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【新世代グランドツアラー】フェラーリ・ローマ比較試乗 アストン マーティンDB11xベントレー・コンチネンタルGT 後編

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【新世代グランドツアラー】フェラーリ・ローマ比較試乗 アストン マーティンDB11xベントレー・コンチネンタルGT 後編

居心地のいい車内パッケージング

text:Matt Saunders(マット・ソーンダース)

【画像】スポーツ・グランドツアラー3台が共演 ローマxDB11xコンチネンタルGT 全98枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


フェラーリ・ローマの車内パッケージングは、ひと回り大きいアストン マーティンDB11より優れている。恐らく幅の広いサイドシルと、大きなトランスミッション・トンネルが車内空間を圧迫しているのだろう。

身長の高いドライバーでも、ローマは充分快適に腰掛けられる。DB11並みの足もと空間や、コンチネンタルGTほどのゆとりは感じられないにしろ。

プラス2のリアシートは、DB11と同じくらい。小さな子供なら座れるが、何時間も座っていたいとは思ってくれなさそうだ。10代後半に成長したら、ローマの後席には乗せない方が無難だと思う。

一方のベントレー・コンチネンタルGTは、大人4人が乗れる、正真正銘の豪奢で安楽な4シーター・グランドツアラー。この車内には感嘆の言葉しか出てこない。

美しいフェイシアパネルを前にするフロントシートは、調整できる部位が多く極めて快適。ダッシュボードはソリッドでまばゆい仕立てで、壮観な装備が埋め込まれている。突出してラグジュアリーな環境の中で、大陸を移動できる。

試乗車には22インチのアルミホイールが履かされ、高速道路では少しノイズが目立っていた。とはいえ、運転していて心に浮かんでくることは、圧倒的な洗練性や上質さということだけ。

これほど快適で心地よいベントレーだが、別の英国編集部のスタッフが表現するように、7代目フォルクスワーゲン・ゴルフRのように使用することもできる。16万6000ポンド(2556万円)の英国価格と、2.2tの車重だとしても。

持て余しがちな大きく重いボディ

実際にステアリングホイールを握ってみると、想像以上に運転しやすい。それでいて、日常的に味わえる豊かさは別格だ。

ただしゴルフRと並べた彼は、英国西部のスノードニア国立公園のワインディングでは、同等の充足感を得られなかったとも話していた。運転を楽しめたことは間違いないようだが、興味深い真実だといえる。

コンチネンタルGTを積極的に運転すれば、心地よく、力強く、音響面でもたくましい。極上に優雅なドライビング体験を与えてくれる。

適度な重み付けと完璧なレシオ設定が与えられたステアリングの操舵感で、驚くほど簡単に操れる。しかしカーブの続く狭い道では、コンチネンタルGTの大きく重いボディは持て余しがち。

車線の幅が広く、高速コーナーが連続するような区間なら、ベントレーでもかなりの速度域まで楽しめる。とはいえフェラーリやアストン マーティンのように、積極的に縫うように走るタイプではない。別の次元の動的特性が表面化してくることはない。

他方のフェラーリ・ローマは緻密に先を進むタイプ。アストン マーティンDB11は、パワーで押し切る感じ。伝統的ともいえる、遥かに豊かなグランドツアラーらしい活発さが備わっている。

AMRが性能を磨き込んだDB11でも、しなやかさは残り、エッジは丸められたまま。ボディは肩を傾け、ステアリングの入力に反応するまで一瞬のタメがある。路面の起伏に合わせて、サスペンションは大きめに伸縮する。

桁違いといえる最新フェラーリの能力

中回転域での過剰なパワーは、リアタイヤのグリップを軽く超える。シャシーバランスは懐が深く、ドライバーのいたずら心も受け入れてくれる。さらに、アストン マーティンはコミュニケーションが取りやすい。

