」を用いて、優れたハンドリングを実現。
外観は一見するときれいにレストアされたノーマルにしか見えませんが、テールゲートにSH-AWDのエンブレムが取り付けられ、内装も極力ノーマルを維持していますが、10速ATのセレクターが最新のボタン式に変えられているなど、小技が光ります。
なお、SLXの当時の価格は3万3900ドルで、スーパーハンドリングSLXの価格は“Don’t even ask”(聞かないで)となっています。
■世界でもっとも美しい電気自動車とは!?
●ルーフ「CTR Anniversary」
ルーフはポルシェ「911」やフォルクスワーゲン車のチューニングによって有名となり、現在はドイツの自動車メーカーのひとつとして、コンプリートカーの製造や、部品の販売、レストアサービスなどをおこなっています。
そのルーフの名を広く知らしめたきっかけは初代「CTR」で、911をベースとしたコンプリートカーとして1987年に発表。最高速度330km/h以上を誇り、黄色のカラーリングから「イエローバード」というサブネームが付きます。
それから30年を経て「CTR2017」を製作し、それをベースとした「CTR Anniversary」が誕生しました。
CTR Anniversaryはカーボンモノコックシャシとカーボンボディを採用し、総重量1200kgという超軽量スポーツカーとして仕立てられています。
一見すると1989年まで生産された第2世代の911をベースに、モデファイしているように見えますが、独自設計によるシャシとボディを採用したCTR Anniversaryには、もはやベースとなる車両は存在しません。
911と同様にリアに搭載されるエンジンは710馬力を誇る3.6リッター水平対向6気筒ツインターボで、初代CTRとは異なり水冷エンジンとなっています。
エンジンの意匠は、かつての空冷エンジンを彷彿とさせるネオクラシックなデザインになっており、車体重量バランスの均等化の為、カーエアコン用コンプレッサー及びパワーステアリングポンプを電動化。それらをエンジンルーム外に配置した事で、エンジン出力のパワーロスを抑える事にも成功しています。
最高速度は360km/hに達し、その高速度域にも対応するRUF製7速MTを採用。また専用設計されたリアウイングなど、クラシカルな外装ながら空力性能も高められています。
●ジャガー「E-タイプ ゼロ」
伝統ある英国の高級車メーカーであるジャガーには、クラシックカーの販売やレストアをおこなう「ジャガー・ランドローバー・クラシック」という部門があります。
そのジャガー・ランドローバー・クラシックが2017年に発表したのが、「E-タイプ ゼロ」です。
ジャガー「E-タイプ」は世界でもっとも美しいクルマと評される、1961年に発表されたジャガーを代表するスポーツカーです。
このE-タイプのオープンカー(ドロップヘッドクーペ)をベースに、フロントに搭載されていた直列6気筒エンジンの替わりに、リチウムイオンバッテリーとモーターを搭載。
バッテリーはエンジンと同寸法で重量もほぼ同じに設定され、その結果前後重量配分も変わらず、オリジナルのE-タイプのような走りとハンドリング、乗り心地、ブレーキングが体験できるよう設計されました。
また、インパネまわりもオリジナルの意匠を継承しながら、液晶モニターや液晶メーターパネルを採用し、クラシカルさとハイテクを融合させています。
※ ※ ※
今回紹介したようなクルマは、なかなかお目にかかれない高額なものばかりですが、意外と人気がありそうです。
旧車の持つ魅力であるサイズ感やデザインをそのままに、最新のメカニズムで作られているというのは、理想的なクルマと思う人も多いのではないでしょうか。
ミニやフィアット「500」、フォード「マスタング」やシボレー「カマロ」などは、まさにそういうコンセプトで作られています。
しかし、たくさん売れて数が増えてしまうと、興味をもっていた人も興ざめしてしまうようで、難しいところです。
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