リアアスクルの少しゴムっぽい感触と、トラクションの抜け方には不確実性があり、限界へ迫るには注意も必要。筆者は、より精度感の高い操縦特性の方が好みではある。

しかし速度域を問わず、DB11の車内は終始快適。固有の手応えのある操作系と、オールドスクールな構成という魅力を味わえる。フェラーリ・ローマ以上に、穏やかに運転している時の印象はリッチで魅惑的。

ところが、ローマのグランドツアラーとしての能力は桁違い。本当のサラブレッド級スポーツカーへ期待するであろう、スピードやハンドリングと同じくらいに。

ライトウエイト・スポーツでしか生み出せないような、一級にタイトな身のこなしと垂直方向の姿勢制御も備えている。回頭時の鋭敏さにも言葉を失う。初めは、少しやりすぎに思えるかもしれない。

ベントレーから優雅な気持ちでローマに乗り換えれば、ステアリングのクイックさやレスポンスに面食らうだろう。少しの時間をかけて、繊細さと鋭さに慣れる必要がある。自身に丁度いいドライブモードも見つけておきたい。

そうすれば、軽量なサーキットマシンに匹敵するグリップ力と旋回能力、安定性、シャープなバランスを両立させた、スポーツ・グランドツアラーに驚嘆できる。

ドライビング体験と共存する実用性と快適性

どんなフロントエンジンのスポーツカーでも得られない、興奮と一体感でローマはドライバーを陶酔させる。比較できるなら、パワフルなケーターハムや、フロントにV型12気筒を搭載したフェラーリくらいかもしれない。

間髪を入れない反応と高度なバランス、アクセルペダルでのラインの調整しろ、刃物のように鋭いハンドリング。動的特性でいえば、アストン マーティンやベントレーより、ミドシップのF8トリブートに近い。確かに現代のフェラーリらしい。

このドライビング体験に、ローマには2+2の実用性と、称賛に値するほどのクルージングマナーを共存させている。筆者の印象では、動的な能力の幅はコンチネンタルGTやDB11を超える。見事なサウンドも同様だ。

長時間の運転を楽しんだ後、自宅まで再び長距離を運転する必要があるなら。恐らく読者は、アストン マーティンかベントレーの、どちらかを選びたいと思うだろう。両車が備える特長通り、車窓の景色を楽しみながら家路を快適に急げるはず。

しかし筆者なら、フェラーリ・ローマの印象を振り返りながらベッドで眠りにつくと思う。人生でそうそうお目にかかることはできないほど、壮観なスポーツ・グランドツアラーだ。

スポーツ・グランドツアラー 3台のスペック

アストン マーティンDB11 AMR(英国仕様)のスペック

英国価格:17万4995ポンド(2694万円)
全長:4750mm
全幅:1950mm
全高:1290mm
最高速度:334km/h
0-100km/h加速:3.7秒
燃費:8.7km/L
CO2排出量:265g/km
車両重量:1870kg
パワートレイン:V型12気筒5204ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:639ps/6500rpm
最大トルク:71.2kg-m/1500rpm
ギアボックス:8速オートマティック

ベントレー・コンチネンタルGT V8(英国仕様)のスペック

価格:15万1800ポンド(2337万円)
全長:4850mm
全幅:1966mm
全高:1405mm
最高速度:318km/h
0-100km/h加速:4.0秒
燃費:8.4km/L
CO2排出量:268g/km
乾燥重量:2194kg
パワートレイン:V型8気筒3996ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:549ps/5750rpm
最大トルク:78.3kg-m/1950rpm
ギアボックス:8速デュアルクラッチ・オートマティック

フェラーリ・ローマ(英国仕様)のスペック

価格:17万984ポンド(2633万円)
全長:4656mm
全幅:1974mm
全高:1301mm
最高速度:320km/h
0-100km/h加速:3.4秒
燃費:8.9km/L
CO2排出量:255g/km
車両重量:1570kg(オプション込み)
パワートレイン:V型8気筒3855ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:620ps/5750-7500rpm
最大トルク:77.4kg-m/3000rpm
ギアボックス:8速デュアルクラッチ・オートマティック

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